「悲しみの連鎖を断ち切るための勇気‼️」ふたりで終わらせる IT ENDS WITH US 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
悲しみの連鎖を断ち切るための勇気‼️
印象に残る映画でした。
美しい映像と背景に流れる心地良い音楽、
そして美しいブレイク・ライブリー。
砂糖菓子のようにお砂糖でコーティングされているのですが、
問いかけるテーマは重く現代的です。
例えば、ロマンティックな女の子の夢を叶える要素。
主人公のリリー・ブルーム(ライブリー)は、
女の子の憧れる職業の一つである。
★お花やさんのオーナー。
そして、結婚相手は、
★高級マンションの高層階に住む
★ペントハウスの住人、でしかも
★リッチな脳神経外科医。
★しかも、セクシー、
しかしリリーは夫のライル(監督兼主演したジャスティン・バルドーニ)
から暴力を振るわれるのです。
この映画は、主人公が過去のトラウマ、そして
現在の配偶者からの暴力を乗り越えて、
新しい生き方を見つける《強い女性》として成長する物語。
私はリリーの母親の生き方と言葉が突き刺さりました。
母親も夫(メイン州の小さなまちの市長をしていたお金も地位も
権力も持つ男性だった)
母親もまた、夫から殴られる生活を続けていた。
母親はリリーから、“どうして離婚しなかったの?“と聞かれ、
“離婚する方が大変だった“
“彼を愛していた“
こう答えます。
リリーもまた、ライルを“愛していた“のです。
暴力の痛みは肉体だけでなく、
精神の痛みを伴うのです。
そしてプライドが傷つく‼️
“夫から暴力を受けてそれに甘んじている情けない自分“
それは知的で自活するな女性には受け入れ難いでしょう。
《リリーのトラウマとなった事例》
①母親への父親の暴力を見て、何も出来なかった自分。
②ハイスクールの時に恋人だったアトラスのこと、
アトラスもまた、暴力を振るう男とばかり付き合う母親の愛人から
虐待を受けて、バラック小屋にホームレス同然で、生きていた。
③父親はアトラスと交際する娘を見て逆上して、半殺しにする。
…………血だらけで救急車に乗るアトラスが痛々しい…………
★母親への暴力そしてアトラスへの暴力のトラウマから、
父親の葬儀の弔辞で、
【父親を好きな事】が、一言もいえずに、退場する・・・リリー。
ファースト・シーンの意味が、徐々に分かる脚本は上手いと思います。
そして《暴力を振るう夫ライル》のトラウマ。
リリーとライルが初めて出会うライルの住むマンションの屋上の会話、
そこでライルは既に自分のこととは言わずに、
過去を告白しているのです。
6歳の弟が兄のエマーソンを拳銃で撃ち殺した。
その弟がライルで、
“その子は一生涯、後悔するだろうな“
と、呟いている。
ライルも哀しい十字架を背負った男です。
そしてラストのリリーがライルに問いかけた言葉、
もしエミー(2人の生まれたばかりの娘・・・エマーソン)が、
大きくなってボーイフレンドから暴力を受けたら、あなたはなんと答える?
“すぐに別れろ‼️“
“2度と会うな‼️”
そう答えたライルは、リリーの離婚の提案を受け入れるしかなかった。
♣︎♣︎♣︎
アメリカは家庭に中で自宅に銃を所有しているのは45%以上で、
銃の事故の半数は自宅で起こり、子供がその殆どの被害者である、
との統計があります。
★★☆
日本でも女性の4人に1人、男性の5人に1人は、配偶者からの暴力を
受けたことがある。
コリーン・フーヴァーの原作は1000万部のベストセラー。
夫からのDVも銃の事故もそれだけ身近に感じられる
タイムリーな映画で、だから大ヒットしたのでしょう。