劇場公開日 2024年11月22日

「倉本先生、再度挑戦を!」海の沈黙 ワジマートさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0倉本先生、再度挑戦を!

2024年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

石坂浩二が、「これはガンサクだ!」とのシーンがあるが、
私は、「これはダサクだ!」と心で叫んだ。
いろいろ盛りだくさんで、本来の芸術作品の価値、或いは美についての主題が弱いものになったか。
贋作事件も石坂浩二の1点あたりでよかったし、入れ墨云々の挿入も必要無かったように思う。
全編通しての恋愛物語は通奏低音のようで、これはこれで2次テーマとしていいが、問題は主題の絵画美についてである。5,60年前ならヒットしたかもしれないが、絵画に対するセンスが今の時代にどうか。例えば、中川一政画伯が生きていたあたりの絵画感。80代や90代の絵画愛好家あたりが好みそうである。現代の映画なのだから、もう少しいろいろな専門家の助言を取り入れても良かった。
具体的には、油絵の具を爪一杯に付けたままの状態だったり、顔に塗りたくったり、わざとらしい。油彩はシンナー系の揮発性オイル。体に悪く癌などで体を壊す絵描きもいた。また血しぶきがキャンバスに着いたまま絵の具を塗り重ねるが、血液は乾くと黒ずむ。絵の具の扱いが素人ではないかな。
美について、が主テーマなのだから、そこに収れんさせてほしかった。
例えば、役所広司が主役の「パーフェクト・デイズ」のように淡々と、しかし力強く表現してほしかった。尊敬する倉本先生、もう一度挑戦して💛
芸術をテーマに再度!

ワジマート