「天文青春スポ根映画!?」この夏の星を見る といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
天文青春スポ根映画!?
趣味のアイドルライブ鑑賞のために東京に行った際、帰りの夜行バスまで時間を持て余したので、映画館に行って鑑賞しました。上映スケジュールが待ち時間潰すのにちょうど良いという理由で観た作品なので、内容はあまり詳しくは知りませんでした。
結論ですが、これめちゃくちゃ面白かったです。
私は、知名度の低いマイナーな趣味やスポーツや仕事を描いた作品が好きです。大学の航空部を舞台にグライダー競技を描いたアニメ映画『ブルーサーマル』や、ウイスキー作りをテーマにしたアニメ映画『駒田蒸留所へようこそ』、林業の世界に飛び込む青年の成長を描いた『WOOD JOB!神去なあなあ日常』など、普段の生活では知ることのできないマイナーな世界にフィーチャーした作品が好きです。
本作もまた、天体観測を競技化した「スターキャッチコンテスト」に挑む中高生の青春と葛藤を描いた名作となっていました。天体観測という趣味は知名度こそあれど、野球やサッカーのようなメジャーな部活動に比べればマイナーな世界ですし、それを競技化したスターキャッチコンテストというは完全に初耳です。知名度が低い題材ゆえに、初心者にも分かりやすい説明が差し込まれたりするので、分かりやすくて良かったですね。
公開規模が小さいゆえに、私の地元で公開されていないのが非常に残念です。
・・・・・・・・・・・・
栃木県の高校生である溪本亜紗(桜田ひより)は宇宙に興味があり、高校入学のタイミングで天文学部に入部した。彼女と同じく天文学部に入部した同級生の飯塚凛久(水沢林太郎)と力を合わせて望遠鏡の設計などに励んでいたが、新型コロナウイルス感染症拡大により部活動の縮小が余儀なくされた。大人数が集まることができないため、天文学部が毎年開催していた自作望遠鏡を使って星を捕捉するタイムを競う競技「スターキャッチコンテスト」の開催も危ぶまれる事態となった。密集を避けるため、亜紗のアイデアでオンラインでスターキャッチコンテストで行うこととなる。時を同じくして、コロナ禍によって様々な葛藤を抱えた東京と長崎五島の中高生が、亜紗のコンテスト参加への呼びかけを見掛け、それぞれの思いを抱えながらスターキャッチコンテストに挑むのだった。
・・・・・・・・・・・・
青春、って感じがしましたね。最高でした。
天文部を描いた作品なんですけど、スポ根モノに近い熱い青春ドラマに感じました。コロナ禍という時代背景も物語にすごくマッチしていてよかったですね。コロナを安易に美化するのは良くないことではありますが、コロナのおかげで生まれた出会いや絆というものも、間違いなく存在したと思います。コロナという外的要因によって変わってしまう周囲と、すぐに変わることのできない自分との間に生まれたギャップ。これによって居心地の悪さを感じた若者たちが、スターキャッチコンテストという大会に向き合い、仲間と向き合うことで、新たな居場所を得る。
「最高で、二度と来ないでほしい夏」。この映画のキャッチコピーです。これほど本作のテーマを短く端的に過不足なく表現したキャッチコピーがあるでしょうか。このコピー考えた人は天才です。一杯奢らせてください。コロナという未曽有の大災害によって青春を奪われてしまった少年少女たちの、やれることを探して前に進む姿。未曽有のパンデミックで世界が変わり、自分たちも変わることを余儀なくされたコロナ禍においても、変わることなく持ち続けた信念の強さ。コロナが無ければ出会うことのなかった数奇な出会いと、それを決して美化することなく悪い部分もありのまま映し出し、しかしそれでもやっぱり最高に美しい、ひと夏の出来事。
どの登場人物にもドラマがあり、どの登場人物も物語に大きく関わってくる。桜田ひよりさん演じる溪本亜紗が主人公のように描かれていますが、間違いなく登場した少年少女の全員が主人公であり、この物語には必要不可欠な存在でした。
上映館数が少ないこととパンフレットが入荷待ちで買えなかったことだけが本作への不満点です。この素晴らしい青春映画をより多くの方に知ってほしい・観てほしいと切に願います。面白かった!オススメです!
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。