サンセット・サンライズのレビュー・感想・評価
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鑑賞後は美味しい魚が食べたくなる
自分が都会か地方かのどちら側の人間かで、作品の響き方が異なってくる作品だと思う。
クドカンは今までいろんな角度で、震災やコロナを描き続けているけれど、一貫してあの日々は何だったのか、あの経験を経て我々はなにを学び、何を失い、何を活かしていくのかを届けてくれる方だなと思う。
今回もまた違った角度でメッセージを届けてくれたが、個人的には同じクドカン作品で、震災後を描いているドラマ『季節のない街』が素晴らしすぎて、そちらの方が刺さった。
クドカンらしいコメディ要素は面白かったし、シリアスなシーンでも、シリアスに全振りせず優しくあったかく笑いに変えるところは、クドカン脚本で好きなところなので良かった。
しかし話のテンポが微妙に悪く感じる。140分も必要だっただろうかという疑問。140分もあったのに恋愛展開がいきなり過ぎて置いてけぼりに感じた。最後も蛇足感が拭えず……ちょっと不完全燃焼。
ストーリー構成は疑問が残るものの、愛嬌のある素朴な西尾役を菅田将暉が好演していたし、久しぶりの井上真央は時が止まっているのかというほど可愛いままで、田舎のヒロイン役にピッタリだった。総じて演者たちは良かった!
コロナと、芋煮でも話題にしないやつ
菅田将暉の生き生きとした表情のポスターやチラシが印象的な本作。釣り好きのサラリーマンが、コロナ禍のリモートワークをきっかけに、田舎に移住する…という、一見シンプルでのどかな筋書だ。けれども実は、アンタッチャブルな二大要素に斬り込む、なかなかの意欲作だった。
冒頭、いきなり無神経な発言をする観光客が登場する。震災、そしてコロナ。もう忘れたい、なかったことにしたい、見ないふりで済ませたい…ことがらを、畳み掛けるような笑いの連続で巧みに引き寄せ、観る者の記憶を手繰っていく。
いきなり東京からやってきた西尾(菅田将暉)に、消毒液を振りかざす桃香(井上真央)。ドタバタっぷりに苦笑しながらも、確かに当時は、至極まじめに、そんなことをしていたなと思った。地元からの罹患第一号になりたくない!という信念を持ち、ごく当然に手作りマスク(守る会の面々は、たぶん大漁旗のリメイク)を身に付け、間隔を空けて席につき、「家族ゲーム」式に並んで会食する。真剣なのに、ちょっと間が抜けている。ばかなことやってたなあ、という気がするけれど、今もなおコロナはあるし、インフルエンザも大流行だ。とはいえ、今やコロナは得体の知れない恐怖ではなくなった。煩わしいけれど、まあ何とか付き合っていける。そんな日常に潜む諸々の一つ、になりつつある。
一方、震災は手ごわい。被災体験の有無、被害の大きさ(何を失ったか)で、独断と偏見満載のランクに振り分けられ、近しい者同士でさえも話題にしない。「芋煮でも話さないやつ」という扱いだ。口にしないのは、「どうせ他人にはわからない」というあきらめだけでなく「どう伝えればいいのか分からない、そもそも、分かってもらう必要があるのかさえ分からない」というためらいではないか。忘れたい、忘れられてしまえばいい、というような。コロナよりずっと前に起き、その後も各地で天災は起きているににもかかわらず、いまだに上手い付き合い方が見つからない。多くを語らず日々を重ねる、百香の父(中村雅俊)や茂子さん(白川和子)の佇まいが印象的だった。
西尾は、アクロバティックな宣言で壁を越えようとしたかに見える。けれども、彼が取ったほんとうの選択は、思いのほか繊細で誠実だった。原作は2022年発表。それから3年経過した今だからこそ、映画だからこそ、の結末を、様々な人に、ぜひ味わってほしい。
ナチュラルで芯のある人生ドラマ
