敵のレビュー・感想・評価
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深く考えさせられる
とりあえず観た直後の感想としては、とにかく面白かった😂どこまでが現実でどこからが夢なのか、想像なのか?わからないが、そこは重要では無い気がする。その事を考えてると、まてよ?でもそーゆー事は?えっ?って事は?…とどんどん考えが膨らむ。きっとそーゆー事だろう。主人公は自分の死に際を考えて視野に入れて生活をしている。そんな時に彼の頭に浮かぶのはいったいなんなのだろうか?そして、敵とはいったいなんだったのか?考えれば考えるほど……🤔謎は深まるばかり。ただ、1つ思ったのは、この話は自分にも言えることで、自分自身も過去を振り返ると負い目や後悔、過ちを繰り返してるわけで、今後の人生どうして生きていこうかなと考えてしまった…まだ早いが自分が歳を重ねた時に死に際どうするのかと思う時がくるのかもしれない🤔💭
老いゆくひとの生の姿
なかなかの力作。
多くの人が抱えている潜在的・顕在的な不安を、独特の物語世界をもとにして映画で表現した作品——ということでいいでしょうか。
とりわけ中年以降の男性には(あるいは女性にも)切実に響くのではないでしょうか。
容赦なく迫り来る老いと、その先に待っている死。生きている限り誰もそこから逃れることはできません。
老境の生活の不安、将来の不安……。
この作品には、生々しいともいえる生の姿が描かれていると感じました。
生きるって、人間の生って、残酷だなぁ。
「敵」というのは、人間の「生」そのものなのかもしれないなぁ、なんて考えたりして。
何度も映し出される料理と食事のシーンが印象的でした。
食べるということは、まさに生きるということ。
それから、「音」も。主人公の発する様々な生活の音。生きているということは、音を立てるということなのだと今更ながら思った。音を立てなくなったとき、ひとは死ぬのだな、と。
情報量を絞ったモノクロの映像で表現することによって、それらの「音」が際立っていると感じました(これも監督の狙いであることは確かでしょう)。
主演が長塚京三というのもよかった。熟練の役者の演技は、安心して鑑賞ができました。
追記
それにしても、河合優実ちゃん。これだけ多くの監督がつかいたがるということは、やっぱり「持ってる」んだろうなぁ。相当に。
まあぼくも『サマーフィルムにのって』で彼女の魅力の虜になった一人ですが。いずれにしても“選ばれたひと”であることに間違いはないですね。
敵は何処に?
原作を読んだのは大昔だったがあらすじはある程度覚えている。当時は30代だったので普通に娯楽小説として楽しめたが、正直70を過ぎてこの映画を観るのは辛いかも?僕の記憶では主人公は長塚京三のような紳士的な大学教授ではなくもっと尊大な(筒井康隆のような?)イメージだったが。瀧内公美は笑っていても怖く、河合優実は笑っていなくても、父親が破産して寸借詐欺を働こうとする時でも、幸せそうに見える(少なくとも僕には)のが対照的。パーフェクトデイズを思わせる歯磨きのシーンが多いが、ここまで何度も観客に見せる必要があるのかは疑問。モノクロにしたのはよかった様な気がする、下血シーンはカラーでは観られなかっただろうから。一人の食事でもきちんと材料から手作り(一人焼き鳥は初めて見た)する几帳面な主人公が途中からカップヌードルを食べる(僕と同じ)ように変化していくのは象徴的。敵は老いであり、そして着々と進行する認知症。僕もそろそろ老後の準備をしなくてはいけないのかもしれない。
老いの恐怖をシュールに再現
前半は儀助の生活を淡々とスケッチする日常風景で構成されている。一昨年に観たヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」を彷彿とさせる作りで、特に大きな事件が起こるわけではないのだが、丁寧な描写の積み重ねに儀助の人間性、周囲との関係性が窺い知れて興味深く観れた。
