金子差入店のレビュー・感想・評価
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職業映画‼️
こんなお仕事があったんですね⁉️刑務所への差入代行業‼️そんな差入店を経営する家族を中心に、小学生の息子の同級生の女の子が殺人事件の被害者になったり‼️母親から犯人への差入を依頼されて葛藤したり‼️差入店という仕事上嫌がらせを受けたり、息子がいじめられたり‼️描かれる人間ドラマの数々は使い古されたものばかりで、あまり新鮮味は感じなかったですね‼️特におじさん役の寺尾聰さん、母親役の名取裕子さんとか、エピソード的にもキャラ的にも本当に必要だったのか疑問‼️ただ岸谷五朗さんと川口真奈ちゃんのエピソードは良かったと思います‼️クライマックスの面会室でのノートによるやりとりや、岸谷さんの演技は素晴らしかった‼️まるで「タクシー・ドライバー」のトラヴィスを思い出しました‼️
色々な母親
北村匠海はさすがに上手い。けど母親役の根岸季衣さんが上手くてあの笑顔が恐怖でした。映画では色々な母親が登場しますが断トツの存在感でした。ただこの親子のことは最後までよく解りませんでした。
真木よう子さんが苦手なので観に行くか悩みましたが、母親役に違和感が無くていい役だったと思います。冒頭の発狂シーンも含め良かったです。
子供が亡くなったり、子を殺された母親のシーンなど泣けましたが、自分を助けてくれた女子高生と元ヤクザとの面会シーンは号泣でした。
前に歩き出した女子高生や主人公家族を見て最後は少し心が軽くなる映画でしたが、最後の最後、エンドロールの後のワンシーンは、きれい事だけではない差し入れ店という仕事のリアルが見える重要なシーンでした。
面白い映画でした。見に行って良かったです。
貴重な知る機会となった
差し入れ店について知る初めての機会となり、非常に嬉しい思い。
殺人を肯定するわけではないが、世間からは冷や水を浴びせられ続ける役回りなので
ちょっとヒロイックに映りもすると思ったが、そこまでの描かれ方ではないのがいい。
殺人を犯した男との対話は続きそうだったが、依頼を受けて金を稼ぐわけなので、依頼人である母親に対してあのような接し方で終わらせたのはもったいなかったように思う。
できればそこの関係修復や、割り切る描写があってもよかった。
夫婦や家族のバランスはとてもよく出来ていて、むしろそちらに惹かれた。
真木よう子はなぜあんなに滑舌悪いのか不思議だったが、夫の短気で幼いとまでいえる社会性の無さを補う
まさに母の立ち回りができており、そこに救いがあるように思えた。
特殊な仕事
タイトルの字面を見た時は、商店街とかのホンワカ映画?…というのが一瞬頭をよぎったが、全く違った。
重いものを背負った人々の話である。
世の中にはまだまだ知らない職業や物事が沢山ある。(「あまろっく」なんかもそう。知りませんでした)
それを学べる映画の力に感謝です。
依頼に従い、物品の差し入れや手紙の代読などをする差し入れ店を伯父から引き継ぎ営む金子(丸山隆平)。しかし対象の場所は刑務所、受刑者面会の差し入れともなれば、そう簡単にはいかない。被害者がいる以上、非難する人もいるなかなか厳しい仕事だ。
自身も受刑者だったことから、償いや家族とのやり直しの意味もあるだろう。妻と協力して暮らしを立てながら、息子を可愛がる姿が印象的だった。
劇中の2つの殺人事件には、いずれも歪んだ家族が登場する。小島(北村匠海)も佐知(川口真奈)も罪を犯しながらも、自身も親から被害を受けており、心が壊れている。
また、横川(岸谷五朗)と佐知の関係には泣けてしまった。そっちの道で生きてる人も人を思う一面があり、本当に生まれ育つ環境がいかに大事かを思い知らされる。
本来、代行が細かな事には立ち入れないと思うが、差し入れているのは、人との繋がりや、人生を見つめ直すきっかけなのでないか。少なからずも救いになっているのではないか。そして、金子本人も自身に向き合って…そんな感想を抱いた。
*****
最近、様々な代行業があるものだなと思っていた。
退職代行なども初めて聞いた時は、そんなことも
人に頼むのかと驚いたが、本作の差し入れ代行も同じで、諸事情あるにせよ、当事者同士が直接コミュニケーションを取れない状況はどうなんだろうと考えてしまった。助かる人がいて、平日は行かれないとか、時代や環境もあるから一概に言えず難しい。
*****
丸山君の特別ファンとかではなく、ドラマ1作しか見たことないけど、昔からお顔に惹かれます(*^^*)
イケオジになっていくのではと思います。
ハードな内容なのに鑑賞後には心が温まる映画
とてもハードな内容なのに、鑑賞後になぜか心が温まり前向きな気持ちになる不思議な映画。
同時進行で描かれる2つの事件が解決するような爽快なサスペンス映画では無い。
しかし、この事件を通して変化する人間の心情の変化を繊細に受け取ることができる。
劇中には、様々な親子が出てくるが母と子の関係、現代の家族のあり方が裏テーマになっているのかな?と思う。
観て良かった!誰かの為に寄り添える 人の繋がりとやる意味を知る。
囲われた拘置所。訳があって拘留者へ親族より依頼されて差し入れ業を行う人。
それが 金子差入店である。
へぇ~ そんな職業が有るんだと言う思いが最初はした。
今日は「金子差入店」を観に行きましたよ。
出ている俳優陣はどなたも凄い!
