「“身内”という、それぞれの存在。」金子差入店 羊さんの映画レビュー(感想・評価)
“身内”という、それぞれの存在。
まず一番に残しておきたい感情としては奥さんの忍耐強さにグッときたということです。どんな夫であっても、決して見捨てない。背中をさすってくれる。喝を入れてくれる。揺るがない愛の強さをもつ人です。
そんな奥さんに支えられて、前科者である夫は、社会の一員としてなんとか働けているのです。もともとこのお店を営んでいた叔父も居てくれてよかったです。叔父は、甥の悶々とした心を、そっと受け止めて、やさしい笑顔で包んでくれるような人です。かつての若い頃の自分と甥を重ねて見ているのかもしれません。親が俺にしてくれたように、自分も同じことをしようと、あの場所に招いたのかもしれません。
奥さんや叔父。身内ほど心強い存在はいないと思う。でも、身内に苦しめられて生きてきた者もいる。その状況から救い上げてくれているのは、自分ではなく、他人。終わった人生の者がこれからの人生を生きる者を救ったり。自分みたいにならないようにと一つの命を終わらせたり。色々な“思い”を見た気がしました。
金子差入店の前にはきれいな花鉢がいくつか飾られています。それを嫌がらせで割る者がいます。「誰だよ…」とブツブツ言いながら夫は片付けていました。エンドロールのあとに流れるシーンでは、夫自身がこの仕事を受け入れ、誇りを持ち、俺は間違ったことはしていない!という確固たるプライドを感じられました。
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私たちがおかしいんじゃないの。世間がおかしいの。あなたがやってることは、すごいことなんだから。
御二方、コメントありがとうございます。人は、人の言葉によって、いくらでも弱くなれるし、いくらでも強くなれますね。何十年後かには、叔父のような、まるくてやさしい人間になっているのではないかなと思っております。
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