劇場公開日 2025年1月24日

「緩いコメディとハードなアクションがミスマッチとしか思えない」アンダーニンジャ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0緩いコメディとハードなアクションがミスマッチとしか思えない

2025年1月24日
Androidアプリから投稿

つい最近、「聖☆おにいさん」でも見せつけられたせいか、佐藤二朗やムロツヨシのふざけたアドリブのやり取りが、何だかクドくて鼻についてしまった。
ハードで迫力のある戦闘シーンとのギャップの面白さを狙ったのかもしれないが、福田監督の緩くて間延びしたコメディタッチは、この作品のトーンにはマッチしていないように思えてならない。
特に、高校で、罪のない生徒達や先生が次々に斬殺されていく様子は凄惨で、とても「コメディ映画」のいちシーンとは思えない。
それ以前に、衛星兵器で高校を消滅させることができるのであれば、抜け忍が、わざわざ生徒達を虐殺する必要はなかっただろうし、衛星の場所が分かった時点で、「アンダーニンジャ」が高校に潜伏する理由もなくなったので、地下で「NIN」を待ち構える必要もなかったのではないだろうか?
「隠密」というイメージとは程遠いオープンな諜報活動や、刀で斬り合うだけの戦闘シーンには、あまり「忍者らしさ」が感じられないし、「NIN」の下忍である主人公が、凄腕の「アンダーニンジャ」と互角に渡り合えるほど、高い戦闘能力を持っているということにも違和感がある。
その他にも、どういった人間が、どういう経緯で忍者になり、どのような教育訓練を受けて、どう生計を立てているのかなど、よく分からないことが多過ぎる。
せっかく、「現代社会でも忍者が活躍している」という物語を描くのであれば、内輪のふざけ合いを延々と映し出す代わりに、「NIN」という組織が、政府や警察の活動の下請けをしたり、運送会社を隠れ蓑にしているといった設定を、もっと詳しく説明するべきではなかったかと思えるのである。

tomato