今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
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ロジックに矛盾はないが、主人公に共感出来ない
1.はじめに:大九明子監督との相性
❶大九明子は、大学時代からコント集団に所属し、卒業後は秘書として就職するが水が合わず退職、芸人養成学校を経て、お笑い芸人として活動する。その後、女優、タレントに転身。更に、映画美学校に第1期生として入学し脚本と監督の腕を磨いたという珍しい経歴の持ち主(Wikipedia)。
❷長編監督作品の劇場デビューは、39歳、2007年(下記①)で、その後2025年の本作(⑩)まで、10本が劇場公開されている。
❸内、下記②を除く全作をリアルタイムで観ているが、相性は良好である。
①2007年 恋するマドリ 2007.08公開/鑑賞90点
②2012年 東京無印女子物語 2012.06公開/未鑑賞
③2013年 モンスター 2013.04公開/鑑賞50点
④2015年 でーれーガールズ 2015.02公開/鑑賞95点
⑤2017年 勝手にふるえてろ 2017.12公開/鑑賞70点
⑥2018年 美人が婚活してみたら 2019.03公開/鑑賞70点
⑦2019年 甘いお酒でうがい 2020.09公開/鑑賞73点
⑧2020年 私をくいとめて 2020.12公開/鑑賞85点
⑨2022年 ウェディング・ハイ 2022.03公開/鑑賞95点
⑩2025年 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は★本作/70点
2.マイレビュー:◆◆◆ネタバレ注意
❶相性:中。
★ロジックに矛盾はないが、主人公に共感出来ない。
➋時代:2024年。(さっちゃんの位牌の日付が令和6年)
❸舞台:大阪、京都。
❹主な登場人物
①小西徹(✹萩原利久 はぎわら・りく、24歳):主人公。関西大学2年生。横浜出身。内向的で自信がなく「自分は他の人と違う」という自意識を持っている。学内では晴れの日でも折り畳み傘を差し、人と触れ合うことを極力避けるようにして生きている。友人は山根のみ。近所の銭湯「七福温泉」で深夜に清掃のバイトをしている。バイト仲間で同じ歳のさっちゃんは小西に好意を持つが、小西は無関心である。大好きだった横浜の祖母が亡くなり帰省し半年ぶりに登校して、桜田を見かけて惹かれる。
②桜田花(✹河合優実 かわい・ゆうみ、23歳): 関西大学生。学食でいつも一人で蕎麦を食べている。興味を持った小西がアプローチしたところ、2人は同じ価値観を持っていることが分かる。桜田が小西に、「毎日が楽しいって思いたい。今⽇の空が⼀番好きって思いたい」と言うが、それは、桜田が9歳の時亡くなった父の口癖であると共に、小西の祖母の言葉でもあった。これから2人は急接近する。2人の関係を桜田は「セレンディピティ」だと言う。その後、さっちゃんがいなくなったのと同じ時期に桜田も姿を消す。
★終盤で、桜田はさっちゃんの姉で、さっちゃんは交通事故で亡くなっていたことが分かる。
③さっちゃん(✹伊東蒼 いとう・あおい、18歳):銭湯「七福温泉」での小西のバイト仲間。同志社大学の2年生。サークルのバンドでギターを弾いている。小西にスピッツの「初恋クレイジー」を勧める。小西とは反対の気さくで明るい性格。小西に好きな人が出来たことを察したさっちゃんは、小西に自分の思いを告白して姿を消す。
★長回しで撮った告白シーンでの伊東蒼の演技に胸が打たれる。
④山根(黒崎煌代 くろさき・こうだい、21歳):関西大学2年生。大分出身。小西の学内唯一の友人。
⑤花とさっちゃんの父(✹浅香航大 あさか・こうだい、31歳):娘たちが小さい時病死していて、回想で登場。娘宛の手紙が残っている。ギターを弾く。
⑥マスター(安齋肇 あんざい・はじめ、70歳):小西と桜田が通う喫茶店のマスター。メニュー「オムライス」に特別な意味がある。
⑦夏歩(松本穂香 まつもと・ほのか、26歳):佐々木の娘。バイトの小西とさっちゃんを優しく見守るお姉さん的存在。妊娠していて赤ちゃんんを出産する。
⑧佐々木(✹古田新太 ふるた・あらた、58歳):銭湯「七福温泉」の主人。夏歩の父。
❺まとめ
