「カラクリがわかればそこまで難解ではないが、事前にパンフレットを読むのはやめた方が良い」THE SIN 罪 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
カラクリがわかればそこまで難解ではないが、事前にパンフレットを読むのはやめた方が良い
2024.12.5 字幕 アップリンク京都
2024年の韓国映画(103分、PG12)
廃校にてダンス映画を撮っていたクルーが奇妙な出来事に巻き込まれる様子を描いたホラー映画
監督はハン・ドンソク
脚本はハン・ドンソク&キム・スヨン
原題は『씬』、英題は『The Sin』で「罪」という意味
物語の舞台は、韓国南部の山奥にある廃校・アウォン大学
映画監督フィウク(パク・ジフン)の撮るダンス映画に出演することになった新人女優のハン・シヨン(キム・ユネ、高校時代:キム・ミンソ)は、電車とバス、タクシーを乗り継いで、山奥にある廃校にやってきた
到着早々に死体用の人形が屋上から落下して大惨事になりかけたが、なんとか撮影を続行するに至った
スタッフ総出で準備に取り掛かり、シヨンも衣装に着替えて出番を待つ
だが、その映画にはもう一人の共演ダンサーのチュユン(ソン・イジェ)がいて、シヨンはそのことを聞かされていなかった
事前に用意されたコンテンポラリーダンスを踊る二人は、室内や屋上でリハを重ねていく
そして、ようやく本番に入る段階になり、フィウクは廃校の換気扇が動いていることに気づく
スタッフのパギョン(チャ・ソヒョン)は助監督のジョンリョン(ユ・ヨンソン)の指示にて校内に入るが、どこにもそれらしきものはなかった
だが、そこには見知らぬ血文字で書かれた妙な紋章があり、パギョンはそれを見た瞬間に豹変してしまう
なかなか戻らないことに苛立ちを覚えたジョンリョンは彼女を探しに校内へと入ルものの、血走って豹変したパギョンに襲われて殺されてしまった
映画は、前半はゾンビ系ホラー映画になっていて、中盤から悪鬼が登場するオカルト系ホラー映画に様変わりする
ネタバレ上等で書くとするならば、チュユンはシャーマンで、かつてシヨンの犯した罪に罰を与えようと考えていた
シヨンは高校時代に恋愛沙汰から同級生のジュニ(ナム・ドユン)を殺していて、彼と相思相愛だったヨンウ(ユン・ハヨン)も、ジュニの母(コ・ナヨン)も自殺をしてしまった
そして、ジュニの母の血縁であるユン会長(イ・サンア)に近づいたチュユンは、呪術を持ってシヨンに潜む悪鬼を退治しようと考えていたのである
シヨンの能力についてはわかりにくい部分が多いのだが、憑依してコントロールして自殺させることができ、この能力によってジュニ(事故死)、ユン会長(銃自殺)を行っている
また、他人の脳を支配して違うものを見せることができるようで、これによって処刑椅子に座っているのがシヨンに見えるチュユンになっていた
これらの能力を見透かしていたのがシヨンの母・ヒョンナム(イ・スン)で、彼女は薬物殺害を目論むものの失敗し、事故を起こして一緒に死のうと考えていた
だが、シヨンにはそのような物理的な攻撃は無効で、死者に食わせること以外に方法はなかった
そこで、チュユンは死んでも良い人間をヨン会長に集めさせ、映画撮影を偽装して、シヨンを抹殺しようと目論んだのである
ホラー映画としての怖さはジャンプスクエアぐらいのもので、瞬間的に登場する血まみれなゾンビっぽい人たちが怖いぐらいである
とは言え、結構グロいので、スプラッシュ系がダメな人は避けた方が良い案件のように思う
パンフレットは人物相関図で完全ネタバレしているので、事前に買った人は読んではいけないが、ここまで読んだ人は遅いかもしれません
いずれにせよ、難解だというレビューがチラホラあったが、そこまで難しい内容でもなかったように思う
ラストがちょっと意味不明なのだが、彼女が他人に成りすませる能力があることと、それは鏡の前では無効ということさえわかれば問題ない
鏡を見ることによって本当の自分が見えるのだが、悪鬼に支配されていない時のシヨンは自分の中にある悪鬼が見えていて、そうではない時には自分が見えている
だが、ラストの邸宅ではチュユンではなくシヨンが鏡に映っていたように、偽装前の姿が映っているということになる
最終章では、シヨンに負けたチュユンの遺灰が師匠ギョンファ(イ・ハンナ)の元に届けられていて、今後彼女の代わりに戦うかもしれない、というエンドになっていて、作ろうと思えば続編を作ることができる幕引きになっていた
一応は、まとまっているので蛇足のように感じるが、制作されるのならば鑑賞しても良いかな、と思った