「人間が弱ると、わき出て来る「敵」」敵 masayasamaさんの映画レビュー(感想・評価)
人間が弱ると、わき出て来る「敵」
原作未読。筒井氏の作品なら面白いだろうし、吉田氏の演出なら外す訳もない。
長塚氏の少し気の小さい感じもじつに役にあっていたし、女子部の存在もぶ厚く彼の計画を妨害する敵として素晴らしい。後半から入ってくる音楽も丁寧に積み上げられた前半を壊す事なく寄り添ってくる。
原作自体1998年出版、筒井氏64歳ころ書いたものでおそらく老いと、煩悩、思い通りにならなくなっ肉体という檻に閉じ込められた自分の被害者意識からくる妄想も自身のなかから抽出されたのではないかと思う。
調子こいて仕事や飲み屋でモテた気になっている自分自身も、映画と被ってお恥ずかしい次第である。
何とか清潔に老いて、サラッとこの世から消えたい物だと切に思いながら映画館を出た。
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