「抑え気味の恐怖演出は悪くないものの、謎の伏線の回収はほぼ放棄。」ミッシング・チャイルド・ビデオテープ Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)
抑え気味の恐怖演出は悪くないものの、謎の伏線の回収はほぼ放棄。
クリックして本文を読む
大枠ではよくある「呪い系」の邦画ホラーになるのかな?過度な心霊表現を抑えた恐怖演出のセンスは悪くないし、子供の失踪の謎に惹かれてスローな展開ながら意外と最後まで退屈はしなかった。
ただ、この手のホラーにありがちだけど、いくつか思わせ振りな伏線のようなものを提示しておきながら、結末は曖昧なままで、結局「観た人の解釈任せ」というオチなのは残念。色々と考察して楽しむには提供される情報が少ない。
霊が見えるという司や失踪事件を追う女性記者といったメイン登場人物の背景描写すらほとんど無いのも手抜きを感じる(なぜ主役の二人は同居してるのかとか、霊が見える設定がほとんど活かされてないとか、女性記者が失踪事件に執着する理由など)。
村人が山に骨壺を捨てるのも意味不明で、死んだ身内の存在を消したい理由が分からない。あの建物に辿り着く条件もよく分からないし(なぜ子供の頃の主人公は簡単に辿り着けたのか?)、肝心の弟の失踪の謎も事故なのか何なのかはっきりしないまま。すべての謎に係わる「山」についての説明が不足し過ぎているため、連鎖的に他の謎も曖昧な事になっている。
もう少し登場人物の過去や関係性を描き、山や村に纏わる因習など、いくつかの伏線を分かりやすく回収してくれたら印象も違ったはず。惜しい。
コメントする