嗤う蟲のレビュー・感想・評価
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ミステリーというよりもホラー
ヴィレッジ・スリラーというよりはヴィレッジ・ホラー。
個人的にはそんな感じです。
ホラーというからにはなにかの〝呪い〟があるはず。
では、この映画の場合の呪いの端緒とはいったいなにか?
それは〝守ること〟から始まった。
そもそも何を守るのか。
何のためにそれを守るのか。
誰のために守っているのか。
よくありがちですが、結局のところ、◯◯は俺たちが守っているのだ、と自負する人たちの利益を守るための行為になってしまう。そしてズルズルと利害の感覚が極めて閉鎖的なものになっていく。
当初は狭い地域とはいえ、公的な使命感に支えられていたはずなのに手段が目的化し、それが自分たちを縛る(他者の介在を許さない)呪いとなってしまう。
典型的な呪いのパターンではあるけれど、やはり怖い。
躾のためである、という使命感(そもそも大きな勘違いなのだが)が〝虐待〟に繋がる事例は後を絶たない。
こどもがいい学校に入るためなのだ、という思い込みが正しいことだと勘違いして、学ぶことの楽しみよりも同級生に成績で勝つことばかりに執着し、いつしかこどもの心的苦痛への配慮がなくなってしまう教育熱心な親たち。
ホラーというのは、なにかの歪んだ思い込みが、自分や周囲の人たちへの呪いとなって跳ね返ってくることを思い出させてくれる世の中に必要不可欠な物語なのだとつくづく思う。
村八分の怖さ
期待度○鑑賞後の満足度△ 令和版「村八分」…“ありがっさま”…でも映画としてはありがたくない…
地方移住の良さを描いた「サンセット・サンライズ」を見て、ちょうど対...
これは評価が難しいか…。
今年30本目(合計1,572本目/今月(2025年1月度)30本目)。
今週(1月4週)はホラー映画が大集結という変わった週ですね…。
そのうえでこの作品ですが、いわゆる「田舎移住」、あるいは「農業体験」あるいは「農地の有効適用」等と絡めた軽いホラーなのかな…と思いきや、とんでもないところに飛ぶのが???で、まぁちょっとどうだろう…という気がします。ただ、日本映画であり、ホラー映画の扱いとしても背景にある「田舎移住」「田舎の不便さからくるなれ合い」というような部分については触れられていて、単純にネタ扱いできないのもこれまた難しいところ。
決して駄作ではないのかなと思うし、90分ほどでさくっと見たい方がいらっしゃる層がある点は理解するものの、この作品はちょっと合わなかったかなという印象です。ただ、私がそうであるだけであり、1月4週は前述の通りホラー映画大集結状態なのであれこれ見てこれが良い悪いという観比べてをするのも良いのかなというったところです。
一応、途中で愛知県警のパトカーがきますが、特に「どこか特定の地域」が想定されているようではないようです(実際、どこかの市町村がエンディングロールでクレジットされているわけではない)。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/この映画の後半から登場する「ある植物」について)
この「植物」を農業用としても植えようとする場合、厚労省から免許を取る必要があります(免許を持っている方が病気だとか出張するという理由だけで無免許者が代わりにできるわけではありません)。 ※ 同取締法
(減点0.2/心裡留保の第三者対抗要件)
心裡留保は善意の第三者に対抗できません(相手方には善意無過失まで要求)
(減点0.2/94条の類推適用論に関する考察が足りない)
通謀虚偽表示ですが、明確な通謀行為がなくても、この通謀虚偽表示による相手方の保護というのは「外観法理」という考え方があります。つまり、
1.何らかの理由により、実際と異なる「見かけ」が作出された
2.その「見かけの作出」に当事者がかかわっており責任がある
3.第三者がその「見かけの作出によってできたもの」を信じたことについて、事情を知らず、過失がないこと(=善意無過失であること)
…という条件を満たすなら、94条による明確な通謀虚偽表示がなくても94条の精神の外観法理によって94条の趣旨が類推適用されるケースがあります(いわゆる94条類推適用論)。映画内でこのことが問題になるケースが、上記の「ある植物」の話から結構登場するので、法律系資格持ちは何を言いたいかわからず理解が詰むことになります。
