「ある程度事件の背景や予備知識を入れてから見る必要がある」拳と祈り 袴田巖の生涯 邦画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ある程度事件の背景や予備知識を入れてから見る必要がある
この事件は自分が生まれる前に起きているため「袴田事件」という名前以外は詳細を知りませんでしたが先日ニュースで無罪判決やねつ造の話を見て、劇場予告で度々流れていたこの作品を見ることにしました。
とにかくこの作品、ある程度事件の詳細や背景を知らないと初めの方は本当に何が何だかわかりません。
なので、ずっと事件を追ってきた人向けのものなのかと思います。
そもそも映画にするために撮っていたものでもないのかもしれませんが。
それと大変失礼ですが袴田さんが何を言っているかよくわからないシーンも多く(話の内容ではなく滑舌的なことです)
字幕をもっと付けていただきたかったです。
なので、私個人として感じた感想としてはドキュメンタリー作品としてだいぶ不親切な作りになってます。少し前に公開されていたカレー事件の「マミー」の方がだいぶ見やすいドキュメンタリーだなと思ってしまいました。
あとは時系列がバラバラに流れていくので非常に見づらかったです。
2014年になったり2007年になったりなんなら80年代に戻ったり行ったり来たりします。
まず、こういう事件があってそこから現在に至るまでの活動の記録などが見れると思っていたので、そういうのを期待してる人は全くそういう感じではないので見る前に事件のことをある程度調べてから見るのをオススメします。
あとはこんなに長い時間にしなくてももう少しコンパクトにまとめられたと思います。
事件のことよりも袴田さんの釈放後の生活のシーンがとても多いです。
ま、でも事件の無罪になるまでのことではなく、あくまで袴田さんの釈放後の生活を主に映し出すもので作ったようですが。
作品に否定的なことばかり言うのもあれなので
作品を見て感じたことを書きますと
袴田さんは毎日の長時間の取り調べにより精神的に壊れてしまい、神だの金だのなんだのちょっと妄想めいたことを作中でたくさん言っていますがそれもあれだけ問い詰められ長時間拘束されたらそうなってしまいますし無罪となってもその精神的な回復、本来の彼の姿は戻ることはなく本当に検察の罪は重いなと感じました。
そんな中、彼は精神的な困難さを持ちながらもいまだに「戦い」ということを何度か口にしており、これは本当にそんな彼の人生をかけた戦いの記録なのだと思います。
それとやはりお姉さんのパワーが本当にすごい、いつだって明るく笑い飛ばし、きっとそうじゃなくとてつもない世間からのバッシングもあったはずなのにそういった悲しみを見せない強さ。
この人がいたからこれだけの時間をかけて最終的には判決を覆せたのでしょう。
弁護士の先生も最後の方は鼻に管をつけていて、戦ってきた時間の経過を感じました。
それと同じく海外で無罪を証明したボクサーの方と袴田さんが最後に会うことができていたらよかったのになと思いました。
あのボクサーの方のメッセージが本当に1番作中で胸に響くものがありました。
かなり体力を使う作品なのですが
こういった事実が日本の司法にあったということを我々は知らなければいけないと思わされた作品でした。