海の沈黙のレビュー・感想・評価
全5件を表示
美とは?芸術とはなんなのか?
「美とは何か」「芸術とは何か」
この作品なりにQ&Aを出している。
映像美やその場の魅せ方、BGMにはかなりのこだわりを感じた。
少し盛りすぎた設定や、本筋に持っていくための流れの強引さは多少見受けられたものの、サスペンスや推理物が本題ではないのでひとまず目を瞑る。
一人の男の美への探究心が周囲を巻き込み、ときに死へも至らしめる様は毒花のようである。
終盤の本木氏の鬼気迫る演技は、これこれ!これが見たかった!内面と葛藤の表現が素晴らしい。
また3人の女性が出てくるが、描き尽くしたキャンパス、描き損ねたキャンパス、真新しいキャンパス、を表現しているのかなと感じた。
興奮冷めぬまま、普段レビューを書かない人間が書いたので色々とご容赦ください。
私にはめちゃくちゃこの作品は刺さった!
モッくんとキョンキョンの円熟の演技は感慨深いのだが・・・
贋作事件と美術館長の入水自殺、そして唐突に描かれる全身入墨の女の、これまた入水自殺。そして、ようやくと画面に現れる本木雅弘と、序盤のミステリアスな展開には、それなりに引き込まれる。
ただ、2つの事件を結ぶミステリーなのかと思っていると、贋作画家と入墨の彫師が同一人物だったというだけで、「謎解き」としては肩透かしを食う。
石坂浩二演じる大物画家は、自分の出世のために、本木雅弘演じる天才画家を陥れたらしいのだが、師匠の絵に上塗りする形で自分の絵を書いたり、師匠の娘に入墨を彫ろうとしたりと、本木雅弘の素行の悪さばかりが明らかになって、石坂浩二が「悪い奴」に思えないところも気になってしまう。
仮に、日本の画壇から追放されたのだとしても、ヨーロッパで修行(模写)を続けていたのだから、そこで自分の才能を発揮させることは可能だっただろうし、どうして彼が贋作画家に転落して行ったのかもよく分からない。
そもそも、油絵の画家と入墨の彫師が同一人物という設定にも違和感があり、全身入墨の女や入墨を入れたがっている若い女など、「入墨」に関するエピソードは、そっくりそのまま無くても良かったのではないかと思えてならない。
ラブストーリーとしても、小泉今日子演じる大物画家の妻は、失踪した本木雅弘を心の奥底で思い続けていたらしいのだが、その割には、あっさりと再会を果たしてしまうし、しかも、それで恋愛が再燃する訳でもなく、淡々と言葉を交わすだけなのは、物足りないとしか言いようがない。
結局、言いたいことは、ラストの、本木雅弘の「遺言」と思われるモノローグで全部説明されるのだが、「権威に左右されない本物の美の追求」というテーマが胸に響かないのは、やはり、登場人物たちの人生の歩みや重みが、今一つ実感できないからだろう。
芸術というより贋作(?)寄り‼️
本木雅弘は孤高の天才贋作家と言う難役を、
嘘臭くなく、ひたむきに演じていて、改めて凄いです。
中井貴一さんの高山竜次(本木)を生涯支える
フィクサーのスイケン。
板前だったり、BARのマスターだったり、執事だったり、
2人は本当に格好良くて、渋くて品があり、
オマケに胡散臭い。
2人を見るだけでも料金分の価値はありました。
小泉今日子より何故か清水美沙の全身タトゥーが強烈で
ちょっと小泉今日子が食われてましたね。
【否定的な設定】
天才画家で彫り師?
そんなことってあり得ますかね?
確かに映像的にはアザミ(菅野惠)のヌードーンは、
高齢者の多い俳優陣の中ではフレッシュで良かったのですが、
ややお色気要員的でしたね。
【何故、津村竜次は、贋作に手を染めたか?】
インターポールから国際手配されるような、海外を股にかけた犯罪に、
手を染めた理由?