大御所の方多目ですね。
最初 パッとチラシ見た時 主は濱田岳さんなのかと。
だが違った、丸山隆平さん(SUPER EIGHT)でしたね 良く見たら。
ちょっと心配したけど全く大丈夫。両脇に前後を大御所ベテランさん達が支えてて
そこの連携が功を奏したと感じます。
社会の抱えてる闇を描いており、加害者と被害者。そのどちらでも無い家族。
一見無関係に見えるが 加害者側への援助支援をお金を取って業を行うと
被害者から見れば その支援が仇となり、敵視されてしまう。
この関係性を見事に描いています。
つまり 人の心に抱えている弱さですね これは。
ちょっとした行動が理不尽になって行く様が描かれてます。
この差入する人に まさかの焦点を当てた作品が生まれるとは 立派な取り組みに感じますね。
こう言う視点的作品 好きですわ。
映画”正体”とかは 面白がってカッコつけてる感じするので好きじゃないですね。
(感じた所)
・出だし 主の金子真司が拘置所にいて、妻(美和子役:真木よう子さん)が差し入れしてる場面がある。
そこで 子供が生まれた事を知るのだ。
大半差し入れは許可されないが、情報だけは伝える事が出来る。
自分たちの子供を夫に抱かせたら、きっと命の大切さを知って真面目に生きて行くだろうと 妻の思いが有って そこは見事な狙いだったと思う。
ただ この場面、丸山さんが力入り過ぎて 誰か??分からんかった。
ここの流れ もうちょっとアシスト表現欲しかったかな。
編集が粗く切り替わるんで、その波にこっちが最初感情 乗れなかったです。
・どうしようも無い母(金子容子役:名取裕子さん)の存在。
お金をせびって来ては 若い男に貢いでしまう母親。
真司は母を絶対に絶対に許さない。心の底から憎んではいるのだが。
ある時 叔父(星田辰夫役:寺尾聰さん)から この家業の話を聞いた。
まさか身内のお前が拘置所に入って そこへ差入するとは思わなかった、
でも そうさせたのは、お前の母親の ”何か差し入れでもしてあげたら”
その言葉が有ったからだった。未だに代金は払ってくれて無いけども・・・。
ここの 話、実はジ-ンと来るんよね。
母の感情がやっぱり存在していた証拠なんよね。そう思う。
それを 真司は知って、憎む母の事を理解して 生きて行くのだと思うのよね。
人が憎く思う(成る)前は やっぱり相手は普通の感情の持ち主と思うのよ。
この思いが、学生を殺す殺人者(小島高史役:北村匠海さん)にもあって、
また 娘へ強制売春させていた母を殺す殺人者(横川哲役:岸谷五朗さん)にもあってなんだと感じますね。
最後に小島の話相手に成って行く~ 金子の姿をみて その理解を得たんだと思うんだな。
・拘置所の管理官への手渡し場面。
ここの 金銭渡して融通させていた場面は ダメですね。
現実問題、有るのか無いのかって言ったら 無しでしょう。当たり前ですが。
気心加えてたと成ったら大問題。作品だから良いけどもね。
でも これを駆け引きにして 二ノ宮佐知(役:川口真奈さん)を
横川哲に面会させる手にでるのだ。
金子のそうしなきゃ ダメだと言う思い、誰かの為に 何かをする。
その強い思いが そこに在ったと感じます。
中々 パッと見では避けられそうな作品テーマですが
ご興味御座います方は
是非 劇場へどうぞ!!
視点により
視点により評価が変わる作品ですね。
今まで知らなかったことを知ることが出来た。
ただやはりそういう性質の方々なのか・・。
と思ってしまう人には評価されないのではないかと。
最後の少女のシーンも評価を二分するかも?
