金子差入店のレビュー・感想・評価
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人生の栄養分になる映画
封切り翌日に鑑賞。
雨上がりの週末の夜。
長編デビューの監督によるオリジナル脚本。
小さなスクリーンにも関わらず、後ろのほうの席が、まばらに埋まる程度の客入り。
見終わった直後の感想は「久々に映画らしい映画を観た」だった。
それから、日一日と映画によって与えられた養分がじわじわしみてくる感覚を味わっている。
封切りから3日間の客入りが祟り、上映回数は減少しているらしい。
それに反比例するように、ネットで目にする反響は熱を帯びだしている。
「観て損は無い作品」
「観る価値がある作品」
「たくさんの人に、ぜひ観て欲しい作品」
日常的に劇場で映画を鑑賞している目利き層からは
「今のところ、今年度の邦画1位」という評価もチラホラ。
鑑賞当日、外出を見送ろうとしていたけれど。
これから天候は回復するらしいと教えてくれた家族の言葉に背中を押され、封切り早々に出会えた作品。
鑑賞から数日が経つ今、余韻を味わい、考察を楽しみ、口コミの広がりを目で追いながら、作品に関わったキャスト・スタッフの次回作に思いを馳せている。
配信される作品を倍速で楽しむスタイルと劇場のシートに身を預け、等倍速で作品に向き合うスタイル。
それぞれの良さがあるけれど、本作は、ぜひ後者をおすすめしたい。
それでこそ得られる栄養分があるはずだから。
日々を大切に生きようと思える映画
つらい現実や忘れられない過去、凄惨な事件が描かれているにも関わらず、温かな気持ちが残る作品です。余白が多いので観る人によって、また何度か鑑賞することで受け取れるものが違ってくると思います。
私にとっては人生に残る一本になりました。
また、ヒューマンドラマとしてだけでなくサスペンスとしても楽しめる作りになっています。さりげなく散りばめられたヒントで人物考察をするのもお勧めです。考察がお好きな方は観た後にパンフレットを読むことをお勧めします、メインキャストの背景等書かれています。
エンドロールも最後まで見逃して欲しくないです。
主演の丸山隆平さんをはじめ豪華俳優陣のお芝居に惹き込まれます。丸山さんは近年舞台ではシリアスな役を演じられており(特殊詐欺を描いた「パラダイス」や芸能記者役の「ハザカイキ」)、今回はスクリーンでその熱演を見ることができます。差入れ屋として被害者と加害者の狭間で自身の弱さに翻弄され迷いながらも懸命に大切なものを守ろうともがく一人の男として生々しく生きており、表情や声色の繊細なお芝居と、その局面により佇まいや顔つきが変貌していく様が見事です。金子の精神状態が痛いほど伝わってきてつらくなります。
脇を固める俳優陣どなたも見逃せないのですが、特筆すべきは今回銀幕デビューを果たした現役女子高生の川口真奈さんです。台詞量の少ない難しい役どころですが、新人とは思えないお芝居をされています。これからも注目したい俳優さんです。
また、弁護士役の甲本雅裕さんもいい味を出しています。金子とのシーンは内容はシリアスなのですがとても柔らかな空気が漂い、少しホッとさせてくれます。
古川豪監督は長編映画デビュー作とのことで、記念すべき作品を観られたこと嬉しく思います。作品からもインタビューからも、世の中を少しでも良くしたいという思いが根底にあることが伝わってきました。これからも期待しています。
金子差入店の佇まいと映像の質感がどこか懐かしく、温かい余韻が残ります。家族であろうと懸命にもがく金子一家の温もりに触れるためにまた映画館に会いに行きたいです。
細部にまでこだわりの光る良作
無駄を削ぎ落として伝えたいメッセージだけが込められた作品。役者の演技もそれに合わせて、説明的なセリフは省かれて表情筋の動きや声色の僅かな違いで表現されている。どのシーンにも考えられていて、勢いだけで乗り切る部分はない。劇中に覚える違和感でさえも意味があるのではないかと思わせる。
このこだわり抜かれた作品作りはさすが監督が11年間温めていたアイデアだと言うだけのことはある。
ただそれだけに、様々な事件が詰め込まれ、時間内に語りきれない印象があった。余白を楽しむという意味ではそれも正解だと思うが、もう少しそれぞれを掘り下げて観たい感があるのは否めない。
鑑賞後にはパンフレットを読むのをおすすめする。
しかし、作品の一番伝えたいことはエンドロール後の一瞬に表現されている。作中様々な出来事が巻き起こるが、全てはこのシーンのためにある。席を立たずにエンドロール後まで観るのを強く勧めたい。
苦しみの中にある小さな希望
まず差入店というものが存在していることを知りませんでした。映画で描かれていたように、収容されている人の身内や知り合いからの差入れ代行が多いだろうから、苦しみややるせなさがあるんだと思います。そんな職業があることを知れたのが一つの学びでした。
主演の丸山隆平さんをはじめ、皆さんのお芝居が素晴らしくどんどん映画の世界に入り込むことができました。