①主人公の小西をめぐる桜田とさっちゃんの三角関係の恋愛模様で、小西の眼から見た内容になっている。
②女性2人は良かったが、小西のモラトリアムなキャラに共感出来なかった。何事にも無関心なのは、自分を守る防御反応だろうとは思うが、相性として共感出来ないのだ(笑)。
③テーマ曲になっているスピッツの「初恋クレイジー」を理解していれば、本作の理解も深まったのかもしれないが、全くの無知だった。
❻トリビア:セレンディピティ(Serendipity)
①セレンディピティとは、イギリスの政治家・小説家のホレス・ウォルポール(1717-1797)が1754年に生み出した造語で、「素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること」の意味で使われている(Wikipedia)。
②同名のアメリカ映画が日本でも公開されている。
『セレンディピティ(Serendipity)(2001米)』 2002/11公開・鑑賞 70点。
❖監督:ピーター・チェルソム、脚本:マーク・クライン、出演:ジョン・キューザック、ケイト・ベッキンセイル
③私にとってのウォルポールと言えば、ゴシック小説の傑作 『オトラント城奇譚(The Castle of Otranto)1764』。
決して美しい物語ではない。業を背負い、幸せを目指していく
上映前の印象とはだいぶ違い、簡単な言葉で言えば想定より重い映画であった。さっちゃんの告白シーンは本当に苦しくて見ていられなかった。あれほど早く終わってくれと願ったシーンは過去一かもしれない。この作品は一貫して「喪失」をテーマにしているのだと思う。喪失から逃げることなく、付き合い、幸せを目指す。そういったメッセージを感じた。ラストシーンは圧巻である。さっちゃんと同じようにつらつらと好きと言うまで言葉が飛び出してしまうが、流れる爆音のスピッツ、恐怖の対象であったはずの大きい音が聞こえてはいけない長い長い告白を打ち消す。さっちゃんは覗いていたのだろうか?そう考えずにはいられないカメラワーク。とにかく圧巻であった。
純文学の映像化
舞台になっている大学のOBの友人に誘われて鑑賞。
独特の世界観と言い回しから純文学と解る。
最後のタイトルロールからやはり原作がある作品と解る。
純文学なので、日常会話にしても何故その言葉?その言動?と思う事が多端にある。
主人公の小西は雨でも晴れてても傘を差すちょっと変わった大学生。
友達も1人しかいない。
銭湯で銭湯を洗うアルバイトをしている。
大学で団子頭の女の子を見かけデートを重ねるが…と言う物語。
兎に角、小西がちょっと変わってる。
デートをする花もちょっと変。
1番マトモなのは銭湯で一緒に働いているさっちゃん。
花に言われた事をひとつずつ試してみたり、花のお父さんが言っていた「今日の空が1番好きと思う」と言われた事を小西の祖母からも言われていた事がこの作品の主題になる。
花の言われた事を試した事を言っている事から、アルバイトの同僚のさっちゃんから彼女が出来た事が解り、さっちゃんが実は小西の事が好きで最後にさっちゃんが告白する。
それからアルバイトに来ないさっちゃんに待ち合わせに来ない花から花にフラれた思う小西が一カ月半後にアルバイトの銭湯からさっちゃんが亡くなった事を知る。
銭湯のオーナーとさっちゃんの家に行くと花がいてさっちゃんの姉だという事が解り、団子頭を切っていて、さっちゃんが交通事故で亡くなり、何にも出来かった一カ月半を事を知らせ、花の父が生前に娘の結婚式の為に書いた手紙を読む。
そして小西は花に一生側にいる事を告白する。
何度も言うが、ストーリーはそんなに進まないが純文学の映像化と解る作品。
独特の世界観があるが、その中に入れば良い作品。
疑問が謎のままでも面白い
主人公徹と花の出会いは
スピッツ・ロビンソンの歌詞「同じセリフ同じ時思わず口にする⋯」が脳内に響くようなシーンで、その解像度の高さから過去の自分をあれこれ思い出さされてく恥ずかしくなるような思いでした。最後にわっと疑問があふれ出して面白かったです。
疑問の数々
花は咲から徹の事を聞いて彼の目に留まるように近づいたのかそれとも偶然か
色んな偶然も花の演出なのか本当なのか
徹は実家で疎外されていたのか
咲は徹が姉と付き合い始めたのをいつ知ったのか
佐々木(銭湯の主人)はなぜ休んだ咲に連絡しなかったのか
