レイブンズのレビュー・感想・評価
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ダメ人間ほど愛される
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天才と狂気の狭間で揺れた写真家・深瀬昌久の生涯。闇を抱えるあまり、鴉のドッペルゲンガーに囚われていく展開は、どうしても『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』とダブる。両方とも鳥がモチーフになっているから余計そう思えてしまう。
監督のマーク・ギルは、前作『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』では、ザ・スミス結成前のモリッシーをとにかく甘ったれで優柔不断な男として描いていた。本作の深瀬も、ドッペルゲンガーに急き立てられるように自分が撮りたい写真の為に驀進する。傍目から見れば2人ともダメ人間。でもモリッシーは女性にモテて(しかも美人)ちやほやされ、深瀬もまた妻の洋子や後輩の正田に呆れられつつもサポートされる。2人とも母親に愛されていた点もそっくりだ。
しかし、ついに深瀬に愛想をつかす洋子。深瀬が手で作ったファインダーに彼女が嫌悪感を示していく様は、『ラストタンゴ・イン・パリ』のマリア・シュナイダーとジャン=ピエール・レオのオマージュか。実際の深瀬はその後に別の女性と再婚しているが、そのあたりはオミットされている。
鴉に導かれるように、自らも鴉となった深瀬。表現する事を生業とする者はとにかく面倒くさい人間ばかり。だからこそ市井の人は惹かれる。
浅野忠信や瀧内公美といった主要キャストはもちろん、脇役に徹した池松壮亮も良かった。浅野と高岡早紀は『バタアシ金魚』以来の共演というから驚き。
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