それも《ゴッホやゴーギャンの贋作⁉️》
相当な贋作シンジケートとの関わりとか描かないと、
荒唐無稽で、リアリティが全くありません。
【恋愛映画の側面】
洋画家の重鎮・田村画伯(石坂浩二)の妻の杏奈(小泉今日子)との
過去の恋愛沙汰・・・
これも描かなさ過ぎで、何のこっちゃ‼️です。
田村が杏奈を描いた肖像画を塗りつぶして、
自分の絵(海の沈黙)を書いてしまう。
津村は人間的に常識がなさ過ぎる。
社会性ゼロ。
これでは幾ら天才でも誰も味方にならないです
【倉本聰さんが、結局この映画で伝えたかったこととは?
何だったのでしょう!】
構想60年。
今までに書かれた素晴らしい名作の数々
それでも辿り着けなかった頂き、
もっともっと突き詰めたかった創作意欲・・・でしょうか?
津村竜次と言う破天荒な男の
生き様は、くっきりと見えました。
色々と不満はありますが、
実際に津村の絵を全作品書かれた高田啓介さんの
荒削りな海の絵画。
これは胸を打つものがありました。
(有名でなくても、心を打つ絵画)
【本物とは何か?】
津村の生き様と繋がりますね。
出せた紅色。
ある事を機に人前から姿を消した画家・津山竜次の話。
世界的画家・田村修三の絵が飾られる東京美術館でのオープンセレモニー、文部科学大臣も顔を出すなか、過去に描いた自分の1枚の絵に違和感を感じ「これは贋作」だと事件は起こる。
贋作作品の出所は?から始まり辿れば某美術館、美術館館長の自殺、BARで飲む全身刺青女・牡丹の死に謎めいては作品に引き込まれてくけれど。
その死の事件解決の雰囲気よりも、贋作は描いたのは誰と見せストーリーは進むけど、津山竜次を忘れられない女、田村修三の妻でもあり元カノ安奈と、津山の虜になってる牡丹と、BARで働くアザミの裸体キャンパスの基準は?何て思いながらも。
美、芸術という体での少しエロさも絡めながらも、過去の事故で見た炎の色に取り憑かれてる様にも見える津田竜次の描く姿はアートで。冒頭入りの世界観、雰囲気に少し苦手作品?何て思ったものの観始めれば世界観、雰囲気引き込まれ面白かった。
本木雅弘さん久しぶりに見たけどシブいね。
「美は美であって、それ以上でも、それ以下でもない」
大人のための静かな情熱の映画。
という印象でした。
以下、脱線しまくり、あくまでも超個人的かつ偏った乱文なため、あらかじめご了承ください。
(ちゃんとしたレビューをご覧になりたい方は、他の正統派レビュアー様をご参考なさることを推奨いたします!)
まずは内容はともかく、なにはともあれ、わたくしめ、モッくんこと本木雅弘さんの長年(小学生の頃から)不動のファンでして。
令和的に言えば “推し”。the昭和アラフィフの私にとって、選択肢は「観るでしょ!!」の一択でした。
暖かく快晴の本日、幸い早めに仕事も切り上げられ、晴れて初日鑑賞が叶いました。
金曜の昼下がり、観客席を見渡すと・・
私のような同世代モッくんファンであろう女性が多いと思いきや、ご高齢のお兄様お姉様率高めに驚き。そうか、原作者である倉本聰さん推しでいらっしゃるのね!と自分を納得させました。笑
そしてメインキャストは個人的にストライク!
モッくんだけでないよ、キョンキョン=小泉今日子さん、ビーバップ仲間徹=仲村トオルさん、湘爆のヒロインよし子=清水美砂さん、昭和ツッパリ万歳繋がり、そして不揃いの林檎たちな中井貴一さん。世代的に絶妙なエモい人選に萌えました感謝。
あらかじめのネタバレと申しますか、モッくん推しの方への(イライラしないために)心の準備情報と致しまして先に申しますと・・
モッくん、なっかなか登場しませーん!!!
