「分かるのよ、私たちはよく似てるもの。あなたもあの日あそこにいたんでしょ?」遠い山なみの光 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
分かるのよ、私たちはよく似てるもの。あなたもあの日あそこにいたんでしょ?
1952年の長崎から、1982年のイギリスへ。小説はどれも未読だったが、これがカズオ・イシグロの世界か。そしてそれを表現する、欧州のエッセンスを帯びた石川慶監督。
浅瀬の波打ち際をずっと歩き続けているような、纏わりつくわずかな不安がずっとぬぐい切れないまま、まさかラストであんなどんでん返しが来るとは予想外だった。悦子が意図的に隠したかった過去なのか、無意識に塗り替えてしまった過去なのか、そのどちらだったとしても、彼女にとって苦い長崎の思い出なのだな。これが悦子の告白の物語だとしても、それでも過去をほじくることなく、そっとしておいてあげたい。
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