劇場公開日 2025年2月28日

「ボブ・ディラン 若き日の葛藤と成長を詠う音楽映画」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN JC-LORDさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ボブ・ディラン 若き日の葛藤と成長を詠う音楽映画

2025年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

知的

 「風に吹かれて」「時代は変わる」などでフォークソングを革新し、フォークとロックの融合の完成形を顕した「ライク・ア・ローリングストーン」ほか20世紀を象徴するシンガーソングライター、ボブ・ディラン。彼がメジャーデビューする19歳(1961年)から最大のヒット曲「ライク・ア・ローリングストーン」をニューポート・フォーク・フェスティバルにて伝説的な演奏を果たした24歳(1965年)までを描いた伝記映画。1960年代は反体制的なメッセージをこめたウディ・ガスリー(スタート・マクネイリー)、ピート・シーガー(エドワード・ノートン)、ジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)らのフォークソングが受け入れられていく時代。彼ら俳優の演技は、その時代を知る者には脱帽ものの人間味を醸し出す歌唱を聴かせてくれる。とりわけボブ・ディランを演じるティモシー・シャラメの存在感、歌唱力は高く評価され、第97回アカデミー賞主演男優賞候補にも挙がっている。1960年代のニューヨークの情景、フォークソングの社会的影響など時代の空気感と音楽の表現力を十分に満喫できる音楽映画としても素晴らしい。

JC-LORD