ミッシング・チャイルド・ビデオテープのレビュー・感想・評価
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シャンプーしてる時、うしろに誰かがいそうな感じ
ホラー映画はあまり観ないのだけど、どうにも気になって。
ジャンプスケア(初めて知った言葉)やグロい描写はないけど終始、うっすらノイズの混じったような不穏な空気が漂う、なんだかずっと何かがいそうなジワジワとイヤな雰囲気。
急な母より、民宿息子の強めに低音きかした「神様」がイヤだった、やめてビビる。
ビデオテープ繋がりで昔、パンパンの新宿コマ東宝で観た『リング/らせん』のような、すごく怖いわけではないけど、観てる間なんか脇が閉まっちゃう、みたいな映画。連鎖という点も似てるかな。
ちょっと切なくも思えるような結末で、意外にも嫌いじゃなかった。
日本のホラー映画として完成度は高いが、設定や脚本に爪の甘さを感じる惜しい作品。
ストーリーはなかなか引き込む展開で、全体的な撮り方や映像のクオリティは完成度が高い。
それ故に所々つじつまの合わない点や、キャラ設定の甘さがリアリティーのなさを感じさせてしまい、惜しいという感想。
主人公ケイタは演技力もあり一貫した人格を感じられたが、
同居人ツカサに関しては同居人という親しい間柄にも関わらず、突如訪れた怪しい記者にケイタの事をべらべら話したり、実家に俺も一緒に行くよと自分から言ったのに山に行くのは嫌々だったりと、キーパーソンとしての役割が曖昧だった。
勝手にケイタの実家に上がりこんだり(鍵はどうしたのかとか)
ケイタの母親の遺体を見つけたのになぜかケイタよりミコトにいち早く伝えるデリカシーの無さ、だったりと、
雑なフィクションらしさを所々感じさせられた。
またツカサと好奇心旺盛な女記者という定番的な登場人物ミコトとの絡みは、特に意味のないやりとりがもたつきを生み、ラストにかけてのテンポが悪く感じた。
まず言わないだろうという台詞が多いという日本の映画っぽさが際立ち、普通は言わない様な台詞が入ってくると、なぜか監督のナルシズムが垣間見えてしまう。
ツカサ役のようなミステリアス系キーパーソンはこういう美形モデル俳優より、もう少し癖のある顔立ちの方が良い。彼はトレンチコートなんか着ないでヨレヨレのロンTにコンバース、といった私服の方が良かった。演技力も少し弱く、爪の甘さが反映されている気がした。ヘアスタイルも謎でダサい系なのか真面目系なのか、何を目指してるのか分からなかった。
映像の撮影技術や、ビデオテープ映像の撮り方、
ジャンプスケアがなかった点については素晴らしかったので、
ただ惜しい、という感想。
異世界?神隠し?
謎の原因から表出までの距離が短い?
2024年ベスト・ホラームービー!⭐️⭐️⭐️✨✨
なにか不穏で得体の知れないものに対する漠然とした“怖れ”というものが映像や演じる俳優さんからボヤッと観ている側の周囲に漂い続けていました。今まで見たことのない新しいホラーの秀作だと思います。この監督さんの新作をぜひまたお願いします。
昨年11月「ザ・チャイルド」で初めてお目にかかる
とても良かった
ホラーテイストながらもファンタジーとも言える作品
弟が行方不明になったことをずっと引きずる主人公 敬太(杉田雷麟)
敬太の同居人で霊感がある司(平井亜門)
敬太を取材したくて司と接触する記者の美琴(森田想)
と、基本この3人が動かしていく作品です。
ある山で行方不明事件を始め、様々な事件が発生しており、
共通するのが地図にも載っていない廃墟(施設のような)に迷い込むことが
どうもキーらしい。
その描かれ方を自分なりに読み解くと、異世界(あるいは霊界的な異次元の世界)と
現世界の接点ができている山で、その世界を巡っての怪奇現象なのだろうということです。
異世界の住人が霊的なものとして現れたりする、そういうことかなと考えました。
