「絶妙なバランスの結末」366日 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
絶妙なバランスの結末
ヒロイン上白石萠歌には特に興味が無いし、HYも“366日”も知らないに等しい。予告編を観ても、「超ベタなラブストーリーかも」という懸念が・・・。
それでも観る気になったのは、赤楚は比較的好きな男優だったのと、なかなか出会わない良質な大人のラブストーリーに出会うことをちょっとだけ期待したのかも。オジサンだってトキメキたい(笑)
【物語】
2003年の沖縄から物語は始まる。
高校1年生の玉城美海(上白石萌歌)はとある場所で3年生の先輩真喜屋湊(赤楚衛二)とぶつかり、湊が手にしていたカバンの中味が床にばら撒かれてしまう。湊は慌てて搔き集めて足早に去って行ったが、美海が落としたMDを誤って持ち去ってしまう。逆に湊のMDがその場に残されるが、入れ替わったMDの中味は同じ曲だった。
それ以来美海は湊が気になる存在になり、MDを返すことを口実に湊に会いに行くが、ちょうどその頃湊の母親が亡くなり、湊は学校に姿を見せなくなる。益々湊のことが気になる美海は同じ曲を好きなことを頼りに歌で湊を励まそうとする。
やがて美海の気持ちが通じた湊は元気を取り戻し、2人は接近する。美海のお陰で諦めかけていた夢を取り戻した湊は卒業と同時に東京の大学に旅立つが、美海は2年後に同じ大学に進学し、再会を果たす。
2人は東京で幸せな日々を過ごしていたが、美海の卒業が迫ったある日、湊は突然美海に別れを告げる。
【感想】
まず1つ、手放しで褒められるのは、沖縄の海。 繰り返しスクリーン一杯に映し出される海が美しい。 ヒロインの名前のとおりのこの美海を味わうだけで映画館に足を運ぶ価値があるかも。
俺的にはヒロインはやっぱり物足りないのだけど、この作品には超美人よりも親しみのあるちょっと可愛いくらいの素朴な娘が合ってそうなので、上白石のキャスティングは正しかったのかも知れない。 ただ、赤楚も上白石も20年の時の流れはとても感じられなかったのはちょっと頂けない。
ところで、作品に関係無いが、最近段々萠歌と萌音の見分けがつかなくなって来ているのは俺だけ? 姉妹は顔は似てても、性格・雰囲気が異なるケースが多いが、この姉妹はそれが近いから最近一瞬では区別できない(笑)
役者的にはむしろ、娘役の稲垣来泉とそのボーイフレンド役の齋藤潤が目を引いた。當真あみの妹かと思うほど良く似ている稲垣来泉の好演が光っていた。齋藤潤は“カラオケ行こ!”以来注目しているのだが、やっぱり上手い。好感度の高い風貌と合わせて、将来の神木隆之介という感じ。
最後にストーリーだが、終盤にさしかかるあたりまでは、「やっぱりベタか」と言う展開だった。一番文句を言いたいのは、ラブストーリーに病気を絡ませるのは安易過ぎて「恥ずかしくないのか!」ということ。 ただ、終盤からエンディングに掛けては満足度が上がった。 この手の“純愛”ものに良く有るケースは、最後に2人にとってはハッピーエンドなんだが、周囲の人は可哀そうみたいな結末。つまり主役の2人に周囲が振り回されて終わるパターンだが、今作の着地点は違った。 ハッピーエンドでも無いが、かと言ってバッドエンドでもない。周囲の人達も含めて納得の結末って感じ。 そこは高く評価したい。