いい映画ではあるけど、素直に楽しむことが出来なかったので
罪を犯した者にも、その人を思いやる人がいる
今年の劇場版「名探偵コナン」に、「刑務所の近くには差入店がある」みたいな台詞があったが、それが、実際にどんな職業なのかは、本作を観るまで知らなかった。
刑務所への差し入れの代行業というと、受刑者の身内等にはありがたいのだろうが、犯罪の被害者にとっては、加害者に肩入れしているようにも見えてしまうので、映画の中で描かれているように、反感を持たれたり、非難されることがあるのかもしれない。少なくとも、「誰からも感謝されるような仕事ではない」ことは確かなので、それに従事する上での苦労や葛藤があることは、容易に想像することができる。
ただ、罪を犯した者であっても、その人を思いやる人はいて、そんな、依頼人の「思い」を受刑者に届けること、あるいは、受刑者に、「あなたを思っている人がいる」ということを知らせることも、差入店の重要な仕事であるのは間違いない。
劇中、主人公が、主に関わるは、彼の一人息子の友達を殺した若い男と、娘に売春をさせていた母親を殺した元ヤクザの2人の受刑者で、それぞれを演じている北村匠海と岸谷五朗が、共に強い印象を残している。
若い男の方は、「100匹の蟻」の話を持ち出して自分を正当化し、少しも改心する様子はないし、彼の母親にしても、情緒が不安定で、「二十歳を過ぎた子供の責任は取れない」みたいなことを言い出して、どちらにも、同情することも、共感することもできない。
一方、元ヤクザの方は、少女を救い出すために母親を殺したということが分かってくるのだが、売春の事実を表沙汰にさせないという配慮から、少女は、元ヤクザとの面会を拒絶され続けている。
終盤、主人公が、少女と元ヤクザの面会を実現させる場面では、自分のことを助けてくれた元ヤクザに、必死で「生きて」と訴える少女の姿に、思わず目頭が熱くなったのだが、これこそが、「思い」を差し入れるということなのだろう。
その一方で、主人公が、若い男と面会する最後のシーンからは、たとえ、人間として許せないクズであっても、業務として差し入れを続けるという職業人としての「矜持」は感じられるものの、サイコパスには「思い」は届かないという無力感も覚えてしまった。
ここは、そんな殺人犯でも、母親は「罪を償って立ち直ってほしい」と願っていて、そんな「思い」が、わずかながらでも彼に届いたみたいな展開になっていたならば、もっと感動できたに違いないと、少し残念に思ってしまった。
それから、主人公自身が元受刑者で、受刑者の心情を理解できるということが、比較的重要な設定になるのだろうと思っていたのだが、そうした背景が、まったくと言っていいほど物語に活かされなかったのは、一体どうしたことだろうという疑問が残った。
「おくりびと」から17年。新たな知られざるお仕事映画の誕生!
おくりびとで助監督を務めた古川豪さんの脚本そして初監督作品だという。構想から公開まで10年以上かけた作品とのこと。
思いを込めたデビュー作なのだろう。僕の苦手な誇張された感情表現もなく、しかしとても重たいさまざまな登場人物の感情を丁寧に描写映画であった。この映画での脇役岸谷五朗と川口真奈のエピソード回収場面は素晴らしく、泣かされてしまった。
古川監督が助監督を務めた「おくりびと」、調べてみたら2008年公開。そんなに前だったかな。
納棺師という職業について、初めて多くの人が知ることになった映画だった。単に棺に納める仕事ということにとどまらない職業の持つ意味や、倫理観、働く人の誇りと美意識。そう言ったものを見事に伝えた「お仕事映画」の最高峰の一つだと思う。
おそらく古川監督は助監督を務めた「おくりびと」からヒントを得て構想し、本作の主要モチーフ「差入れ屋」という仕事を発見し、10年以上かけて構想を深めたのだろう。
刑務所に差し入れができるのはなんとなく知っていたが、それを代行する仕事というのは聞いたことがなかった。収監された犯罪者に会えるのはおそらく家族や弁護士や、なんらかの関係者だけのはずだ。
その中で、なんらかの事情で面会できない、あるいはしない、家族の代わりに差し入れをする人というのは、物の差し入れをするだけではない、家族や関係者、そして当の犯罪者のケアに関わる人であるという監督の見立てはとても素晴らしく意義ある啓蒙でもあると思った。
物の差し入れだけでなく手紙の代読も許されているとのことだから、心の交流の代理人でもあることが映画の中でも描かれる。
さまざまな関係者が重層的に描かれる脚本の整理も素晴らしい。ただ、主人公が元服役囚であるという設定、また途中で描かれる殺人事件の被害者と関係がありつつ、加害者の家族の仕事を受けるという設定は、この映画のドラマ性を高めている一方で、本作で多くの人が知ることになる差し入れ屋という職業への掘り下げを浅くしてしまったような気がしている。
経験した人がとても少なく、まだ知られていない仕事であるだけに、その職業の持つ意味や意義、独自の職業倫理といったものがあるはずで、その辺りを掘り下げて欲しかったと感じた。