自炊にこだわり、コーヒーミルで豆を挽き、原稿を書き、時々行きつけのバーで酒を飲む。何の変哲もない日常だが、キャリアを終えた人間の暮らしとしては十分すぎる幸福ではないだろうか。何とも羨ましく観れた。
しかし、そんな平穏な日々も、元教え子の靖子の登場によって少しずつ変わっていく。冷静で理性的な儀助が年甲斐もなく彼女に惚れてしまうのだ。よく”男は幾つになっても…”なんて言うが、まさにそんな感じでこれには苦笑してしまった。
ただ、ここまでならただのスケベオヤジの他愛もない妄想で片付けられるのだが、問題はここからである。儀助の妄想はどんどん恐ろしい方向へと膨らんでいくのだ。
もう一人、歩美という女子大生が登場してくるのだが、彼女もまた儀助の人生を狂わせるファムファタールとしての役割を持たされたキャラである。先の靖子についてはまだ妄想の内に己の欲望を具現化するだけで済んでいたのだが、彼女に関してはいよいよ現実と妄想の境目が見えなくなり、ついに実害を被るまでに至ってしまう。高齢者を狙う詐欺はこういう風に行われるのか…などと思ってしまった。この辺りから、この映画は虚実の曖昧さが加速してしく。ほのぼのとした前半からは想像もつかないような恐ろしいトーンが横溢し始める。
本作は筒井康隆の同名原作(未読)の映画化である。現実と妄想、悪夢、幻想が交錯した後半の世界観は、いかにも筒井ワールド的な不条理劇となっている。リアリティを重視した前半の日常描写とのギャップが上手く効いていて、予測不可能な展開の連続に興奮させられっぱなしだった。
監督、脚本は吉田大八。元々こうしたシュールなユーモアを作り出すのが上手い作家なので、筒井康隆の世界観との相性は合っているような気がした。思えば、出世作「桐島、部活やめるってよ」は不条理演劇の代表作と言わる「ゴドーを待ちながら」を意識した作品だったし、「紙の月」の宮沢りえはお金という幻想に憑りつかれたヒロインだった。現実と幻想が織りなすシュールな世界を描くことに、吉田監督はかなりこだわりを持っているような気がする。
しかも、本作は全編モノクロというのも大胆なところで、監督のこだわりを感じる。一つの考え方として現実と妄想をカラーとモノクロで表現するというやり方はあったと思う。しかし、敢えてそうせずモノクロで通している。その方が虚実の境界があいまいになり、観客が儀助の視界を追体験できるという理由からこうしているのかもしれない。いずれにせよ、人生の終末をこうした不条理なトーンで切り取った所に新鮮な驚きと興奮を覚える。
そして、本作は儀助を演じた長塚京三の巧演が光る作品でもある。これまではどちらかと言うと脇役が多い印象だったが、主役で伸び伸びと演じさせると、これほどドラマに深みをもたらす俳優だとは思わなかった。79歳になるということだが、晩年にこうした作品に巡り会えるというのは役者冥利に尽きるのではないだろうか。
さて、タイトルになっている”敵”の存在だが、自分はこの”敵”がいつ登場するのか興味津々で観ていた。ただ、これが中々登場してこなくて悶々としてしまった。正直な所、少し勿体つけ過ぎな感じがしなくもない。もっと早い段階でその片鱗を匂わせていたら、更にスリリングに観れただろう。作劇上で不満が残ったのは、この1点である。
欲
『敵』。面白かった。
終始モノクロで描かれる手法は、作品にとても合っていると思った。主人公の渡辺儀助は一人暮らし。きたるXデー(寿命)に向かって、貯金残高を計算し、ご飯を自分で作り、たまには友人と酒を飲み、それなりに丁寧な暮らしをしているように見える。だが、「敵がくる」というメールが届いてから、彼の生活はどんどんおかしくなっていく。
「敵」とはなんだろう? 私は「欲」だと思った。
妻に会いたい欲、
誰かと一緒にいたい欲、
教え子と寝たい欲、
何もかもが暴露されてほしい欲、
誰かに頼りにされたいという欲、
