「Shady」スピーク・ノー・イーブル 異常な家族 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Shady
リメイク元の「胸騒ぎ」の絶望度が凄まじく、観終わった後に肩をガックリ落としながら帰ったのが良い寄りの思い出なのですが、今作については自分が何を勝手に勘違いしていたのか、待ち構えている夫婦たち視点で進むもんだと思っていました。
前半はオリジナルをなぞりつつ、後半は全く違うアプローチで進めていく感じの作品で、どうしてもズルいなーという感情が拭えずじまいのリメイクでした。
どう考えたって怪しいパディ夫妻の家に向かったらあれやこれや大変な目に遭うというのは同じで、ベジタリアンだっつってるのに肉を食えと言われたり、パディ夫妻が論点をすり替えてあれやこれや使って論破をし、気弱なベンが何も言い返せずにいたりなどなどフォーマットをなぞりつつも不穏な雰囲気はそのままで、そのままでは無くアレンジを加えていたりはするんですが、食堂でのシーンの嫌〜な胸糞さが好みだったので、食事の場でやるような事ではない性的すぎるシーン&あっさり目な終わり方だったのが物足りなかったです。
娘がウサギのぬいぐるみが無くてパディ家に戻るまでの流れまでは同じなんですが、ブラムハウス式の手の加え方をしてきて、オリジナルでは主張ができなかったアビルもといアントが喋れないなりになんとかアグネスに伝えようとして、この一家の異常さを早い段階で伝える事によってオリジナルとは違うルートにいくってのは面白かったです。
ベン一家を捕まえるまでがタイヤをパンクさせたりハシゴをユラユラさせたりアントを落としてみたりと、だいぶ雑ですしモタモタしすぎててイライラしましたが、そこからはまぁアメリカっぽい感じのバトルが始まるのでええやんと思いつつも別に「胸騒ぎ」のリメイクでやらなくてもとは思いました。
ルイーズ役がマッケンジー・デイビスなのもあってかめちゃくちゃ戦闘スキルに長けていますし、カッターでの奇襲だったりトンカチ振りかざしたり、銃ぶっ放したり硫酸ぶっかけたりと相手がターミネーター達に比べると流石に何枚も劣るので楽勝そうでした。
家の中と屋根上と庭と限られたフィールドでの戦闘が行われて、オリジナルではそこまで出番のなかったヘルパーの男が戦闘要員として参加するのは笑いました。
全員見事に銃をぶっ放しますし、部屋の中に入らせないために家具を使って足止めしたりと一度この世界線を経験した夫婦が転生して反撃してるんじゃって考えになっちゃうくらいには緊迫感はありましたがホラー味は極薄になっていました。
鬱々としていたオリジナルとは異なりスカッとした感じで終わったり、報復に関しては完璧にこなしていたりと、オリジナルを観た時に思ったなんとかして逆襲できないものかを実現したようなものでしたが予想の範疇は超えてこないあっさりさはどうにも好きになれませんでした。
アメリカっぽい逆転劇として観ればまぁ及第点かなとは思いつつも、オリジナルの素晴らしい悍ましさにはどうやっても勝てなかったのかなと思いました。
リメイクを作るのは難しいと改めて突きつけられた気がしました。
鑑賞日 12/13
鑑賞時間 12:35〜14:40
座席 D-7