寺尾聰演じるおじさんがその職業の主人公の師匠でありメンターのはずなのだが、同居しているにも関わらず、主人公に対して十分な継承が行われていないようだった。
その継承が行われた上で、この職業の意味と持つべき倫理を身につけた主人公が、その倫理を超える決断をするという描写があったら、差し入れ屋について深く知ると同時に、その職業倫理の難しい壁を主人公が職を失う覚悟をしてまで、守ろうとする、あるいは越えようとするという大きな成長物語にもなった気がする。
10年以上もかけた監督の素晴らしいお仕事に敬意を感じた作品だから、こんな感想はなんか素人の身勝手な意見でおり、勝手な願望だ。
とにかく、主人公だけでなく周辺の人物の描写が見事で、相当な取材をされた脚本でもあるのだと思う。感情が揺さぶられる映画である。
魂のぶつかり合い
物語の最初から最後まで人間の悲しみ、哀れみ、喜びがぶつかり合って、交差する話でした。
悲劇的な事件を軸にその事件に関わる被害者、加害者、警察や弁護士、検察を描いた物語は数多いですが、拘置所への差入店という今まで描かれなかった視点から、ある2つの違う事件に翻弄されていく家族を描きます。
出演する俳優陣は皆、演技派の方々で豪華メンバーです。なので、各々の魂の叫びを見事に演じきって、ぶつけ合っているように思いました。
その中でも寺尾聰さんは、イケじいじですね。存在感がえげつないですし、真木よう子さんの演技力はさすがです。
物語は2つの異なる事件に関わることになった差入店の家族が翻弄され、その中で改めて絆に気づいていく話。
2つの事件は1つは起きた背景・原因に周囲の人が気づきながらもある少女を守るものに対して、もう1つの事件は背景・原因の真相はもはや犯人個人にしか理解できないもの。この2つの事件がコントラストを描くことで差入店の主人公と家族の揺れ動く姿が描かれています。
そして、みんなが自分自身の居場所を必死で探し、守っている、、だからぶつかり合うと激しく反応する。だから居場所があることが人としてとても大事なんだと思いました。
ラストの1つの事件の犯人役の岸谷五郎さんと主人公役の丸山隆平さん、高校生役の川口真奈さんの拘置所の謁見室のシーンは圧巻ですよ。
少し変われたら見方は変わる。
刑務所や拘置所に収容される人へ差し入れ代行をする金子差入店・金子真司に起こる話。
小学生の息子・和真の幼なじみカリンが1人塾へ行ったきり帰って来ず、翌日河川敷で殺害され見つかる、…数日が過ぎた頃カリンを殺した犯人は捕まり、それから少し経ち犯人の母から殺人犯である息子へ差入れをして欲しいと依頼され受けることになるが…。
刑務所、拘置所、留置所に差入れする代行ってあるんですね。本作観て知りました。
この作品と同様差入れ屋をやってる事でホント恨まれたり、…確かにありそうですね。
小さい頃から見てる息子の幼なじみの女の子の死、それだけでもショックなのに犯人母から犯人への差入れ依頼、仕事と割り切っても割り切れない金子真司の苦悩、この仕事をしてる事で小学校の友達、近所のママ友からの見られ方が何とも悲しいしイラッとしたかも。
あの傷ついた女子高生の彼女の表情が明るくなった時は泣けた。
命の差し入れ
幼女を殺害した小島が語る二割の働かない蟻の話。どんな社会でも必ずルールからはみ出す人間は存在して、そんな人間は生きる価値はないのかと問いかけてくる。
真司の母容子はどうしようもない母親で真司は忌み嫌うが妻の美和子や叔父の星田は生きているだけでもありがたいとして彼女をかばう。
美和子の両親はすでに他界しているのだろう。生きてる間しか親孝行できないからと何かと容子に気遣う。星田も今自分が甥の家族と暮らせるのは真司を生んでくれた容子のおかげだとそこだけは感謝しているという。
元ヤクザの横川は出所したそばから殺人を犯し再び刑務所に戻ってしまう。もはや人生は終わった、こんな自分は生きる価値はないとして独房で首を吊ろうとする。そんな彼に毎日のように面会に訪れる佐知。彼は自分を救ってくれた。真司が機転を利かせたおかげで面会を果たせた彼女は横川に生きてくれと何度も呼びかける。真司は命を差し入れしたのだ。
残虐な殺人を犯しなんの悪びれる様子もない小島との面会は真司には応えた。なぜこんな人間が存在するのか、こんな人間に生きる価値があるのか、できるなら自分の手で殺してやりたいとまで真司は思った。
小島との面会で精神的に追い詰められた真司にさらに息子のいじめの問題が追い打ちをかける。彼は息子を愛するあまり学校でトラブルを起こす。かつて激高しやすいその性格から過ちを犯したころの記憶がよみがえる。
こんなどうしようもない自分を妻の美和子は見捨てなかった。彼が立ち直れたのは家族の存在があったからこそだった。美和子や星田があんなどうしようもない母容子をかばう気持ちがわかった気がした。人はそこに存在してるだけで価値がある。生きる価値のない人間なんてこの世には存在しない。たとえ残虐な殺人を犯した人間であろうとも。