隣人がうるさくて早く死んでほしいという欲、
本当は寂しくて早く死にたいという欲、
欲があることを認めたいという欲……。
彼は自分自身を「真摯」で「誠実」で「真面目」だと勘違いしているがゆえに、これらの欲に襲われる。欲は次々と襲ってきて、彼に欲を認めさせようとする。
そう考えると、本当の敵とは「自分自身」だったのかもしれない。欲を認めず、跳ね除けようとする自分自身が敵だった。そう思えば、彼の余生そのものがまるで夢のようで、だから色彩を持たなかったのも納得できるような気がする。
この監督の味
なかなかにすごい作品
「敵」が姿を現す前の段階で、モノクロの画面に引き込まれた。
本当に、俳優・長塚京三がこういう日常を送っているんじゃないか、と思うくらい自然な立ち居振る舞いを見せるのだ。
敵がどうだ、こうだ、というのはほとんど意識する必要はない。
描かれる、老仏文学者の妄想と行動が実に深みがあるのだ。
「敵」が出てくると、逆にそれまでの静かな流れがひっくり返される印象がないでもない。だが、その部分は前半の流れを台無しにするようなこともなく、味付け程度と思ってよい。
全体から見れば、たいへんに良い出来栄え、と感じた。
★5つつけてもいい、と思わないでもないが、パンフレットがペラペラなのに1000円もするのが気になって、それで★半分マイナス。パンフレットは立ち読みして買わなかったけどね。
平日昼間で、封切りから1カ月近くたつというのに客入りは半分以上あったと思う。
未見の人は、ぜひ急いで見に行ってほしい。
敵(映画の記憶2025/2/12)
敵の正体は
自分自身の老後が気になり、「敵」を鑑賞しました。
去年は「九十歳、何がめでたい」も鑑賞しましたが。
「敵」とは何か、劇中では直接的な説明が無かったのですが、主人公が飲み込まれた「悪夢」、それを引き起こした「老い」、となるでしょうか。
知的な主人公は自分を安売りすること無く、自尊心を持って規則正しい日々を過ごしていましたが、そんな人でも敵から逃れられなかったのですね。
準備を怠ることが無いようにしたいです。
まずは掃除をして身綺麗にしておかないと、と反省しておきます。
筒井康隆らしい映画
老いて夢みるのが怖くなった!
自分とは違うけれど、気をつけたい
同じ元大学教授だが、主人公ほど研究面での仕事の依頼や教え子との交情が全くないところは違うので、性的誘惑にかられる心配は少ない。詐欺に遭う可能性はあるだろう。コンピュータウイルス感染のようなことはつい最近経験したばかりで、情報面で致命的で、良い助言者に恵まれることが大事だと痛感しているところだ。近隣の揉め事に巻き込まれることもまさに直面している。本作のように、妄想に呑み込まれないように気をつけたい。
パソコンが壊れ、デジタル文書に著していた遺書と、アナログ文書に遺した遺書の内容は違っていたということだろうか。最後の場面は原作にはなかったらしいが、主人公が既に、死んだはずの祖父の幻をみたように、相続人も死んだばかりの主人公の幻をみてショックを受けたというのが当然のところだろう。
時間や空間を超越するモノクロ映画の威力
終活しつつ、潔く自分の死までの道筋を計画している老齢の元教授に
様々な敵が次々と襲い掛かってくるが、
現実・非現実が不明瞭で、その浮遊感がモノクロであることによって強調される。
さらに、ときに強いコントラストの画面描写によって質感が薄まり、
対象物体や人物の年齢、時代設定すらも曖昧になって、
後半の得体の知れない不可視な遠方からの強力な敵の攻撃が、
時間や空間を超越して同居しても不思議と現実感が損なわれない。
その長い時間軸を包含しているモノクロの表現が
老齢の生活、欲など生々しい部分をも描いたストーリーでありながら、
長塚さんの佇まいも相まって、
全体に美しさを保ち、雰囲気を醸し出しているように感じた。
惑乱体験にガツンとされて鑑賞後に呆然となりました。
吉田大八 筒井康隆
フランス書院文庫❤️
えっ、長塚京三79歳?