咲の事故は徹との出来事が影響しているのか偶然なのか
咲が死んだのは花が徹と喫茶店に行く約束をすっぽかした当日なのかそれともそれ以後か
「目尻のシワを見てきてキモい」の会話は姉妹の会話かそれとも徹の想像か
山根に地元の彼女は居たのか
その他⋯
もう一回観て確認したかったのですがもうすぐ上映が終わってしまうので、またパンフレットも完売で、謎のままにしときます。
喪失を知っているには刺さるだろう
周囲の評判通りすばらしかった。特に俳優陣の演技がすばらしい。伊東蒼の長回しのシーンはハイライトの1つ。ここ最近はテレビも映画も河合優実の無双状態に見えてしまうが、簡単に伊東蒼が超えてきた感じ。
ストーリーは実体験とリンクするところもあり、苦々しい大学時代を思い出したりしてしまった。
また、肉親の死を経験した人でなければ、目まぐるしく移り変わる心理状態は理解しがたいかもしれない。喪失した人たちだけが分かる共通の感覚みたいなものがあった。あとで調べると原作者もそういう境遇にあり、だからリアルに感じれたのだろう。
編集や演出は多少クセありだったかもしれないが、テンポもよく個人的には好みだった。
タイトルなし(ネタバレ)
メインキャスト各々が担う、「この人達ちょっと苦手だな」って雰囲気が、物語が展開していくにつれて1つまた1つと絆されていき、最後には悲しい気持ちと不思議な多幸感に包まれていました。
咲の聞いて欲しかった、聞いて欲しくなくなった初恋クレイジーが流れた時に電流走りました。少し痛いくらいの愛はいつまでも心に残ってたりするもので、戻ってこないと知った時の虚な感じが自分にもあった気がして泣けてきました。
さくらの真似してお腹出したら花がお腹擦るシーンの、僕らには理解できないようなことが通用することはずっと映画の中で語られていて、あのシーンを受け入れられた僕はずいぶん幸せでした。さちせ
デモのシーンで感じたことは世界のどこかで戦争は起き、世界のどこかで同じ時間に起きた失恋は取るに足らないんだよ。
また戦争が起こると芸術は真っ先に淘汰され、面白い、つまらないと映画を観ながら揶揄できる場所にいられる自分が有り難いということ。
作品について誰かと話したくなったし、なんだかアキ・カウリスマキの枯れ葉も観たくなった。とても良い映画を観ました。ありがとうございました!
デモのシーンは「大阪万博反対!」にしたらよかったんじゃないかな
よくない映画でした。
異様にセリフが多いが、「どや?センスあるやろ?」って妙に捻った言い回しが多い。
そういう作り手の意図がうるさいくらいに伝わってきて、その時点でセンスないです。
もっと言えば一流の映画はセリフのセンスではなく、言わないことでセンスを魅せるのです。
セリフのセンスに頼ったこと。セリフでセンスを魅せようとしたこと。二つの間違いを犯しているのでこの映画は三流です。
要所要所にある超長セリフのシーンとか、いつまで続くんだよ、としか思えなかった。
主人公に魅力がない。こんなやつがどうなろうと知ったこっちゃないです。
店の看板犬だろうと、犬をわしゃわしゃする人間が嫌い。
主人公に想いを寄せていたバイト仲間の子の死が「感動のための死」でしかないのが不快。
監督のデモに対する理解が間違っている。
要所要所でパレスチナのジェノサイドに言及するようなシーンがあり、それがどのように物語とリンクしてくるのかと思っていた。
あんな仲直りした友情の証みたいなもんのために使うなバカタレ。
デモや政治活動なんてのは本当は皆やりたくないんです。めんどうだから。
でもやらなきゃどうしようもないから、やらないと自分がおかしくなってしまうから、だからやるんです。後から振り返れば青春にも似た情熱のようなものを感じることはあるかもしれないが、この映画のように仲直りしたことを示すための道具として使うのは不誠実だ。
不愉快だった。
登場人物が自己憐憫に塗れていて、それでいて社会が描かれていなくて、悪い意味でとても日本的な映画だと思いました。
サプライズな物語と長台詞の圧巻の名シーンが刺さる。気になるところもたくさんあるが。
ポスターイメージのちょっとした爽やかな青春ラブストーリー化と思えば、最近よくある「彼女が突然消えた理由が泣ける系」の物語でした。
しかし、中盤のサプライズな展開がとっても効いていて、面白く、また、とても切ない。
何といっても、このさっちゃん演じる伊東蒼の演技、長台詞のシーンが圧巻!
