「モノクロだけど飯テロ映画」敵 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
モノクロだけど飯テロ映画
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観ていて単刀直入に思ったのは、モノクロでも立派に飯テロ映画になるという事。色がついてないのに、出てくる料理全てが美味しそうに見えてしまう。
その料理を作る75歳の独居老人男性が、「敵がやって来る」というメールを受けた事で、よからぬ事態に巻き込まれていく…というか現実と妄想の狭間を行ったり来たりする。筒井康隆の原作は未読だが、こういう展開はいかにも彼の作品らしい。
若い女性に抱く淡い期待(a.k.a.アバンチュール)という男ならではの悲しい性(さが)を、長塚京三が巧みに演じる。瀧内公美と河合優実の『由宇子の天秤』コンビも黒沢あすかも実に艶めかしい。
妄想描写のしつこさは途中からかったるく感じたし、一見ではオチがよく分からなかったのがマイナスだけど、想像力を掻き立てる効果があるモノクロ作品の良さを再認識できたのは大きい。試写劇場にはTIFF審査委員長のトニー・レオンもいたが、はたしてどう評価するのだろうか。
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11/6追記:…と思ったら見事にグランプリを含めて3冠達成!確かに観る事ができたコンペティション作品の中では一番面白かったし、まぁ納得です。
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