だから、ファンタジーとも言えるかなと。
ホラー的な表現としてビビったのは、敬太のお母さんの霊的な存在が
敬太の前に現れるシーンですね。ここは怖かったなぁ。びっくりしました。
ビジュアルはちょっとやな感じで留めておいてもらってよかったです(笑)
これが醜悪なビジュアルだとトラウマになりますからね。リングみたいに。
それにしても全般にわたって不穏な空気感を纏っていたり、
ビジュアルも暗かったりで、
落ち着いて観れる映画ではないので、ここは制作者の意図通り受け取りました。
ホラーっぽいハッピーではない終わり方ですが、
それはそれでなるほど・・・と思いました。
まあ細かいことですが、敬太と司って何で同居していたのでしょうね。
謎だなあと。
近藤監督は今後の活躍も楽しみですね。
パンフレットは文庫サイズで小説っぽいつくりです。
じっくり拝読します。
奇抜な設定と、ジャンプスケアに頼らない恐怖演出が光る
ホラージャンル・フィルムコンペティション「第2回日本ホラー映画大賞」にて大賞を受賞した、近藤亮太監督の同名短編映画を長編映画化。総合プロデューサーにはJホラーの重鎮・清水崇。
山で遭難者の捜索を行うボランティアの青年・敬太(杉田雷麟)は、霊感を持つ青年・司(平井亜門)と同居生活を送っている。ある日、敬太は実家の母から送られてきた荷物の中に、13年前の弟・日向の失踪事件にまつわる、一本のビデオテープを発見する。司と共に映像を確認すると、そこには幼い自分と日向が、摩白山にて“謎の廃墟”を訪れた際の映像が収められていた。
司は、敬太にテープを処分してこれ以上深入りしないように助言するが、敬太は自身の過去に向き合うべく動き出す。そんな中、先日敬太が助けた遭難者の件を取材しようと、新聞記者の美琴(森田想)が司を訪ねてくる。
やがて、美琴は上司である塚本(藤井隆)から、摩白山に関する過去の取材資料を渡される。その中には、かつて摩白山で行方不明となった大学生グループの遺留品のカセットテープもあった。
時を同じくして、摩白山付近の民宿に宿泊していた敬太は、民宿の息子から摩白山に関する言い伝えを聞く。
「あそこは、皆が神様を捨てる場所だ」とーー。
全編に漂う静かで不気味な雰囲気。自主制作映画のような手作り感を感じる作風は好みが分かれそうだが、ジャンプスケアに頼らず、あくまで“何かありそう”という雰囲気で恐怖を構築していく様子には好感が持てる。
最初は何なのか分からないまま提示された要素(登場人物の素性や事件の真相等)が、次第に判明していき、物語の輪郭が現れていく様子も、拙いながらも凝った構成にしようという努力が感じられる。しかし、「分からない」という要素を先に提示する以上は、観客にそれ自体に対するストレスを与えず、上手く物語を追わせるだけの高い技術が求められるので、安易に手を出すには危険な要素なのだと確認させられた。
それには、登場人物の魅力が何よりも重要になってくるのだが、残念ながら主人公の敬太に、そういった惹きつける要素が感じられなかった。冒頭でボランティア活動によって幼い遭難者を発見するという善行を見せるのは良いが、自宅に帰宅してからの司とのやり取り等に素人臭さが出てしまっており、「演じている」感が伝わってきてしまったのが、彼と距離が出来る原因となってしまったように思う。
霊感持ちの司は、それ自体が物語上必要不可欠な要素のため、敬太より魅力的に映った。見えないものが見える事について、はじめは美琴に「怖くない」と語っていたが、クライマックスでは「一度でも怖くないなんて感じた事はない」と、本音を暴露する姿もベタだが人間的。しかし、司は初めて敬太と出会った時から、彼のそばに居る日向の姿が見えていたのなら、山に向かわせない為にももっと幾らでも言うタイミングあっただろと言わざるを得ない。それが、ラストで自身がビデオテープ内の映像世界(=謎の廃墟と同じく、存在しない世界に囚われたという事だろうか?)に囚われてしまう結果に繋がるのだから。