特に「私の名前も知らないでしょう?」は強烈で刺さる刺さる。
これだけのことを言われて、突然死なれたりしたら、そりゃあ凄いダメージをうけますよね。
冷たく言えば、本当に勝手で、命懸けのとんでもなくえらい迷惑でもあるし、気付かない男が本当に鈍感すぎる。
これを支える、河合優実のキャラクターと演技はさすがの安定感。
ところどころ個性的なカットが挿入されてたりするのが、いいカットと、意味不明なカットがあったりと、玉石混合なところも含めて、面白い作品。
但し、結局、人が死んで悲しい話であるところは残念。
そりゃあ感情移入した人が死んだら泣けるし、脚本としては安易な部類だと思う。
(以上蛇足で、さらに個人的な単なる感想です。)
最初、製作会社マークの時点で「吉本」と出てきて不安になった。ノイズでしかない。
そして始まる大学の日常シーン。
いちいち会話で「おもしろ」を入れてくる、関西弁のボケツッコミ、ノリツッコミみたいなのも気になるし、疲れる。
さらに、友人の、変な喋り方もわざとらしく。
そして、関西大学って未だに出席カードなんだ、自分のなん十年も昔の当時の経験でも、カードに毎回違う印が付いていたり、カードの色が何色もあって毎回違ってたり、授業の最後に配ったりと、実に様々な不正対策されていたものですが。
大学が撮影協力してるってことは、「代返」歓迎な大学なのか?
基本的に、多くの学生は親の金で入学して、学費を払ってもらって、平気で授業サボって遊んでるのかとか。自分で学費を払ってるならともかく。
さらに、出席カードの提出を頼まれたのに無視するし、そのことが先の展開でフォローもされないし。
そういう調子のいい連中と距離をとってたはずの主人公2人も、結局仲良くなった途端に調子に乗って、追従して授業さぼるし。
そういうところが気になる気になる…。
「青春とは残酷さの代名詞」ということを痛感する映画
<ちょっと長文>
特異な笑いを届けるお笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳さんの初小説が原作というだけの事前情報で観た。
主演のお二人は監督が求めるレベル以上の演技を見せていると思う。だが、多くの方が言及するように、本作はもう伊東蒼さんの映画となった。
いくつかのドラマや映画(「宙わたる教室」「さがす」等)で気になる女優さんとはおもっていたが、もう完全にノックアウトである。
「青春の門」で大竹しのぶさんが登場してきたときのような衝撃だ(昭和のおっさんなので喩えが古い?)。
伊東蒼さんはまだ19歳の若い女優さんだが、子役時代のキャリアが有るのでちょっとした中堅でもある。
本作は、宣伝ポスターにあるような爽やか青春映画ではない。
朝ドラでは、途中で何かしらのハプニングが発生し登場人物の道が途絶えることがあっても、最終的にはその不運を補うような展開になっていく場合が多い。それは視聴者が期待することであり、そのことで視聴者は満足している。
しかし本作では、途中の衝撃な出来事の後でそのような補完的な展開はなく、多くの観客を戸惑わせるだろう。
私も、さっちゃんの告白場面から心を鷲掴みにされ、宙ぶらりんのまま映画館を後にし、帰途についた。そしてしばらく数日は心が浮ついたままだった。私の心は映画館のあのシートに残されたままなのかもしれない。
