「こういう仕事があったんだ。」金子差入店 ちえべさんの映画レビュー(感想・評価)
こういう仕事があったんだ。
自分の生活の範囲の中にはなかった仕事、差入店。
そもそも差入をするのにいろいろな規制・条件があることを知らなかった。
たしかに、刃物とか長いひも状のモノとかは分かるような気がするけれど、それは分からない。
それこそ話しを広げれば、冠婚葬祭についても当事者にならないとわからない、知らなかったことってあるのだから、そういうモノなのだろう。
最近、映画で描かれる女性が やたら強い気がする。
「金子差入店」でも、真木よう子演じる・金子美和子もその一人。
身籠った体で、あるいは子・和真を生んだばかりで、服役した金子真司への差入・面会を続けていて、一回はキレたものの、その後も出所後も真司に寄り添い「差入店」を手伝いながらパートにも出ている。
世間に知られていない仕事だけあって、偏見・誤解が付いて回り、誹謗中傷も物語の中で描かれていた。
また、真司と不仲な、真司の実母・金子容子(名取裕子)との関係についても。
美和子は、堪えるという一言だったと思うけれど、それを真司にわからないように切り回していた。
それは、美和子というよりも女性の持つチカラなのかな、と思う時がある。
割り切りの強さというか、切り替えの徹底ぶりというか。
美和子とは対照的に、悪い意味での依存について容子が、悪い意味での母親像として小島こず江(根岸季衣)が描かれているように思えた。
もう一つの女性像として、二ノ宮佐知(川口真奈)は、美和子自身として描かれたのだろう。
服役している横川哲(岸谷五朗)に、決してかなわない面会だけれど、拘置所に足しげく通う姿は、真司の服役中の美和子だと思う。
金子真司を中心に描かれた女性は、すべて妻・金子美和子を際立たせるために描かれているように思えた。
最後に、ネタバレにもなるけれど、横川哲と二ノ宮佐知に注目すれば、ふたりの純愛ドラマに思えたのは自分だけだろうか。
そして、その純愛の関係は、当然 真司と美和子の関係ともいえるだろう。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。