「運命の出会い」ふたりで終わらせる IT ENDS WITH US サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
運命の出会い
正直、逃してもいいかなぁとギリギリまで迷ってたんだけど...これは予想外。べらぼうにいい映画だった。全世界で発行部数1000万部と大ベストセラーの恋愛小説というだけあって、物語の深みやらメッセージ性やら何から何まですっげぇ濃くて、完全に油断していたもんだから驚くほど食らってしまった。
ラスト30分は衝撃の連続。ラブストーリーだというのに筋書き通りには行かない2転3転する展開で、心臓バックバク。そしてタイトルの意味が回収された時に全身が震える。うわぁ、やべぇなこれ。ネタバレ厳禁映画だったのかよ...。
ブレイク・ライブリー、実は今回がお初にお目にかかりますだったんだけど、こんなにも演技派の女優さんだとは知らなかった。ライアン・レイノルズの奥さんのイメージが強かったけど、今回で完全に払拭。単に自分が知らないだけかもしれないけど、本作は彼女の代表作になること間違いなし。
シンプルに作品の出来がピカイチにいいし、ブレイク・ライブリーの人間味溢れる演技が役とすごくマッチしていて見た人の心にすごく残る。なんでこんなに等身大の女性の演技が上手いんだろう。リアルすぎてグサグサ刺さっちゃう。これ、女の人が見たらヤバいだろうなぁ...。
展開がものすごく秀逸。観客を飽きさせず、騙し続ける。主人公・リリー目線で描かれる物語だからこそ、見た後にグッとのしかかる強いメッセージが。ネタバレになるからあんまり深いことは言えないけど、いくら覚悟していても上手いこと監督の手のひらの上で転がされてしまう。不穏な空気を漂いながらも至って普通のラブストーリーを突き進んでいき、ふとした瞬間に...。小説となると前半部分も結構丁寧に描いているんだろうけど、映画である本作はかなりサクサク進み、おかげで退屈を感じることなく楽しめる。恋愛映画でスピーディって、一見良くなさそうだけどこの映画は違うんだよねぇ。
話の誘導がホントに上手で無理が一切ない。自然な形で持っていくから共感度も高く、感動も呼びやすい。登場人物の描き方も主人公含め全員すごく丁寧で、見ている間に色々と考えを膨らませることが出来る。こういう人がいるせいで、いるおかげで。
リリーが花屋の開業準備を行っている最中に店にやってきたアリッサ。彼女の存在がリリーにとってあまりにも大きい。どのタイミングでどのような人と出会うか。それだけで人生は大きく別れてしまう。運命の出会いって本当にあるんだよな。
あまりに深くてビターなラブストーリーだったもんだから、ビックリしてラスト20分は口を開けて画面を見つめていた。いやぁいい映画だった。洋画の恋愛ものでこんなにいい映画が見れるとは思わなかった。ほとんどの映画館で終わっちゃったけど、配信来たらぜひ見てほしい。結構心グチャグチャになっちゃうけど...。