冒頭付近のさっちゃんのバンドが奏でる「倍音そうる」(ネットで蛯子和典さんのオリジナルを聴くことが出来る)は心地よい。
冒頭、雨の日も晴れの日も傘をさす主人公の姿が短いショットで出てくる。主人公の何かしらの強い意志の表現かと思われたが、話しが進むにつれそれは自分を守る盾(あるいは言い訳)であることがわかってくる。花のキャンパスライフに乗り遅れ、友は山根1人しかいないという生活のなかで、敢えて変な人間を演じることで仲間のいない姿を正当化していたのだ(過剰な自意識の裏返しともいえるが、青春期の自意識過剰は普通であり、特権でもある)。お昼に1人で食事するのが嫌でトイレで食事を取る学生がいるというニュースを想起させるエピソードでもある。
小西と1人ざる蕎麦女?の出会いなどは、お馴染みの青春恋愛映画が始まる感じなのだが、さっちゃんとの絡みから様相が変わってくる。
さっちゃんの思いは残念ながら小西には届いていない。さっちゃんはしきりに信号を送っているのに、届いていないというより、小西が鈍感過ぎるのだ。さっちゃんがこれまでの思いと別れの言葉を吐いても小西は動こうもしない。「さっちゃん、立ち去るな。小西よ、さっちゃんの許へ駆けつけろ‼」と私はスクリーンに向かい、心で叫ぶ。だが、小西は微動だにしない。そしてさっちゃんはスクリーン右へと静かに消えていく。何と言う、映画史に残るせつない瞬間だろうか。
ケミストリーが合わないという表現があるが、小西とさっちゃんの間にはケミストリーはおきなかった。仲の良いバイト仲間というのが小西からの印象だったんだろう。
映画ファン、映画好きを自認する人には必見である。個人的には今年前半のベストと思う。
ただし、物語は全ての観客が安心できるような場所には着地しないので、そこは覚悟すること。
近くの紀伊国屋書店に行き、原作の文庫本を探したが無かったので、電子本(Kindle)を購入した。
映画を観てから原作を読んだのは、「ガープの世界」以来のことだ(ロードショウ公開時のことなのでこれも古い話しだ)。
原作には、映画化されていない最後の章があり、こちらも私には衝撃的だった。又々、収まりのつかない思いがそこらじゅうを歩き回るばかりだ。
シナリオが「月刊シナリオ」6月号に掲載されたそうなので、ネットで注文した。
小西の友人山根を演じた黒崎煌代さん、以前どこで見た顔だなと思って調べると、「さよなら ほやマン」で主人公(元MOROHAのアフロ)の弟を演じた彼だった。
総じて、主要な登場人物を演じた俳優人には若手の演技派が集まっているといえる。
小西が積極的に聴くことのなかったスピッツの「初恋クレイジー」を、多くの観客は映画館を後にしてから聴くことになるだろう。あの名曲「チェリー」と同じアルバムに収録されている。
私が住む地域では一か所のみで三週間の公開で終わったが、一番近いシネコンで公開され、混雑しそうな大作を避けた結果、観る機会に恵まれた。また上映最終日にも二度目の鑑賞機会を得た。これもセレンディピティなのだろう。
それにしても ヤ・マ・ネ‼ 君はあの独特のシャツをどこで買っているんだ!?
