「地上の星」この夏の星を見る おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
地上の星
予告からじんわり沁みる雰囲気を感じて、興味をひかれた本作。さっそく公開初日に鑑賞してきました。
ストーリーは、宇宙飛行士に憧れて天文部に入部した茨城県の女子高生・溪本亜紗は、望遠鏡の自作をめざす同級生や先輩たちと楽しく活動していたが、2年生への進級前に新型コロナウイルスの感染が広がり、日常生活はもちろん部活動にもさまざまな制限や自粛が求められる中、亜紗はリモート会議を活用した「オンラインスターキャッチコンテスト」を思いつき、各地の学校と繋がっていくというもの。
「スターキャッチコンテスト」なるものを本作で初めて聞いたのですが、本当にあるんですね。茨城県立土浦三校で2015年から行われているそうで、本作も同校をモデルに描かれているようです。本作では発案者の亜紗が在籍する砂浦高校として登場し、長崎や東京の学校などと交流する様子が描かれています。
そんなスターキャッチコンテストをキーワードにしながらも、単に星をめぐる物語として描いているわけではありません。各地の学校で悩みや閉塞感を抱えていた生徒たちの心に光を灯す物語としていることが、観る者の心を優しく包み込んでくれるようです。期待どおりの温かい作品で癒されます。
ものすごくストーリーに感動するというわけではないのですが、あのコロナ禍で何もかもが制限されている中、もがきながらも前を見つめ続けた若者の姿が胸を打ちます。コロナに平穏な日常を奪われ、友達とギクシャクし、将来を見通せず、苦い孤独を味わわされた若者たち。それでも、今の自分にできることを模索し、夢や希望を追い続け、青春の輝きを失わなかった若者たちの姿が、とにかく眩しすぎます。
たとえ目に見えなくても空に無数の星があるように、地上にも青春の光を放ち続ける無数の若者たちがいるのだと教えてくれているようです。その中で、ひときわ明るい光を放つ若者たちがオンラインで結ばれて、優しい絆を紡いでいくさまは、まるで地上に星座が描かれていくようです。
ポストクレジットでは、その絆のさらなる広がりを感じさせ、最後まで後味が爽やかです。こんな若者たちばかりなら、日本もまだまだ捨てたもんじゃないと思わせてくれます。
主演は桜田ひよりさんで、明るく元気に部活動を楽しむ亜紗を好演しています。脇を固めるのは、水沢林太郎さん、中野有紗さん、早瀬憩さん、黒川想矢さん、星乃あんなさん、岡部たかしさん、堀田茜さん、近藤芳正さんら。
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