本作は問いかける。生きる価値のない人間なんてはたしてこの世にいるのかと。今の社会は何かと生産性だの人間の価値を数字で推し量ろうとする時代。障害者や犯罪者のような存在は社会のお荷物として何かと排除対象とされてしまう。しかし二割の蟻のようにそれらを排除してもまた新たに排除対象は生まれてくるだろう。排除対象などと考えている限りは。二割の蟻を排除し続ければやがて蟻はすべていなくなってしまうかもしれない。
人間は生きてるだけで誰かの心の支えとなっている。誰かを支えとして生きているその人はまた誰かの支えになっている。誰かは必ず誰かの支えになっているから存在してるだけで価値があるのだと本作は訴える。生きているだけで価値があると本作はそう訴えている。
本作を鑑賞して相模原事件で犠牲になった寝たきりの障害者の子供を持つ母親がただ生きていてほしかったと涙ながらに話していたことが思い出された。
本作はあえて小島のような誰が見ても忌み嫌う存在を観客の目の前に提示してこんな人間でも生きる価値はあるのかと問いかける点が秀逸だった。
地元に近い大阪都島区には大阪拘置所がある。元首相銃撃事件の犯人や和歌山カレー事件の犯人として収監されてる人物がいる拘置所のすぐ隣には普通の住宅地やら高層マンションが立ち並んでいる。
その高くそびえたつ拘置所の壁を隔てて全く異なる空間が広がっている。そしてそのそばには本作で描かれたような差し入れ店の丸の家がある。その外観はやはり本作のような普通の日用雑貨店の佇まいだ。
昔からこういう差し入れ店があるのは知っていたが、刑務所によって差し入れの規則は細かな点で異なるという。
差し入れを代行する商売があるのは理解できるが、弁護士でもないのに受刑者との面会を親族から依頼されて行うというのは現実にありうるんだろうか。特別な事例で関係者のみが認められるケースがあるにしても商売として継続的に行えるとはとても思えないし、また弁護士のような高額報酬も得られないのに生涯守秘義務を負うとか凶悪犯罪者との面会などストレスの大きな仕事を一般人にやらせるだろうか。そういう点で本作のリアリティラインをどこにひけばいいかわからなくなってしまった。
おそらく内容的には差入店に着想を得た監督によるかなりの部分創作がなされた作品なのだろう。そのせいか劇中での差入店を営む主人公たちへの周囲の偏見などはあえて物語性を高めるためなのか無理に作られた感じがする。ご近所さんは主人公の真司に前科があるのは知らなさそうだし、逆に収監された小島がなぜ真司の前科を知っていたのか。あの弁護士が喋るはずはないし刑務官が喋ったとしか思えないが、その辺も少し脚本が甘い気がする。刑務官を買収してるシーンなどあれは問題にならないのだろうか。
などなどいろいろと疑問に思うことが多い映画ではあるがそれを抜きにしても人間ドラマとしてはそのこめられたメッセージといい、役者陣の素晴らしい演技といい、総合的にみて良い作品だった。
作品ラストのラスト、壊された植木鉢を淡々と掃除する真司の姿は、たとえ小島のような人間でも受け入れた彼の心情を表したのものであろう。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ “おかしいのは世の中の方よ”まさに正論。やっぱり女は強い。男はすぐ粉動されるからダメだね。それだからドラマになるわけだけれども。「差入れ屋」を取り上げたアイデアの勝利。
①最初に思ったのは“真木よう子、鼻いじった(整形した)?顔、ビミョーに変わってない?”ということ。「整形疑惑の芸能人」を扱ったYouTube の見すぎかも知れないけれども。
しかし、観ているうちに気にならなくなった。「差入れ屋」という稼業をしている一家のぶれないオカミサンとして背景に溶け込んでいるようで要所要所で存在感を発揮する。やはり並みの女優ではない。
②かなり凄惨な事件を扱いながらも陰惨な印象が残らないのは善悪どちらにも偏って肩入れしない脚本と演出のお陰だと思う。
③差入れする相手である収監者にこんなに肩入れしてたら商売にならないとは思うけれど、映画にする為には少し話を膨らませないとね。
④本作には色んな母親が出てくる。名取裕子の男にだらしない自堕落な母親役には少々驚いた。若い頃はすました役柄が多かっただけに。でもそこは年の功か。見事に違和感なく演じていた。ラスト、こんな母親でも少し母性は残っていたのを寺尾聰の台詞で間接的に語ったのが良かった。会わずにアパートのノブにイチゴの入ったビニール袋を掛けただけにしたのも良い。上の台詞を直接本人の口から言わせたりアパートの入り口で会ったりしたら雰囲気ぶち壊しになっただろう。余韻ある語り口はどんな映画でも宜し。
殺された女の子の母親。演じたのがあまり顔馴染みのない女優のさんだと思っていたらNHK朝の連続小説『風のハルカ』のヒロインの子だったとは。当時毎回観てたのに。面影全くなし(私が忘れてただけなのかも知れないけど…)。役に戻ると、この母親も被害者なのでこんなことを書くと冷たいようだが、私は子供がいないけれども、もし父親ならこんな小さい娘を夕方一人で塾へなんか行かせずに必ず付いていくか送り迎えするけれどもね(いくら日本が表面安全な国でも)。リアクションが被害者の母親が取りそうな範囲を出ていなくて、この母親役が一番平凡。