追伸。
宇多丸さんの5/8付ムービーウォッチメンでも同作が取り上げられており、Youtubeやポッドキャストで聴くことが出来るし、文字起こしもアップされているので、是非参考にしてください。
追記。
劇中で、路上ミュージシャンとして山合圭吾さんが歌っている「日に日に」が、5/21から各種サブスクで配信されるそうです。
長々と言わないとあの言葉にたどり着かない。
すごい映画を見た。
上映後、なかなか言葉が出てこなかった。言葉にできない余韻。でも、それを言葉にしたいと思い、初めてレビューを書いてみた。
この映画は、男子大学生小西(萩原利久)が休学から復帰し、同じ大学に通う女子大生桜田(河合優実)を見かけ、気になり始めるところからスタートする。
とにかく、繊細な心理描写から目が離せない。
桜田が気になりつつも、声をかけられない。どうきっかけを作ればいいのか。近づきたい、でも、近づき方がわからない。そんな小西の不器用さがもどかしい。
その後、偶然から会話が始まる。お互いのことを知らない同士のぎこちなさ、気まずさ、何を話せばいいんだろう、、、が伝わってくる会話に共感しつつ、徐々に会話が弾んでいく楽しさを感じていたその時、小西が桜田に「授業を抜け出そう」と提案する。
授業を抜け出し、急激に距離が縮まる2人。
緊張の糸が解け始め、安心感と高揚感、心地よいやりとりが展開される。
気になっていた人が、好きな人に変わるかもという、わくわく感の中にドキドキが混ざってくるような、そんなやり取りが微笑ましい。
前半の展開が変わるのは、さっちゃん(伊東蒼)の告白シーン。このシーンに心がえぐられる。
さっちゃんは、小西のバイト仲間で、小西に恋心を寄せている。が、小西はそのことに全く気付いていない。
さっちゃんの挙動がいちいちかわいい。小西の何気ない一言に浮き足立ち、小躍りをするくらいには乙女である。しかし、バイト中の何気ない会話から小西に好きな人ができたことを察する。
その帰り道、自分の恋が実らないことを知りながらも、今日まで気持ちを伝えなかった後悔から、小西に告白をする。というよりも、さっちゃんの感情が溢れ出して留めておけなかったのかもしれない。
この告白シーン、めちゃくちゃ長い。が、一瞬たりとも目を離すことができない、と思えるほどに心を深く刺される、何度も。恥ずかしさ、後悔、もどかしさ、自己嫌悪と言った感情が言葉になり、溢れ、ぶつかってくる。
「私のおらへんところで、私のこと思い出して、聞いて欲しかっただけ!」、「好きになってごめんな!」といった言葉の数々に胸を締め付けられる。
あぁ、恋とか青春って、全然キラキラしてなかったな、ということを思い出させられた。
一方で、小西の視点に立って考えると、気になっていた人と距離が縮まり、地に足がつかないような夢見心地である。彼は、さっちゃんの気持ちを正面から受け止めることも、気の利いた返事をすることもできず、立ち尽くすことしかできない。
次の日、早朝から桜田と喫茶店で朝食を摂る小西。完全に浮かれているということが誰の目にも明らかで、前日のさっちゃんの告白シーンを見たからこその、モヤモヤがすこし漂う。
喫茶店を出た小西は、その日のランチを同じ喫茶店で食べよう、と少しおかしな提案をする。快諾する桜田。しかし、約束の時間が来ても桜田は現れず、日が暮れてしまう。
それ以来、小西の前に桜田が現れることはなかった。
突然のことに動揺し、自分は嫌われたのではないかと被害妄想を膨らませ、落ち込む小西。そして、悶々とした1ヶ月半を過ごす。
後半、物語が動くのは、小西のバイト先のシーン。告白から1ヶ月半、さっちゃんはバイト先に来ていなかったのだが、その理由をオーナーが小西に告げる。小西は、告白後の気まずさからバイトを辞めてしまったと思い込んでいたが、実は交通事故でさっちゃんが亡くなってしまったことを知る。
オーナーと小西で、さっちゃんの自宅へ線香を上げに行くことに。そのさっちゃん宅で桜田と偶然の再会を果たす(桜田はさっちゃんの姉だった)。
そこで桜田は、さっちゃんが事故にあった日のこと、それからの自分の生活について小西に話す。
(さっちゃんが事故にあった日は、小西と桜田が朝食を食べた喫茶店で、ランチをしようと約束した日。)
淡々と展開されながらも、込み上げてくる感情を抑え切れない桜田の話し方がものすごくリアルで、引き込まれる。家族の死、そのことから生まれる哀しみ、痛み、苛立ち。更にさっちゃんの告白シーンが思い起こされて、感情が込み上げて来る、涙なしには見られない名シーン。
そして、さっちゃんのお気に入りだった曲「初恋クレイジー」を2人で聞くことに。
音量を上げる小西。そして、桜田へ「好きだ」という思いを告げる。
さっちゃんの告白を正面から受け止められなかった小西。そんな自分が、まさにさっちゃんの遺影の前で姉である桜田に告白をする。複雑。
「人を傷つけた人間として生きていくよ。最低最悪のクソ野郎として生きていくよ俺は。」という言葉に、小西の力強い覚悟が感じられる。個人的にはめちゃくちゃグッときた。
そして最後に「好きです。」と告げられ、映画は幕を閉じる。
メインの軸ではないが、小西の唯一の友達の山根(黒崎煌代)。めちゃくちゃいいやつで素敵だった。あんな友達が1人くらい欲しいねん!特に仲直りのシーンがええねん!
