「日本のホラー映画として完成度は高いが、設定や脚本に爪の甘さを感じる惜しい作品。」ミッシング・チャイルド・ビデオテープ Tonyさんの映画レビュー(感想・評価)
日本のホラー映画として完成度は高いが、設定や脚本に爪の甘さを感じる惜しい作品。
ストーリーはなかなか引き込む展開で、全体的な撮り方や映像のクオリティは完成度が高い。
それ故に所々つじつまの合わない点や、キャラ設定の甘さがリアリティーのなさを感じさせてしまい、惜しいという感想。
主人公ケイタは演技力もあり一貫した人格を感じられたが、
同居人ツカサに関しては同居人という親しい間柄にも関わらず、突如訪れた怪しい記者にケイタの事をべらべら話したり、実家に俺も一緒に行くよと自分から言ったのに山に行くのは嫌々だったりと、キーパーソンとしての役割が曖昧だった。
勝手にケイタの実家に上がりこんだり(鍵はどうしたのかとか)
ケイタの母親の遺体を見つけたのになぜかケイタよりミコトにいち早く伝えるデリカシーの無さ、だったりと、
雑なフィクションらしさを所々感じさせられた。
またツカサと好奇心旺盛な女記者という定番的な登場人物ミコトとの絡みは、特に意味のないやりとりがもたつきを生み、ラストにかけてのテンポが悪く感じた。
まず言わないだろうという台詞が多いという日本の映画っぽさが際立ち、普通は言わない様な台詞が入ってくると、なぜか監督のナルシズムが垣間見えてしまう。
ツカサ役のようなミステリアス系キーパーソンはこういう美形モデル俳優より、もう少し癖のある顔立ちの方が良い。彼はトレンチコートなんか着ないでヨレヨレのロンTにコンバース、といった私服の方が良かった。演技力も少し弱く、爪の甘さが反映されている気がした。ヘアスタイルも謎でダサい系なのか真面目系なのか、何を目指してるのか分からなかった。
映像の撮影技術や、ビデオテープ映像の撮り方、
ジャンプスケアがなかった点については素晴らしかったので、
ただ惜しい、という感想。