“ああ、この子そのうち通り魔が何かに襲られて死ぬんだろうなァ”と最初からわかってしまうところが、最初からそういう意図だったのか、それとも脚本と演出の弱さなのか。
娘に客を取らせていた信じられない毒親を通り越して鬼畜のような母親。多分悪いとも罪の意識もなさそうだから殺されても当然ぐらいだけれども知らない女優さんだけれども殺され方も含めてインパクト大。でも実際にこんな父親(こちらはどちらかというと性的虐待の方だけど)・母親がいるから絵空事ではない。
どんな映画のどんな役柄でも安定感抜群の根岸季衣扮する母親。最も難役であろう(だからこその配役だろうけど)。
息子に罵倒されても何も言わず固まっている姿に始まり、マスコミへの対応の二面性。完全武装して金子差入屋に来て“他人の子供を殺めるなんて”と泣き崩れて可哀相な母親の姿を見せたと思ったら(帰り笑顔だったところを見ると、可愛いのは自分の子供だけで殺された子供のことは何とも思っていないらしい)、“差入れをするのは当然の権利です”という言葉尻をとらえて「権利」ということばを盾に急に攻撃的に豹変する姿(こういう人居るけど)。最初は人目を気にして完全武装して金子差入店を訪れたのに、最後にあった時はキレイなベベ着て化粧までして平然と顔をさらしている。かなりエキセントリックは な性格で息子がああなったのも貴女のせいじゃないの?と言いたくなる。表面は辺りいっぺんの台詞だけなのに佇まいだけでそんな母親像を活写する流石は根岸季衣。
⑤北村匠海。『君の心臓を食べたい』の時は“わあっ、ヘタクソ!!”と思ったし、『とんび』『悪い夏』の時もも一つだったのに、NHK朝の連続小説『あんぱん』を観ていたら知らぬ間に上手くなってると思っていたら、本作でも微妙な顔・首の動きと目の演技とで最初は北村匠海とはわからないほど役になりきっていて、役者ってある時期を境に化けるもんだな、とつくづく思った。
“貴方の価値観で僕をはからないでください(だったかな?)”という台詞自体はこれまた正論だけれども、彼自身の価値観にはモチロン共感も共鳴も出来ないけれども、最後に(観客にとっても)不思議だった右目の秘密がわかったとき少し彼の内面が覗けた気がした。
ただ、何故殺人を犯したのかとの金子の質問に対して「働きアリの法則性」を持ち出して来たのか、がよくわからない。彼が犯した犯罪の説明にはならないと思うのだが…それが偏向した思想の流れから産み出されたものだとしても。
⑥岸谷五朗。最初に登場したときの、如何にもその筋の人らしい目の演技が凄い。
ただ、初めて口を開いたときキレイな標準語だったのに少し違和感。エリートヤクザだったのかな。
A)極道であること B)二ノ宮佐知が何回門前払いされても面会申請を続けたこと C)二ノ宮佐知がずっと口を利かなかったこと、これらが真相に辿り着くのを難しくした筋立ては中々良かったが、真相がどこかで観たか聞いたかしたものと変わりがなかったので正直衝撃度にかける。
ただ、母親が死んだとき二ノ宮佐知がうっすらと微笑んだところが本作で最も怖く又最も心動かされるショットだったかも知れない。
このエピソードが本作で最も作り物臭いし、岸谷五朗扮するヤーサンが唐突に良い人になるのもやや不自然だけれども、片や人生の大半を世間の日陰者で過ごしてきた人間が一生に一度人の為に自分を犠牲にしたことと、何不自由なく生きてきて(親からの偏った育て方があったにせよ)偏った価値観をとらわれて大量殺人を犯した若者とを対比させたいための作劇なのかも知れない。
また、本作を貫く主題から考えると“世間”というものが作り出した「モンスター」という意味付けもあったのかも。
二ノ宮佐知が自白しないことも、金子が真相を知りながら警察に告げないことも通常の考え方したら(良識ってヤツ?)罪だけれども、彼女が母親にされたこと、人生が始まったばかりであること、を考えるとこれはこれでで良かったのかもと思わせてくれる。
二ノ宮佐知も、自分が本当のことを言えば、自分を守ってくれた大人達(金子は彼女とヤーサンの前で“墓場まで持っていく”とまで言ってくれた、ヤーサンの耳には“言って!”“ごめんなさい”という最後の叫びが届いたのかどうか…)に多大な迷惑をかけること、想いを踏みにじることを理解したのだと考えたい。
⑦こういう商売をやっている主人公を前任者の叔父(寺尾聰)のような温厚な人物ではなく、何かとキレやすい人物に設定したのも良い。親近感がもてる。私も世間には温厚な人間だと見せかけているが、実はキレやすい。主人公の様に頭に血が上ると思わす手が出る事が過去にまま有った(幸い刑務所に入るような暴行まではしなかったけれども)。
だから主人公の成長物語にもなっているのも好感が持てる。
⑧最後の最後、割られた鉢植えと黙って片付ける金子の下半身だけの姿を写して、変わらず狭量で陰湿な「世間」というものと、それに負けずに差入れ屋を続ける金子の意思のようなもの、金子差入店の日常は変わらない、ことを一瞬のシーンで物語たって見せる良いラストだったと思う。
ずっと考えてしまう
いきなりラストの感想になりますが
エンドクレジット後の植木鉢のシーン