あと、バイト先の佐々木さん(古田新太)。佐々木さんの存在が映画に厚みを持たせていると感じる。
さっちゃんの死を小西に告げるシーンの「自惚れるなよ、クソガキ!」の所、痺れた!
長々とまとまりのない文章を書いてしまった。ほんとはもっと端的に!あの言葉だけ伝えたら良かった。でも、助走なしで、あの言葉は伝えられなかったと思う。
最高に好(この)きな映画でした!!!
素晴らしい構成と演技
伊東蒼(さっちゃん)、河合優実(花)、萩原利久(小西徹)の演技が素晴らしく、大九明子監督・脚本による全体構成が緻密で、期待以上のすばらしい映画でした。特に、伊東蒼と河合優実のしゃべり続けるシーンがよかったです。伊東蒼を最後まで川栄李奈だと思って観ていました。
また、性的な接触が一切ないので、観終わった後に爽やかな気持ちになれました。
ただ、授業中の私語はやめてもらいたい。
恐るべき恋愛映画
1人で鑑賞いたしました。
ポスターや予告だけ見ると、よくあるラブストーリー、所謂ボーイミーツガールの作品だと思っていました。
序盤〜中盤まではその予想通りでした。これだけで進行してラストを迎えても、十分ラブストーリーとして成立するくらい、とても丁寧に表現されていました。
しかし中盤からラストまで、色んな感情が揺さぶられました。
自分の過去の感情•記憶の深いところがスクリーンに投影されている気がしたかと思えば、そして最後には自分の中に入り込んでくるような気もして、
気づいたら涙して見ていました。
恐るべき映画体験でした。
恋愛映画でここまで表現できるなんて!
今度は妻と見に行こうと思います。
また作品中の音楽が素晴らしく、音響効果が存分に生かされているので、映画館で見ることをオススメします。
素晴らしい作品を作ってくださった、キャストと製作の方々に深く感謝しています。
ギャグ魔人が書いた脚本とは思えない。
友達が見に行ったと聞いて鑑賞。
伊東蒼さんめちゃくちゃよかったです。
さっちゃんの長台詞が一番でしたね。
「初恋クレイジー」を聞いておらず関心をよせない主人公に共感できなかったんですが、自分にない世界を持っている異性に惹かれる感情も同類なのかなと思うと胸が痛かったです。
ジャルジャルのコントの後の「読んでください」を毎回見ているのに原作を見ていないのも同じことか?
中盤の長台詞は名シーン
青春恋愛映画ではあります。
でも、もっと深いところで訴えかけてるような、そんな映画でした。
もう少し隣人に対して関心を持っていれば、その関心をちょっとでも行動に移していたなら、
運命は変えられないにしても、そこに関わる人たちの不幸や苦しみはわずかだけでも軽減されていたかもしれない。
びっこを引いた脚で、プラカードを持ってデモ隊の最後尾について行く程度の行動でも。
さっちゃんのフルネームを聞くだけの関心を持っていれば、
無断欠勤のさっちゃんに確認の電話をしていれば、
運命(事故死)は変えれなかったかもしれないけど、関わる人たち苦しみは軽減されていたはずです。
原作ではそこまで描いていたかは、わかりませんが。
タイトル名で損してる映画だと思いました。でも、原作あっての作品なのでしょうがないんですけど。
恋
原作未読で鑑賞。
どんな衝撃が待っているのかドキドキしながら観ていた。想定外のストーリー展開、役者の演技力に観る価値の高い作品。映画音楽は名作に欠かせない。この作品にはオリジナル曲はないが使われている楽曲や効果音が素晴らしい。主演 萩原利久に関しては、この作品で初めて彼を知った方はこれを機に彼の今までの作品を観て頂けたらと思う。映画…ドラマ…バラエティー…いろんな顔を魅せる萩原利久。この作品では恋する喜び…無くしたと思った時の悲しみ…他にも残酷だったり我儘だったり…と、いろんな表情を見せてくれた。
30年位たっても昔こんないい映画があって、またスクリーンで観たいっていわれるような映画になると思います。⭐︎4.5なのは私が、ここはどうしても受け入れられないという場面があったからです。素敵な映画です…是非劇場で🎞️
