「原作を読んで勉強していきましたが…」遠い山なみの光 うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作を読んで勉強していきましたが…
前評判で、難しそうな印象があったので、原作を読んでしっかりと勉強して鑑賞しましたが、かえって良くなかったかもしれません。映画と原作は全く別な作品として鑑賞すべきものかもしれない。
最近、ドストエフスキーとトルストイの作品を再読しているが、古典と呼ばれるこれらの作品は、実に微に入り細に入り、人物の背景、心情が描かれるから、読み手の想像の余白は全くない。
ところがカズオイシグロのこの作品は、人物の背景、心情はできるだけ割愛しようとするから、読み手は余白だらけということになる。トルストイなら、原爆の被害の状況から、被害者の心情まで事細かく描くであろうが、カズオイシグロはそれを最低限に抑えている。だから、読者がしっかりと読み取るしかないのだ。
小説としての一本の大きな木がある。この木にどんな花が咲き、どんな実がなるかは、読者におまかせなのだ。
だから、この映画のような、衝撃的な結末にもなんら不思議はないことになる。
総監督のカズオイシグロにも、なんの異論もなかっただろう。そこには自分の描いた一本の大きな木は、ちゃんと存在しているのだから。
ところで、稲佐山ロープウェイは1959年開業だから、映画小説の時代設定の1952年には存在しない。となると、あのロープウエイのシーンは…。景子(7歳)=万里子、悦子=佐智子ということが成り立つということになるのだ。
石川慶監督考えましたね。何度小説を読み返しました?1回読んだきりの私は、思いもよりませんでした。
でも、悦子はニキにこんな嘘をつく必要があったのでしょうか?謎です。
だから評価は☆4.5とします。
でも、これ以上考えだすと、きりがないので、コメントでのご意見はご遠慮ねがいます。
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