教え子(瀧内公美)をオカズにブリーフを汚してしまい、自分で洗う独居老人役。さすがにおちちは垂れていたが、目の奥のギラっとした感じは消えてないのはさすが。
筒井康隆のブラック小説が原作らしいが、筒井康隆のSF小説の飄々とした感じはない。
原作は読んでないので、どの程度脚色されているかはわからないが、旅行雑誌のサブ担当者役のカトウシンスケの遠慮のない図々しさと、フランス書院文庫が好きです発言はおかしかった。ワタシもフランス書院文庫好き。
映画は正直あんまし楽しくないし退屈だったなぁ。だいたいみんな経験済みのせいかな。
アンソニー・ホプキンスのファーザーとどうしても比べてしまう。
1998年に77歳だと確実に戦争で空襲を経験しているでしょうね。何でも溜め込む世代。エメロン石鹸はもう生産されていないらしい。
スーツケースにためていた石鹸。大学教授だった儀助がお中元·お歳暮にもらったのを奥さんが大事に貯めていたものなんでしょう。ひとりで奥さんを思い出しながら、一緒に湯船につかりたいと思っていた儀助がその石鹸を大事に使い続けていたのだろうと思うと、ものすごくエモいと思いませんか?そこの場面をもっと掘り下げて欲しかったなぁ〜とフランス書院文庫好きのワタシは思うのであります。
タイトルなし(ネタバレ)
こちらも安楽死の参考になりました。自分の死に方を決めていた主人公の生き方が。
(300万騙し取られて)不思議と怒りはないんだ。むしろなるべくしてなったような気っがする。世間知らずの大学教授への罰だよ。
という言葉が印象的でした。
モノクロでこそ際立ちます
妻に先立たれ、古い日本家屋に1人で住む渡辺儀助
設定は77歳でフランス文学の大学教授だった
独居老人と言っても、自炊して美味しいものもしっかり食し、公演や教え子から依頼される記事を書いたりして生活に張りがあるように見える
かつての教え子たちからも慕われ、時々は料理を振舞ったり、身の回りの雑用を請け負ってくれる教え子もいたり、たまには友人と酒を嗜んだりで、良い老後を満喫しているようにも見える
自分のお金の残高を計算しながら生活しているが、それはそれでしっかり見据えていてさすが元大学教授
かと思えば、行きつけのバーで働くバーのオーナーの姪っ子に大金を騙し取られたりして気弱な老人なところも
途中までこの映画のタイトルは「敵」であったことを忘れるほどだったが、パソコンに「敵」についてのメールが届き出したところで思い出した
そこから映画の雰囲気が変わりだし
儀助が悪夢を見るようになった
どれが夢でどれが現実か
覚めても覚めても夢なのか
そして敵とは
夢は全て儀助の妄想で、
その妄想が「敵」で
義助を追い詰めていたということなのだろうか
最後 儀助の遺言で槙男に家屋を託していたが、納屋の品物や、家の中の書物についても教え子に託したはずなのにそこには触れてなかったのは、教え子達も妄想?夢?だったのか
実はどこからが夢だったのか
モノクロなのも心理的に見入る要素になっていたし、最後まで不思議な感覚で鑑賞することが出来た
白黒画面で見る瀧内公美は、とても美しかった。。
筒井康隆原作、吉田大八監督作品。
YouTubeの『ホイチョイ的映画生活〜この一本〜』チャンネルを見ていて、この映画の事は知った。
調べてみると、筒井康隆はまだご存命で現在90歳。
『敵』を書いた時は60前半だったみたい。
この映画は、隠居している元仏文教授の妄想を描いている。
この状況を見ている人がどうとらえるか?
60前半だった筒井康隆は何を思ってこの小説を書いたのか?
若い人が見て共感できるところってあるのだろうか?
共感できなくとも映画として楽しめるとは思うが。。
2月の最初の祝日、お客さんは結構入っていました。
そんな事を考えながら映画を見ていた。
筒井康隆の本は何冊か読んでいた。
富豪刑事とか、文学部唯野教授とか学生時代に読んだ記憶がある。
昔はテレビにも出ていて、癖のある人ってイメージ。
このストーリーを映画にしちゃうんだから監督って凄いなと思いました。
娯楽映画という感じではないですが、映画作品として楽しめました。
長塚京三の元大学教授役はまさしくピッタリでしたね。
この人は、こういう品のある役が似合っている。
白黒画面で見る瀧内公美はとても美しかった。
今まではあまり意識した事は無かったけど。。
河合優実は良かったのだけど少し飽きたかな。。
あんのこと、ナミビアの砂漠、八犬伝と最近見た映画にも出ていたし、出過ぎって感じてしまった。
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