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ヒトコワ
13本目。
今週は短めの作品を観ようかとだけど、若葉達也inハウスは、去年もこんな作品あった様な。
観てないから、分かんないけど。
閉鎖的な田舎で、あっち系?ビビるかなと思ってたら、不気味な感じで、的外れ。
いや正直、ホッとしたけど、
ヒトコワ系なのかな。
大麻まで出てきて、オイオイとは思ったけど、それはそこに繋げるためなのか、まあいいけど。
明らかに仕組まれた感じ、不気味な村民。
不安になる女性、大して気にしない男性と、その辺は鉄板だけど、いつ引っ越そうと言うかと思ってたけど、まあ辛抱強い。
でもこの展開、好きではないから、最後スッキリさせてくれなければの思い。
そこは、まあ解消してくれたので、それなりにスッキリと言った所。
ヴィレッジ狂宴スリラー
造花にひいた。
郷に入っては郷に従え
城定秀夫(監督、脚本)×内藤瑛亮(脚本)、そしてキャストについても好みの座組ということで鑑賞を決め、久しぶりに渋谷へ遠征です。ヒューマントラストシネマ渋谷、11時45分の回は思いのほか寂しい客入り。
憧れだった「#田舎暮らし」を始めた輝道(若葉竜也)と杏奈(深川麻衣)。引っ越して早々に遭う隣人、三橋夫妻(松浦祐也&片岡礼子)の様子はどこかおかしな雰囲気。そしてまた、挨拶回りに出ると空き家が多かったりと少々不安になりかけますが、村の中心人物である田久保(田口トモロヲ)に会ってようやく村の新しい住人と認められる二人。自治会や祭りに積極的に参加するなど、コミュニティに溶け込む努力をしていきますが、ちょいちょい村民たちから食らわされる「思わず唖然とする言動」や「度を越した詮索」に戸惑うことも。それでも「郷に入っては郷に従え」。徐々に信頼を重ね、ようやく田舎暮らしも軌道に乗るかと思いきや、、、
外と「一本の橋」でしか繋がらない閉鎖的な山間の村を舞台に、田舎ならではの「絶対的な権力構造」「その田舎だけの独自ルール」「詮索好きで、すぐに噂が広まる」などのネガティブ要素を極度にデフォルメさせ、さらには一歩間違えたら即ディストピアという環境。村民を演じるのは田口さんを筆頭に癖が強めな方が揃っていて、輪をかけて怪しく仕上がっています。
そんな村民たちに翻弄されつつも、絶対に自分を信じることを諦めない杏奈役の深川麻衣さん。私、この方のアイドル時代は全く存じ上げませんが、俳優転身後はコンスタントに映画に出演されていて、しかも主要キャストを演じられることが多い印象。最近の作品は追いつけていませんでしたが、今作の「壊れていく杏奈」の雰囲気はとても印象に残りました。
テーマや設定は、城定さん・内藤さんそれぞれの過去作『ビリーバーズ』、『ミスミソウ』などにも通じていますが、物語の展開にみるアイディアは斬新さもあり、特に終盤に起こる騒ぎからの作品の終わり方は「巧い」の一言に尽きます。とは言え、怖さや派手さは少々弱く、劇場鑑賞必至かと問われれば「否」かな。。悪くはないのですが、もう少しパンチが欲しかった印象です。惜しい。
ホラーとは違う怖さ
予算過多な『LIFE!』
理想の田舎暮らしを求めて地方の村に移住した若い夫婦。ところがその村にはとんでもない秘密が…という、『ウィッカーマン』や『ミッドサマー』を思わせる田舎土着ホラー…というかハッキリ言うとコメディ。
とにかく動作やセリフの間とかが、NHK『LIFE!』で時々あるブラックコントに近いテイスト。予算をかけて撮った『LIFE!』とでも言おうか(といっても『LIFE!』はセットにかかる費用等を鑑みると、バラエティの中でも製作費はかなり高い方)。なんといっても、村の自治会長役の田口トモロヲのやりすぎ演技。近年では見られなくなった若い頃のトンガリぶりを思い出させたものの、本作では悪い意味でノイズに。制作陣はあれでも演技を抑えさせたらしいが、もっと制御すべき。
中盤以降からの、夫婦に対する村民達の冷ややかなリアクションなども杓子定規演技ばかりだったが、芸人の中山功太は俳優業でも十分イケる雰囲気を醸し出していた。もっとも、そういうキャスティングも含めて全体的にコントっぽいんだが…
『LIFE!』のキャストやスタッフでリメイクしたバージョンも観てみたい気がする。そっちの方が面白かったりして。
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