「シリアスで重い犯罪ミステリーを差入店の視点で。」金子差入店 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
シリアスで重い犯罪ミステリーを差入店の視点で。
古川豪監督のオリジナル脚本。
ミステリー小説的で、複雑で凝っている。
拘置所に差し入れをしたり、代わりに面会したりする
「差入店」の店主を物語の中心にした点は目の付け所がいい。
主役の金子を丸山隆平を配役した点は、
丸山さんは、あまり露出してないので、
リアリティがある。
拘置所には、大罪を犯して収監される犯罪者や、
死刑囚も拘置されていると聞く。
差し入れの食べ物や衣服には厳しい規制があり、
弁当や菓子、果物は差し入れ店が準備した物でなくてはならない。
それは毒物の混入や、メモなどの通信などを防ぐ目的だろう。
主人公の金子は元受刑者で、今は差し入れ店を引退した
伯父の星田(寺尾聰)の後を引き継いでいる。
金子の過去、
傷害事件を起こして4年服役した経緯がある。
しかも妻の美和子はその時身重だった。
次の場面では、10年後になる。
本当に奥さんの献身で更生したんだよね。
真木よう子、明るく強い人だった。
そして事件が起こる。
和真の友達で幼い頃から知る近所の花梨ちゃんが行方不明になり、
その後殺された遺体で見つかる。
そして犯人の男・小島(北村匠海)が拘置所に収監される。
金子は小島の母親の代わりに、面会に通うことになる。
母親(根岸季江)に、明らかに問題がありそうだし、
小島は瞼が生まれつき塞がって生まれたという障害を抱えている。
そしてもう一つの事件。
元暴力団員で、鉄砲玉として殺人を命令され15年服役して、
刑期を終えた孤独な男(岸谷五郎)の犯した強盗殺人事件。
《この事件には裏がある》
担当弁護士の久保木(甲本雅裕)も悩むほどの、陰惨な事件。
そして拘置所に毎日面会を申請に来る被害者の娘・佐知(川口真奈)
(被害者に面会が許されることはないのだ)
この女子高生は非常に影ある重要な役で、映画の後半の
大事なキーパーソンで、岸谷五郎も、演技の見せ所であり、
暴力団員で替え玉殺人を請け負ったばかりに、人生を失った男。
彼の唯一の善行とも言えるのが、佐知の母親を殺した(?)こと、
だとしたら、
これも一つの贖罪なのかもしれない。
ただ無差別殺人犯の小島と金子が面会室で相対する。
北村匠海は、「悪い夏」に引き続いて汚れ役。
汚れた長髪、まぶたのふさがった障害を持つ捻くれ者。
チック症・・・役作りは完璧です。
全体的に犯罪ドラマとしても新鮮味があり、
差入店をテーマにしたアイデアは生きている。
丸山隆平、妻の真木よう子、息子の三浦綺羅、伯父の寺尾聰、
北村匠海、岸谷五郎、そして名取裕子、
久しぶりのスクリーンなのに、こんな毒親やる根性、
好きだよ。
川口真奈の好演も印象的。
全体に人間が描けている満足感の高い作品だと思いました。
観客は多かった。
全体に人間が描けている満足感の高い作品、同感です。
丸山君が好演で、失礼ながら意外でした。
岸谷五朗さんの横川の漢気、すばらしい。毒母に貶められていた女子高校生の人生を救うために、敢えて優しいウソをつきとおす横川と、ひそかに奔走する弁護士の久保木に、人間は捨てたもんじゃないなと思いました。
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