昨年、2023年9月公開「BAD LANDS」W主役なはずの山田涼介くん登場の遅さっぷりを思い出し内心失笑。
14:20開始(予告15分弱あり)からほぼ丸1時間後の15:20頃、謎の天才画家津山竜次こと、本木雅弘様、ようやくご登場!!
(若松節朗監督っ!もったいぶり過ぎですってば!!)
ん?竜次?・・どこかで聞いたことある名前・・
あぁっ!ロバート秋山か!個人的にはロバートの秋山竜次さんぶり、芸人じゃない方、渋い男前の竜次かいな!!と内心また失笑。
(つい脱線、失礼いたしました)
上映時間は112分。
主役登場はまさかの後半からという・・サプラーイズ?
事実を受け入れ、心して気長に待ちましょう。
安心してください、出てきますよ!
粛々とした展開に引き込まれつつ、モッくん(竜次w)の存在を匂わせつつ出ず15分(まだ15分!?)、そろそろ出る?を内心繰り返し、集中半減、時計をチラチラ見てしまいました。
天才画伯竜次を“津山先生”と呼び、長年リスペクト&支援してきたフィクサーである燻し銀なスイケン役の中井貴一さんとキョンキョンの出番が多く、主役?と錯覚しそうになりました。
(中井貴一さんは本作品の軸となる重要な配役、さすがの好演。最近ではTVドラマ・トラベルナースの配役も支持しております!)
ちなみに大御所画伯・田村氏の妻・安奈役のキョンキョンは、草彅剛くん主演(2024年5月公開)「碁盤斬り」ぶりのご登場。今年は貫禄ご婦人役が続いたものの、やっぱりあの可愛い声は健在♡
(火を灯すと目から涙を流す仕組みの芸術的お手製キャンドルをお土産として入れた紙袋を手渡しするシーンはグッときました。意図的に触れた指先、見つめ合うも去りゆく切ない二人に感情移入。涙)
そして贋作事件を追う美術鑑定の権威・清家役の仲村トオルさんは、半年前(2024年5月)公開の「あぶデカ」町田透ぶり。つい最近な印象。けどやはりベースは39年前のビーバップ仲間徹!笑
にしても謎めいた牡丹役の清水美砂さん。美しかったー!
でもって死ぬの早すぎ!!残念。
実は全身タトゥー女。密かな彫師でもある竜次に堕ちた彼女のエロス、色気、素敵でした。もっと見たかったなぁ。
(バーテンダーあざみ役の若き菅野恵さん・・誰?って感じでしたが好演。個人的には清水美砂さんの出番率を増やしてほしかった)
石坂浩二さん扮する安奈の夫・田村は日本を代表する大御所画伯なのに絵を描くシーンはゼロ。大学教授感(偉そうw)が強く、どうも画家には見えず。けどあえてそうしたのか!と、終盤に納得。
続けて2人亡くなりサスペンスと思いきやサスペンスではなかったり、尺の都合は仕方ないものの、所々物足りなさがあり、もっと重く深そうなのに浅く感じたり、ツッコミどころや要望事項はありましたが、ストーリーや人物背景は公式メモリアルブック本やプログラムを読むとより深まるのではないかと思います。
(不覚にもプログラムを買い忘れましたが)
とにかくモッくん最高でした。
病魔に蝕まれやつれても苦しそうでも水没しても死にそうでも、どんな場面でも、どんな角度からも、ブレず尊き男前モッくん。素晴らしい熱演。イケオジすぎ。もぉ無敵ですわ。眼福。感謝。
大スクリーンで愛しきモッくんを拝め、推しとして誇らしく再認識できた時点で上映終了前に既に満足な自分が居ました。
この場を借りて暑苦しめな推し活報告となりましたが笑、内容も刺さりましたよ。
自身の人生においての“愛とは”、“美とは”、そして大切なものは何か、本物とは、価値観、価値とは、・・改めて向き合う機会を与えて頂けた価値ある作品であったことは確かです。
「美は美であって、それ以上でも、それ以下でもない。」
「愛は愛であって、それ以上でも、それ以下でもない。」
深く切なく、様々な愛と美。素敵な作品でした。
ありがとうございました。
全5件を表示