「種明かし的展開など不要だったのでは?」遠い山なみの光 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
種明かし的展開など不要だったのでは?
カズオ・イシグロの初長編小説の映画化作です。戦後に長崎からイギリスに移り住んだ女性が、敗戦後の長崎での生活を語るという形で物語が進みます。
語り過ぎる事なくたっぷりと余白を生かした展開、繊細な光を拾い集めるカメラ、そして流麗な美術など非常に丁寧に撮られた物語でした。文学的な香りも漂います。ただ、観る者に序盤で疑問を抱かせて終盤に少しずつそれが明らかになるミステリー的展開にした事が、彼女(達)の悲しみの鋭さを却って弱めて足を引っ張ったのではと思えました。原作がどの様な造りであったのかは分かりませんが、「種明かし」的な結末が、主人公への思いを逸らせる結果に映りました。
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