「日はまた昇るのさ」サンセット・サンライズ G1C2jxTA33r3iC2さんの映画レビュー(感想・評価)
日はまた昇るのさ
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テーマは割と重く、限界集落の課題に対して結構真剣にその打開を投げかけている。映画ではライトに描くこの宇田濱モデルも、小説だとかなり細かく分析しており隙がない。小説では晋作と百香が結婚するけど、映画では百香のパートナーとして晋作が宇田濱へ帰ってくるラストだったり、晋作の絵も芋煮もももちゃんの幸せを祈る会もエヴァの超暴走も映画ならではの小技で、これらの全てが私に突き刺さった。いやー、面白い。
特に刺さったのは晋作の絵だ。シゲ子さんちのリフォームに添えた煮魚の絵は、晋作の愛の深さが伺える一コマだ。そして朝日を眺める二人の絵に二人描き足す描写なんて、まさに晋作が百香の気持ちに寄り添う感情の表れを見事に表現していて、いやー、泣けたのなんの。
演者の皆さんも、すっかり物語に溶け込んでいたかなって思う。
芋煮会では、都会で暮らす人のナチュラルに高慢な態度と田舎者の勝手な反骨心など、演じる上で醸し出さなければならない雰囲気を見事に演じていたのではなかろうか。…熊のシーンは多分クドカンが、「香り松茸味シメジ」を言いたいだけってくらいに物語の蛇足であったのも一興。
個人的には池脇千鶴のヒトちゃん。あー、いるいるこういう人って役をとても自然に演じていたと思う。
もう一回観たいなと感じさせてくれる良い映画でした!
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