これからもずっと他人の悪意や偏見はなくならず続いていくのだろうけれど、それをいちにち一日片付けながら、強く生きてる息子くんの足だけの描写が秀逸だと思いました。
お花も絶えることなく。
重いと見せかけて実はハートフルな物語なんじゃないかと思っていたのですが、そんなことはなく、重いものは重いまま、解決しないことはしないまま、しばらくはずっと考えさせられる余韻を残す物語でした。
なので力強いエンディング曲はミスマッチかなぁ?と感じました。
希望、にボリュームはあまり必要なくて、ほんとに鉢植えのシーンくらいの希望の暗示が良いなと。
北村匠海さんの悪役はよいですね。サイコな役柄は逆にカッコよくなってしまう映画もありますが、そうしなかった。それがとてもリアルで、訴えたいことが明確で、良かった。だってすごく薄っぺらだった。深い闇というよりは、中2病だった。片目は虐待の暗示ですらなかった。
それでないと理不尽さに説得力が出ませんから。
色々な形の理不尽が散りばめられたモヤッとする映画です。褒めです。
岸谷五朗さんが久々にバリっとかっこよかったです。
子どもは親を選べないが
この映画にはいくつもの親子が登場するが、子どもは親を選べないことを改めて思う。しかし、毒親だとか、親ガチャに外れたと言っても、自分の人生を変えることはできない。親子を含む人間関係の悩みや問題を断ち切るのは、人の優しさや思いやりである。佐和の親を除き、どの母親も子どもを大切に想っているのに、何が彼女達の歯車を狂わせるのか?美和子の考えや行動も、一歩間違えば、和真を不登校や引きこもりにも、犯罪者にもする危険性をはらんでいる。
北村匠海だと初めは気づかず、NHKのあんぱんとは全く違う役柄。最近の事件のニュースを聞いて、こういう人は増えていくのだろうと思うが、本当に怖いのは善人のフリをして、植木鉢を壊していく人たちかもしれない。
逆境の中で誰と出会うか
幼少期から虐待を始めとする難しい養育環境で育ってきた人たちの中に、感情のコントロールが困難な人は決して少なくない。
主人公の金子もきっとそうなのだろう。あの激しい感情の起伏は、人によっては理解できないのだろうが、逆境的な環境を生き抜いてきたとすれば当然とも思う。
そして、たとえ逆境的な環境で育ったとしても、その後の人生でどんな人に出会うかによって人は良くも悪くもなれるのかもしれないな、と。
差入店という仕事も興味深かった。加害者に対する支援、援助はなかなかに受け入れ難いものだが、加害者が再び罪を犯すことなく更生するには、ある種の権利を保障することも必要なのかもと考えさせられた。だからと言って小島の母のように権利を振りかざすことを良いとは思わないが…
思いのほか重たいテーマだったが、見て良かったとは思う。
父性が救う
こんな職業があるんですね
更生後の前科者がするにはうってつけの仕事です。
真司とその母、小島家の母と高史、美和子と和真、そして二宮佐知とその母
子供は母の影響にどっぷりつかって成長するんだとつくづく思った。
影響を受けた子供がどんな風に消化して成長するかは、子供の個性と子供自身の思索と、周囲によるだろう
毒母のせいで闇に落ちかけたコドモたちを救ったのは、大いなる父性を持った大人たち。
真司には叔父・星田、二宮佐知には横川、そして真司と意外なことに弁護士の久保木。
毒母では当然なくむしろ賢母(かつ良妻)だが、きれいごとばかりの聖母のような美和子に個人的に違和感。
社会が悪くても自分のほうで折り合いをつけるべき、という考えは現実的なようだがせめて子供は守ってやらなくては。息子がいじめられているのを知りながら何もしないどころか相手の肩を持つような発言に、思わず「はぁ!?」と声出てしまった。息子がいじめを苦にしていたのではなく、いじめられている弱い自分を恥じていたのを見抜いていたからなんだろうか。いじめを知った父の真司はなりふり構わず学校に怒鳴り込む。やりすぎでひやひやするが、学校は事なかれ主義だから多分大事にはしないだろうし、結果的に息子へのいじめが公になったし、いじめっ子たちはビビッてもう和真に手出ししないのではないか。
父親である真司は、行動で息子を守った。
小島母が叫ぶ、「私は20歳まで息子を『育て上げ』ました」
確かに、彼女があんな風に育て上げたんだと思う
世の中には親がどれほど手を尽くしても矯正できないサイコパスな子供はいるが、高史は母親が育てたように育ったと思える。
密室で母に育てられたらしい小島高史には、父性を持った人と会う機会がなかった。
社会が悪いのか、自分の責任なのか、ケースバイケースで一概に言えるものではないし、どちらに責任があるにせよ、大事なのは、ではどうしたら良いか、のほうだ。
父性は、コドモを社会的にうまく生き延びられるように育てる、導く、手助けする、もののように思える。どうしたら良いか、を伝え、実践するのも父性ではないか。
多分、社会経験によるところが大きいと思うので、母親が父性を持っている場合もあると思う。
胡散臭げな弁護士の久保木が、「良心」に沿って仕事をしていること、そして警察(検察?)との間で、二宮佐知の事情をくんで、売春の件には触れないことで了解したとか、その昔の八百屋お七の「お前はたしか14歳だったな」みたいな人情判断があるなら、公的機関も人間も捨てたもんじゃないと思いました。
