「意表を突くことが半ば目的化したジェットコースタームービー」THE SIN 罪 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
意表を突くことが半ば目的化したジェットコースタームービー
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韓国らしいツイストの効いた脚本が見どころのホラー映画。
メタフィクションっぽく始まった物語がゾンビホラーを経由して復讐劇に辿り着くという荒唐無稽さを演出だけで押し切っていく力強さは流石である。被害者と加害者が逆転するパク・チャヌク的どんでん返しも堂に入っている。
B級と見くびって映画館を訪れる不届きな観客を容赦なく引っ掻き回してやろうという邪悪なモチベーションが感じられる快作だった。
ただ、常に観客の予測を上回りたいという逸りが明らかな説明不足として表出している箇所がそこかしこに見受けられた。特に登場人物たちの過去が開陳されていく後半パートでは、ほとんどフラッシュカードのような速度で新事実が明らかにされていくので、一瞬たりとも気が抜けない。
その一方で説明せずとも伝わる部分には過剰な尺が与えられている。たとえば主人公と呪術師の中身が入れ替わってしまったことは呪術師が自宅の鏡の中に殺したはずの主人公の姿を目撃した時点で明らかなのに、その後も入れ替わりを示唆する表現が再三繰り返される。
エピローグは正直必要あったのだろうか…と思ってしまう。続編を目論んでのことなのだろうけど、蛇足の感が否めない。また序盤の舞踊のシーンも、舞踊がその後の展開に決定的な意味をもたらすことは重々理解しているものの、もう少し削れたんじゃないかと思う。
それでも最後まで飽きさせずに魅せきる力強さにはただただ平伏するほかない。韓国映画、イズ、パワー。
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