クドカン脚本はいつだって舞台となる街の過去と現在が、肩肘張らないユニークなタッチで浮かび上がってくる。そこで個性豊かな登場人物らが愉快なハーモニーを成しながら、現在進行形で未来へ向かう展望を形作っていくわけだが、今作はとりわけ地方における空家や移住といった社会問題を切り口に、前景にはコロナ禍の記憶を、後景には震災が人々にもたらしたものを丁寧に据えている点が特徴的だ。そして時間軸の経過に伴い、巧妙な人物配置やセリフの構成なども相まって、後景に刻まれた思いや記憶へ少しずつ焦点が絞られていく。それはきっと作り手としての「忘れない」という気持ちの現れでもあり、この想いは後半、古い家をリノベーションして受け継いでいこうとする過程でも大切に反映されているように思えてならない。ユーモアを忘れない会話の楽しさ、人と人の絆、そして何より菅田、井上の好演が、ナチュラルで芯のある人生ドラマを真摯に輝かせている。
満腹でも食べたくなる映画
等身大
映画館にて鑑賞しました。
自分としては菅田将暉さん演じる西尾さんの素直さに救われた映画でした。単純に釣りが好きだったり、しがらみ(?)に関係なく美味しいものを食べて満面の笑みで「美味しい」という姿勢や、いわゆるコミュニケーション能力の高さを発揮する姿は、なんというか一服の清涼剤にも感じました。
作品に出てくる各登場人物は、個性は多少強調されていますが、かなり等身大なのではないかと思います。とても大きなことが起こるわけではないのですが、作品内では直接には描かれていない東日本大震災やコロナを通じて「都会」と「田舎」のそれぞれが描かれています。
それぞれの人物や心情にクローズアップしすぎていないからこそ、他者からギリギリ感じられる「等身大」が描かれているようにも感じ、人によっては同族嫌悪的に人物を嫌になってしまう部分や、シーンごとの空気感が辛いと感じる方もいるんじゃないかな、と思いました。(自分でも書いていても、文章で説明することが難しいですね。。。)
都会・田舎、それぞれに良いところもあれば悪いところもあるよ、と言ってしまえばそれまでなのですが。
言葉にするのが難しいのですが、もっと素直に生きていけたらな、、、と自分の人生のことをなぜか思ってしまいました。
わが国が縮みゆく中で
コロナ初期の2020年、南三陸のとある港町で貸し出された空家に、東京の釣り好きの若者が、リモート制度をフル活用してウキウキとやってくる
そしてギクシャクと始まる地元の皆との交流がやがて、その一人一人に、震災を含めた人生の総括を期せずして強烈に迫る
「東京」と「地方」は定義の話で「都会」と「田舎」は程度の話、作品の中でもあえてごちゃまぜなので、観る側もこれまでの暮らしにより、それぞれに気になるとこや感じることがバラつくと思うし、国自体が縮んでいく中、われわれはそれを皆ですり合わせていかなきゃなんない
軽妙に重大、さすがのクドカン脚本
素晴らしい映画だったなー、封切りからはだいぶ経ってたけどなんとか劇場で観れてよかった
井上真央を見直しました
いい匂いを求めて⋯
あたたかい気持ちになる
原作は読まず、他の映画の予告で気になり鑑賞 移住にコロナに色んな社...
良い映画だなー
菅田将暉演じる西尾くんが好人物(*^^*)
ただ見ていればいい
原作とはひと味違う味わい
笑って泣いてスッキリ
そうそう!コロナ禍って、そんなんだったって思い出しながら鑑賞しました。
過疎化が進む三陸の小さな街へ、フルリモートになった東京のサラリーマン西尾(菅田将暉さん)が移住するところから始まります。
首都圏から来たってだけでバイキン扱い、なおかつ余所者なので地域の人たちから怪しまれるなんてもう苦笑ですね。それがだんだん馴染んでいくっていうのは予想通りな展開。
人情とか恋愛みないな人間関係に社会風刺を絡めてくるのは、さすがクドカンだなぁと思いました。
コロナ禍の反省とか過疎地の活性化とか、こちら側にも問いかけられてるようにも感じました。
一瞬、熊は必要??って思いましたが、昨今の熊出没のニュースもあるしアリかーとこれまた納得しました。
選んで正解、クドカン作品、140分
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