元々、短編作品だったものを長編作品にした影響か、短編映画的な全容の掴めない理不尽さがラストまで繋がる本作の“怖さ”なのだろうが、長編映画にする以上は、クライマックスの展開にはもう少し捻りの効いたテンタメ性のある展開が欲しかった。廃墟内で敬太が日向の姿を借りた亡霊(神様?)に向けて「ごめんなさい」と言った事、敬太の実家で司に「両親は俺が日向を殺したと思っている」と語った事から、てっきり敬太は日向を突き落として殺害していたのだと思ったのだが、どうも違う様子(ただし、日向の死体がうつ伏せで倒れており、頭部から出血した様子の血溜まりもあったので、本当はそうなのかもしれないが)だ。神を捨てる山に、自分は知らずに弟を捨ててしまった。そして、今度はその真実を知ってしまった司を…といった具合の後味の悪さを強調する作りにしても良かったと思うのだが。
また、暗闇で腕を掴まれた美琴が「放して」と言葉を振り絞った途端、本当に手を放してしまうのはどうなのだろうか?随分物分かりの良い霊だなと思う。
ラストで摩白山を訪れた民宿の息子の失踪。ビデオカメラの映像に収められる敬太と、更なる神隠しを予想される不穏さは嫌いではないのだが、演出の平凡さからか、思わずポカンとしてしまった。
「人々が神様を捨てる山」という奇抜な設定、ジャンプスケアに頼らない恐怖演出と、随所に光る部分もあるが、同時に様々な粗も目立つ作品。とはいえ、監督にとっては本作が長編デビュー作。今後更なる研鑽を積んで、Jホラーの未来を担う人物になる事を期待したい。
気持ちよく怖いタイプの映画じゃない
2025年劇場鑑賞53本目。
エンドロール後映像無し。
予告を見る限りめちゃくちゃ面白いか、めちゃくちゃつまらないかのどっちかだなと思ったのですが、自分には残念ながら後者でした。
まぁとにかく静かな映画です。ポップコーンめっちゃ目立つので食べないのをお勧めします。急に大きな音で驚かせるジャンプスケアと呼ばれる手法を1回も使わないのは評価できます。あんなの誰でも生理的に驚きますからね。じゃなんか怖いかといえば人が死ぬわけじゃなく消えるだけなのでいまいち怖さが伝わってこなかったです。中盤で民宿の青年が祖母の話をするところだけ、話の内容としてはめちゃくちゃ怖いんですけど、映像化するべきところも想像で補うしかなく、書籍ならそれは非常に成功しているのですが、映画という作品で観客の想像に任せるのはさすがに怠惰かなと思いました。
これぞJホラー。「和」の怖れ
テレビ放送で大きな話題を呼んだホラー作品「イシナガキクエを探しています」「飯沼一家に謝罪します」等に参加したクリエイター・近藤亮太氏の初長編映画作品である。
目の前で弟が失踪したという過去を持つ敬太は、霊感を持つ友人・司と2人で暮らしていた。ある日敬太の母親から、幼い頃敬太が撮影した、弟・日向が失踪する瞬間を映したビデオテープが送られてくる。敬太を記事のネタの為追いかけていた新聞記者の美琴も加わり、一同は失踪事件の真相を探っていくが…。
この映画の謳い文句には「怖いJホラーに正統継承者現る」とある。なかなか挑戦的な文章であるがそれに違わず、王道まっしぐらな紛れもない「Jホラー」であった。
近年のJホラー映画は、終盤幽霊と戦う、ジャンプスケアの乱発、途中に挟まる不要な恋愛要素など、「リング」「呪怨」といった名作揃いの20数年前から随分変わってしまった。これはこれで、という作品もあるにはあるものの、何か違うな…という感覚が多かったのだ。そんな中この作品は、戦いはなく、恋愛要素もなく、ジャンプスケアも控えめでジワジワと怖がらせてくる。まさに「あの頃のJホラー」を継承したような作風である。こういうホラー映画を私は待っていたのだ。
具体的な評価点を挙げていくと、まず真っ先に思い出すのは「古いものの怖さ」を十二分に生かした演出である。
