「(オンライン試写会は常にネタバレあり扱い)普段接するインド映画とは一味違うがぜひ。」カッティ 刃物と水道管 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(オンライン試写会は常にネタバレあり扱い)普段接するインド映画とは一味違うがぜひ。
今年393本目(合計1,485本目/今月(2024年10月度)44本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
インド映画のオンライン試写会に招いていただくとはとても幸いです(3時間級なので、リアルで体調が悪いときには、映画館予約時には選択から外すことが多いので)。
冒頭こそ、刑務所から脱走といったお話が出てきますし、そこからどこかの街に逃げる逃げないの空港で、インド映画お約束のダンスが出てくるなど、ダンスシーンに関してはRRRより多いかなといったところです。
ただこの映画は「楽しさ」と同時に後半は、当時の(この映画は2014年作である点注意)のインドの問題に踏み込んでいる部分があります。
公式サイトのほうにはちらっと書かれていますが、「多国籍企業vs農家で、農家がまともに仕事ができなくなる」「多国籍企業が適切な水の使用をしないため農家がこまってしまう」、さらには他国も巻き込んで(インドを基準とした)外国人を外国人雇用させてパスポートを取り上げるなど(←勝手に帰ることができない)、インドの安い物価により儲けようというものがいるのは、映画内で描かれているのは多少誇張はされているでしょうが、そういった論点が「存在しうる」という点についてはわかります(かつ、実際に色々調べると、特にインドがIT国家として知られるようになった2010年以降、こういった摩擦は程度の差はあれ起きている模様)。
その中でも、映画のタイトルにも一文字含まれている「水道管」の「水」、つまり「水問題」についてがテーマとなっています。どうしても大手の企業(映画内では「コーラの企業」とは出てくる。「コーラ」を普通名詞として見るかは難しいところ)による工場の場合、ダムなどにある水の取り合いになり、そこで農家が不利になることが多いのであり、映画内ではその戦いを裁判シーン(この点後述)も踏まえて色々描かれています。
インド映画といえばチャンバラ等アクションシーンが多いのがお約束かなという向きもあり、その要素もありますが、明らかに映画の趣旨は「(水資源を好き勝手に使う)問題提起」にあります。
なお、一般指定でもあり、殴る蹴るなどのシーンはいくつかはありますが、配慮はあります。また、インド映画お得意の例の左下の警告は一切出てきませんでした。まぁそういう例の「謎の警告」が好きな方はちょっと今回残念でした、ということで…(あれが好きで行くのって私くらいかなぁ)。
採点に関しては以下まで考慮したものです。
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(減点0.3/裁判所に関する描写について字幕の説明が欲しかった)
このように環境法(「環境法」という法律がなくても、環境に関する法を総称してそういいます)の裁判は、しばしば行政事件訴訟法の扱い(日本相当)になることがあります。ただ、この映画ではどちらか不明です。
一方で、日本の進め方と明らかに異なる部分があるようで(後述)、字幕の追加説明などあればなぁ、といったところです。
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(減点なし/参考/日本とインドの裁判の進め方)
例えば、AがXとYにお金を貸したのに返さなかったので裁判になったという例を考えます。Aが原告、XとYが被告になります(純粋たる民事訴訟を想定)。
このとき、裁判は進行して「証拠があるのだから、それぞれ50万円ずつ支払え」といったような裁判はありえます。しかし、「裁判に登場していない」Zさんを巻き込んで「Zが100万円払え」というような判決は出せません。第三者を巻き込むことはできないという大原則があるからです。
この点、映画の展開と整合するように見ると、日本基準で見ると裁判の進行がおかしくなるので、何か適宜省略されている部分があるか、日本とインドとでは法制度が異なるのかな…といったところです(ただ、裁判の進め方やそのやり取りからすると、ジャンルとしてはおそらく日本でいうところの行政事件訴訟法相当のではあろうと思われます)。