大九明子監督作品が好きと言える理由
ネタバレ厳禁の作品ですので、これから鑑賞の方は↓読まないでください。
【大九明子監督作品が好きと言える理由】
①「勝手にふるえてろ=松岡茉優」「私をくいとめて=のん」など、俳優の魅了を引き出すのがとても上手いと思う。この作品も河合優実・伊東蒼の魅了が存分に引き出されていました。
②演出のセンスがとても好き。
この作品も、ほぼ会話劇だけでストーリーを伝えているセンスが好き。特にさっちゃんが亡くなったシーンも一切映像を使わず会話劇だけで見せている(それを成り立たせている河合優実の演技ももちろん素晴らしい)。
③原作のセレクトが良い。こういう個性的な感性の原作を料理するのが上手いんだなあ〜。
④余韻が残る。
・さっちゃんは小西が「セレンディップの三王子」の話をした時に小西が姉を好きなことに気づいたんだろうな。小西はさっちゃんのフルネームを知ってさえいればふたりが姉妹って気づいただろうに。
・さっちゃんが「好き」のことをすきと言わずにこのきと言った時に、感が良い人ならふたりは姉妹ってこと気づいたんだろうな。
期待度○鑑賞後の満足度◎ 河合優美が出ているシーンは目が覚めているのにそれ以外は何故か眠気を誘う不思議な映画。それだけ河合優美の攻めと受けの演技が凄いのと、ラスト15分間の演出の巧さ。
※2025.08.02. 3回目の鑑賞[Amazon Prime]
①昨日(2025.05.10.)1度鑑賞したのだが、最初の30分くらい寝落ちしてしまったので、昨日再挑戦。昨日ほどではないけれどもやはり前半のところどころで意識が飛んでしまっていた。特に寝不足でもなかったし…
でも最後の20分間~15分間(くらい?)で描きたいことは殆ど描けていると思う。
②今回初めて通して観て殆んど破綻のない映画だと分かった。
好きになった女の子と良い友達だったけど気持ちを受け入れられなかった(気付きすらしなかった)女の子とが実は姉妹だったというややあざとらしさはあるけれども、それ以外は殆んど文句のつけようがない。
③本作『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(言わなくても良いよ、死ぬときまでは)といい、『ふがいない僕は空を見た』といい、大人(って何?だけど)になっていない若者は愚かだけれども自分もあの頃のモヤモヤ感が思い出されて切ないまでに懐かしい。
④
素敵な映画だった。
伊藤蒼さんの演技が特に印象に残った。
伊藤蒼さんといえば、今まで「湯を沸かすほどの熱い愛」「宙わたる教室」「新宿野戦病院」などで演技を見てきたが、今回は大学生役として順調に、というか予想を越えて、成長した素晴らしい演技を見せてもらった。
もちろん、萩原利久くん、河合優実さん、黒崎煌代くん、古田新太さん、浅香航大さん、安斎肇さんらも素晴らしかった。
原作の福徳秀介さんが、自分が高校生の時にお父さんを交通事故で亡くしており、またスピッツの根っからのファンだというエピソードも、作品に深みを与えていたように思う。
時々目が点になる
最近観た中では、心が震える作品でした。
演出に関しては、好みが分かれるかもしれません。
でも、人ってみんな癖がある。
だからこそ、惹かれるんだと思います。
「人はどうしたら恋に落ちるのか」そんなことを考えながら観ていたら、まさに予想通りの展開で。
それでも、恋に落ちた人の目って本当にキラキラしていて、見ていて眩しい。
だから、さっちゃんは暗闇の中でも輝いて見えたんだと思います。
一方で、徹の眼差しにはどこか冷たさがあって、
同じ暗闇にいながらも、他人を見ているような残酷さを感じました。
偶然と共感は、人に安らぎを与えるもの。
だから一緒にいたくなる。
けれど、それが叶わないとわかった瞬間、
どうしてこんなにも悲しいのか——
自分でも不思議なくらい、心が動いていました。
そんな気分を味わえる、静かで強い余韻のある作品でした。
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