近藤監督がスタッフとして参加していた先述の「イシナガキクエ」「飯沼一家」は、数十年前くらいの古いビデオの画質や音の粗さ等の演出が天才的に巧みだった。モキュメンタリーホラーという作風もあり、作中の映像が実在しているのではないか?とすら思うようなクオリティなのだ。
古いビデオ等に時折走る、映像や音の乱れ。それらには独特の、恐怖や不安を煽る存在感がある。本作のキーアイテムにも「ビデオテープ」と「カセットテープ」があり、近藤監督の「古いものを作り上げる」手腕が惜しげもなく活かされている。それらが使われるシーンも相まって、ゾワッとする恐怖を感じずには居られなかった。
怪異の姿をほぼ映さない演出も良い。ほぼ明かされないバックボーンもあり、日本特有の「見えないもの」を妖怪、あるいは神性として怖れる感覚を映画として表現しているかのようだ。
私が一番気に入ったのは、宿の息子が「山」について語るシーン。ズーム以外はほぼ全くカメラが動かない中、怯えながら恐ろしい話を語る役者の演技が光る。
怖くなるまでの長さ、殆ど怖くない前半、終盤の電話の演出に感じてしまったチープさ、思ったよりも綺麗に見えてしまう廃墟の撮り方…など、粗も少々見受けられるものの、紛れもなく良質なJホラーであった。近藤監督はまだ新人、これからもどんどん経験を積んで良い映画を撮っていって欲しい。この先が楽しみだ。
オカルト、都市伝説好きに是非
まずはとても面白かった。
話は過去に行方不明になった弟を探すという本筋に色んな要素が絡まって真相に近づいていくのだが、とにかく常に暗い雰囲気で進行する。
また登場人物もスッキリした人がほぼ居ない、とにかく暗く全く明るさを感じない。
ただ、ジャンプスケアをほぼ使わずに少しずつ怖さが増していく展開は素晴らしいし徐々に明らかになる真相も地域信仰的なのも相まって面白い。
ただホラーとしては人を選ぶかなと思う、もっと激しい恐怖演出を求める人には向かない作品。
悪い意味でホラーらしく真相が全て解明されてスッキリ終わる展開にはならないもののオカルト、都市伝説が好きな人には是非観てもらいたい作品。
細かいところで音響も大切なのでまだ上映してる地域なら是非劇場で。
恐怖表現を使わない恐怖
未知の恐怖を感じる力作
面白かった。 失踪、秘境、都市伝説 日本ホラーとして本格的なやつで...
なんでVHSのノイズってあんなに怖いんだろうね。
ビデオテープ再生時のノイズや終わった後の青い画面といい、あれも時代と共に配信世代にはわからない怖さになってくのかな。
いっそ全部モキュメンタリー風にビデオ撮影で映画を作成にしたらもっと怖かったのでは。(観てる人の目がチカチカして死ぬだろうけど)
ギャーと驚く怖いシーンはないが、BGMともSEともつかないノイズが通奏低音にあってじわじわずっと怖い。ホラー好きにはお馴染みの角川ホラー文庫オマージュなパンフも良い。あとがきでも怖がらせてくるサービス精神満載である。
主人公敬太と同居人司の関係や出会いは明示されないんだけど、雰囲気からひょっとしてそういうことなのかな…と思ったらパンフ読んだらその通りだった。話の主軸と関係ないので深堀りはされないけど。どう出会って一緒に暮らすことになったのか気になる。「Cloud」と同じく界隈の一部女子に刺さりそうだ。
1点気になったのは、スーパーで迷子になった子供を母親が見つけて抱きしめるシーン、「あんたどこ行ってたの!💢」って心配あまって怒るのが普通じゃないか?
悪いことをしていないのに理不尽な目に遭うというのはホラーの定番なんだが、わかりやすく怪我したり襲われたり殺されたりしないラストがまた怖い。
怪談の特異点を目撃してほしい
期待との落差が激しい
怖くないのが致命的
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