「稲佐山展望台からの展望は懐かしい」遠い山なみの光 カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
稲佐山展望台からの展望は懐かしい
遠い山なみの光
この映画を観て、70数年前に長崎市稲佐山近くで生まれた者として、自分も被爆者なのだと意識してしまった。
1年しか住んででいないので、50年間長崎に行ったことはなかった。
原作は読んでいないし読みたくもない。
でも、深い洞察をしてしまったのは、
本籍地が長崎市生まれだからろう。
そんな僕の感想は、
悦子は夢として佐和子を作り出し、悦子が何時迄も被爆したことを隠し通そうともがいてる。
それは二郎との関係も妊娠しているにも関わらず城山で働いていて被曝したことの真偽が心の不和となり離婚したのだろうと思えるからだ。
そんな被爆者としての不安定な精神状態が万里子であり自殺した景子なんだろう。
それは脚にまといつく紐が象徴的だ。
そして戦後日本の大変革があっても、何十年経ても、異国の地に逃れても、怖い夢を引き起こす惨劇が、原爆なんだと思った。
トラウマでは済まない深いドラマスティックな傷なのだ。
ちなみに、
ロープウェイで稲佐山に上がると、世界三大夜景、モナコ、上海、長崎で、
夕陽に霞む山並みが消える頃、長崎市街の灯りがドンドンと輝き出し、夜が暗くなるほど綺麗に輝く。
それは原爆の光ではなく、足下に光る平和の光
ところで、悦子は家を売って日本に行くのだろうか?
新たな世界を何処で歩もうとしているのか?
分からないが、望みという光はあるのだろう…
長崎に行ったら、
四海樓本店で、ここからの夜景とチャンポンは絶品です。
ランチは、丸山の花月で卓袱料理とお庭を楽しめます。
レビュー93
(^ν^)
遠い山なみの光
ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を映画化したヒューマンミステリー。
日本・イギリス・ポーランドの3カ国合作による国際共同製作で、「ある男」の石川慶監督がメガホンをとり、広瀬すずが主演を務めた。
1980年代、イギリス。日本人の母とイギリス人の父の間に生まれロンドンで暮らすニキは、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉が亡くなって以来疎遠になっていた実家を訪れる。
そこでは夫と長女を亡くした母・悦子が、思い出の詰まった家にひとり暮らしていた。かつて長崎で原爆を経験した悦子は戦後イギリスに渡ったが、ニキは母の過去について聞いたことがない。悦子はニキと数日間を一緒に過ごすなかで、近頃よく見るという夢の内容を語りはじめる。
それは悦子が1950年代の長崎で知り合った佐知子という女性と、その幼い娘の夢だった。
1950年代の長崎に暮らす主人公・悦子を広瀬すず、
悦子が出会った謎多き女性・佐知子を二階堂ふみ、
1980年代のイギリスで暮らす悦子を吉田羊、
悦子の夫で傷痍軍人の二郎を松下洸平、
二郎の父でかつて悦子が働いていた学校の校長である緒方を三浦友和が演じた。
2025年・第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品。
遠い山なみの光
2025/日本・イギリス・ポーランド合作
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