劇場公開日 2025年1月17日

「虚の中のリアリティ」敵 omoroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0虚の中のリアリティ

2025年1月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

夢なのか妄想なのか現実なのか不確かな事象がスクリーンで起きる事自体を楽しむ映画なのかと思うが、終盤は全てが夢か妄想にしか見えなくて(実際そうなんだろうけど)割とどうでも良くなってしまった。
ギリ現実なのかもと思わせる描写があれば感じ方は違ったのかもしれないが。

映画や小説が全て虚なのは当然だが、虚の中のリアルのバランスとして自分はこの作品は上手く受け止められないと感じた。

丁寧な日常を丁寧に描写している序盤や、心の状態が日常の行動に波及している終盤の描写とかは好きです。
彼の様に地位も名誉も手にした人間でさえ、その地位と名誉の源泉から離れてしまった後の姿の描写として身につまされるリアリティがある。人間は一定以上自己のアイデンティティを外部に依存せざるを得ないが、依存の程度や強い場合や依存先が少ない場合の危うさについては老後に限らず意識しなくてはならない。

原作未読なので映画単体としての評価です。

omoro