佐知の横川への面会が門前払いだったのは、面会した佐知が余計なことを言って彼女が追及されないようにという配慮だったんではないか。
もしそうなら、他人や社会は意外と温かいなと思いました。
丸山くん、好演。
真木よう子さん、いつもとイメージが違ってて似ている他人かと思いました。
役作りのためなんですかね
岸谷五朗の横川の漢気に、惚れました。
店主の妻の強さに救われました
丸山さん演じる金子真司は拘置所に差入れを届ける差入店の店主。彼を信じて支える真木さん演じる妻美和子。真司、そしと彼の母に対する美和子の包容力と強さは母として尊敬します。
この映画に母親が5人出て来ますが、いわゆる毒親が3人。自己愛が強く男に依存する母。殺人犯の母、娘を売った母。
母に愛されなかった子どもの孤独と絶望。
「母」がこの映画のひとつの大きなテーマ。
真司の過去を全て包み込み、世間に何と言われようと自分のすることに誇りを持て。悪いのは世間だ。偏見や嫌がらせにも屈しない、被害者にならない美和子の強さに真司も彼と関わる人々も救われます。この愛情の連鎖がもうひとつのテーマだと思います。
人は弱さとどう向き合うか。どう支え合って生きていくか。観終わってそんなことを思う、良い映画です。主題歌の「抱き合えばわかる」「信じる以外に希望はない」が響きました。
本質的な人間の愛情と家族愛を見事に描き出した作品
差入店という設定が独自固有であり、またまた私の知らない世界が開けた作品。
齢50を過ぎても知らないことばかりで、映画で自分の世界が開けるのが鑑賞モチベーションでもある。
本作、主人公金子真司の服役中から始まり、そこでの妻美和子との関係性がどうなんだ!?という冒頭から
時間が飛ぶ。結構時間軸が行ったりきたりするので、集中力が必要だが、飽きさせない展開と
時間がどの時点なのかはだいたいスグわかるので、ストレスにはならなかった。
時間が行ったりきたりしながら、人物像や金子家族の解像度が上がっていくのが、実に巧みに紡ぎ上げられている。
そして実に映画的であるため、現実的なリアリティには少し乏しい気がするが、観ているうちにそれはどうでもよくなった。
俳優陣の演技が素晴らしい作品でもある。
特に真木よう子の存在感が圧倒的。その母性・愛情たるや圧巻ですらある。
主人公を演じた丸山隆平も素晴らしかった。私は今まで認識していなかった俳優だが、実によかった。
声がなんとなく小栗旬に似ていると思った。
名取裕子のやさぐれ感もなかなかいいし、寺尾聰は安心して見ていられた。
フィジカルにエンターテインすれば、もっと評点は高かったと思うが、どこか客観的にしか見れなかった自分がいる。
主人公に感情移入できなかったのがその要因だろうと思う。
それにしても、人は何故優しくなれないのかな。
こういう作品を観ても優しくなれない人っているのかな。
どうなんだろう。
少なくとも私は人に優しくありたいと、鑑賞後にはあらためて思えた。
綺麗事かもしれないけれど、まずはそこからな気がする。
エンドロール後の映像も必見!ここも時間が飛んでいる!
何を伝えたいのか見る側がそれぞれ解釈を求められる作品
予告で見た感じとても面白そうだと思い鑑賞。予告からの期待通りの作品でした。
北村匠海は先日の悪い夏での役ともまた違った感じでしたね。普段はなかなかやらなそうなサイコパス野郎の役でこれがまたハマっていたと思います。このサイコパス野郎のことが中心に進んでいくのかと思いきや中盤から後半にかけて別の事件を軸に物語が進み、岸谷五朗さんと少女の話は胸が打たれるものがありました。
自分が見た感じではこの作品、いろいろなところにいろいろな要素が散りばめられていてこれはこういうものでこういうテーマだというものを提示する感じではなく見た側に委ねられる感じがある作品かなと思いました。
なんとなく親と子、家族、つながりみたいなものを考えさせられる感じがしました。
被害者家族の悲しみの視点なんかは昨年の石原さとみの「ミッシング」を彷彿させる、というかそれをさらに酷くさせたような描写でしたね。それとは逆に加害者側の家族の視点、そして今まで母に振り回されてきた主人公。
後半に明らかになる少女の実態。
どんな親でも親は親、どんな子供も子供は子供、ただそれだけでは成り立たないこともある、血のつながりがなくても何というか絆のようなもの、救いがあることもある、なんとなくこのような要素が物語の全体として散りばめられていると考えました。
しかし主人公はなんで暴力沙汰で逮捕されたのか、植木鉢を壊してるのは誰なのか、そのあたりは詳しく描かれなかったのでよくわかりませんでした。
ま、そういうことがありながらも日常は続いていくということを表現したいから最後のカットはああなったのかな?なんて思いました。
深く考え、胸を打たれ、いろいろと感じることのできる作品です。
作品としてはとても重いものだと思います。
ぜひおすすめです!
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