「忘れないことと忘れること」最後の乗客 Ericさんの映画レビュー(感想・評価)
忘れないことと忘れること
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1時間という長さのクラウドファンディングで作られた映画、との情報だけで観た。だからと言っては失礼だが、見事なCGや粗のない美しい映像、豪華なセットは期待していなかった。それは当たっていたと思う。
海を映し始まる物語。予備知識なしだったが扱うテーマは3.11かな?となる。それも外れていなかった。
二人の男性タクシー運転手の夜の会話。夜遅くあそこを走ると出るぞ、と。それに笑い発進した遠藤は予言が当たったように一人の女性を拾う。続いていきなり飛び出し、父が待っていると乗る母娘。同時に遠藤は最初の女性が娘であるみずきだったと知る。
みずきと母親の会話でああこの人は、もしかしたら子供もと分かったがそれ以降の展開は予想を超えていた。感情が混乱し、心で泣いた。
私は3.11を忘れまいと思っている。それはきっと私が覚えていられる人間だからだ。福島県に親戚がいた。その町に住めなくなり出て行かざるを得なかった。新しい地で生活を始めたがもう高齢となり、町に戻ることはないだろう。そしてこの映画のロケ地となった仙台市に友達が住んでいた。電気のない夜、友達とお母様に温められながら病身のお父様は逝った。
あの日を忘れたい。
みずきの言葉は衝撃だった。考えたこともなかった。親戚や友達がどうなのか、私は尋ねたことはない。
3.11だけではない。1.17や9.11。忘れてはならない日は多い。私はそれができる。でも忘れたい人達もいる。
あの日を忘れないという責任があると思っていた。私は一方的にしか見ていなかった。やはり戸惑っている。時間をかけて考えたい。
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