この人たちは映画に描かれていないところで、どのような生い立ちでどのようなできごとを経験して今があるのだろう…それを考えずにはいられませんでした。
苦しさやリアルさ胸糞さがある中で、それでもなにかを変えようと動いてみる。現実世界はあまり変わらないのかもしれないけど、それでも誰かの心は少し軽くなるのかもしれない。そんなところに小さな希望を感じました。
とても素敵な映画だったので、ぜひたくさんの人に見ていただきたいなと思います。
余韻がジワジワと
胸糞悪い映画はこうでなくちゃ😆
”差入屋”という職業を通じて親子関係を描いた作品でした
刑務所や拘置所に収監されている受刑者に面会したり、物品を差し入れたりするのを、家族などに代わって行う”差入屋”という職業があるそうで、そこにスポットを当てた物語でした。そんな職業があることを知らなかったため、どんな仕事なんだろうか非常に興味があり観に行くことにしました。そのため、個人的にはいわゆる”お仕事系”のお話を期待し、主人公は”差入屋”を紹介する案内人であり、同時に案内人の視点で複数の受刑者の人生を眺めたお話なのかなと勝手に思い込んで観に行ったのですが、実際は全く違う展開でした。
特に意外だったのは、”差入屋”という職業が主題であるのは間違いありませんが、同時にいくつもの親子の葛藤を描いた物語であったことでした。すなわち、主人公の金子真司(丸山隆平)とその母・容子(名取裕子)、金子と息子・和真(三浦綺羅)、和真の同級生の花梨(金子莉彩)とその母・詩織(村川絵梨)、花梨を殺した殺人犯・小島(北村匠海)とその母・こず江(根岸季衣)、母親に売春を強要されていた娘・二ノ宮佐知(川口真奈)とその母・芳恵(まひろ玲希)という5組の親子の物語が織り交ぜられていた訳です。しかもこの中で刑務所に収監されているのは小島親子だけであり、その点を見ても本作が単なるお仕事系物語でないのは分かるかと思います。
これらの親子関係、それぞれに問題を抱えていて、ハッピーエンドになったものもあれば、片方が殺されてしまってどうやっても修復が叶わないものもあり、また互いに生きていても修復が極めて困難なものもありました。この辺は現実の親子関係とも似ていて、中々興味深いものでした。
俳優陣は芸達者が揃っていて、主人公・金子真司を務めた丸山隆平は初見でしたが、非常にいい味を出していました。彼以外でも、金子の叔父を務めた寺尾聡は、久々でしたが老成していてカッコ良かったし、金子の母親役の名取裕子は、やさぐれ度100%の毒母ぶりを上手に演じていたし、収監中の極道・横川役の岸谷五朗は超絶にヤクザが似合っていたし、甲本雅裕の怪しげな弁護士役もハマっていました。ちょっと残念だったのは、金子の妻役の真木よう子のセリフ廻しが、今ひとつしっくり来なかったことくらいでした。
そんな訳で、事前の予想とは様相が異なる作品でしたが、それはそれで中々面白かったので、本作の評価は★4.2とします。
難しい仕事だよなぁ
良いのですが 置き去りにされました
差入れ代行という職業がリアルにあった😳のを初めて知りました、くらいに今までないお話が新鮮でした。
前知識はなく予告で魅力を感じて観に行った作品です🙂
良かった…悪くはなかった、差入れ代行という視点もお話の大筋も俳優陣のお芝居も😌
でも置き去りにされてしまいました😣
この作品でやりたいことが沢山あったのだと思いますが、
登場人物や相関関係と伏線(と後にわかる)の設定が曖昧に感じて入り込めなかったです😢
惜しいトコ、まではいってないですが、きっともっと引き込める面白い(笑いじゃなくて)お話に出来るハズ。
そしてこれは適材適所的な意味合いですが、美和子役は別の方が良かった…ごめんなさい。
感性や価値観、好みは人それぞれ🍀
ストーリーに芯が通った作品が好きなので、このようなレビューになってしまいすみませんでした。
そんな、仕事があるんですね
こんな職業が有るんだ…
思ったより責任重大。
重層的な構造の物語で複眼的に考えさせられる
二箇所ほど嗚咽寸前
意外な佳作。監督の将来に期待。
初日に山形県の鶴岡市の隣り(三川町)で鑑賞した。鶴岡や酒田で撮影された「おくりびと」の納棺師と並び、随分とニッチな商売を取り上げた。
長編映画が初めてとはいえ古川監督は助監督のキャリアがある。演出に危うさは感じられなかったし、出演者も子役以外は安定した持ち味を見せた。反面、脚本の着想は素晴らしくも構成が甘い。ありえないだろうと思われるシーンも含まれており、今一度ハコ(シーン、時系列)をバラして積み直せば幾分かは観客の心に深く届く作品にはなったのではないだろうか。特に冒頭シーンは作り直してもらいたい。反対に北村匠海くんの使い方は勿体ないと感じる向きもあろうが、私はここは肯定したい。
映画作品全体としてはポジティブだと感じている。キャリアがある人だけに、今後観客がどう見るか、どう感じるかを把握できれば、一段上の品質を世に送り出すことは可能だろう。
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