劇場公開日 2024年11月1日

「いぬのきもち」DOG DAYS 君といつまでも サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いぬのきもち

2024年11月11日
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鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

幸せ

想像以上にいい映画だった。
タイトルはDOGDAYSだけど主人公はあくまで人間で、ストーリーはワンちゃんを通して描かれる人間ドラマといった感じ。4つのエピソードが同時並行で進んでいき、最終的に集結というありがちな群青劇だけど、どのエピソードも暖かくいいお話で見た後は心が浄化され頬が緩む。でも、犬との関わりにおいて避けられないところも獣医さん目線、飼い主目線、犬好き目線でしっかり描かれており、考えさせられるメッセージの強い映画にもなっている。

序盤はあんまりハマらず。
ワンちゃんが外でトイレしちゃったり、駐車場に住んでるからとエサを野放しにしていたりして大家さんに怒られるのは、当然の事じゃない?と思ってしまう。それに刃向かって「犬のことなんと思ってんの!」はお門違い。そういう話をしてるんじゃない。ワンちゃんのことを大切に思うのなら、ちゃんとビルのルール、大家さんの言うことを守るべき。大家さんもエサをぶちまけたり、犬のことを必死に避けたりと確かに心無いんか!とは思うけど、それ以上に院長の管理不足に違和感を感じてしまって、上手く乗れなかった。

だけど、有名建築家のおばあちゃんと若き配達員、養子縁組で女の子を家に迎えた夫婦、ボーカル探しに苦戦するバンドマンとその彼女の元カレと、3つのエピソードは導入からすごく良くて、全部バランス良く行ったり来たりするもんだから、ポップコーン食べるの忘れるくらい没頭することができた。
人と人を繋ぐ役目をするワンちゃん。ワンちゃんが居たおかげで仲を深め、自分の知らない、新しい世界が見えてくる。みんな始まりと終わりとでは何倍も成長しているし、キラキラ光って見える。おばあちゃんと青年の関係性、最高に良かったなぁ。「悪くないじゃない」っていいセリフだ。「褒め言葉もケチるのかよ」もナイスツッコミ笑

設定はありがちだけど、セリフや細かな描写が特徴的で強くしっかり印象に残る。キャラクターの演出が本当に良くて、それぞれに共感したり感情が動かされたりと、群青劇としての見応えもすごい。ベストキャラは間違いなく養子縁組を迎えた夫婦の旦那さん。娘から質問を投げかけられた時に、最初は素直に自分の考えを述べるけど、娘ことを尊重しようとする奥さんに流されて、コロッと意見を変える。
旦那さん「いや〜、それはベタすぎない?」
奥さん「いいじゃない!それにしよう!」
旦那さん「あ、ああ!それがいいよ!」
毎回その調子なもんだから、笑えると同時にいい夫婦だなぁと温かい気持ちになる。離婚を持ちかける流れも良かった♡

大家・ミンサンをメインに、たくさんの人がワンちゃんを通して成長し、心の変化が現れていく。犬は神が人間に与えた最高の贈り物、とはまさにその通り。だからこそ、人間のエゴで見捨てたり、育てることを諦めるなんてことをしたりしては、絶対にならない。買うのではなく引き取ろう。啓発映画としても、多くの人が見るべき作品だと思う。後半から上り坂のように面白くなっていくのもまた、素晴らしい構成だった。ワンちゃんだけでなく、身の回りの人を大切に!

サプライズ
大吉さんのコメント
2024年11月11日

本当にいい映画でした。どんだけでも語りたくなってしまうほど良くできてましたよね。
この幸福感を壊したくなくて今週公開の作品観に行くの控えています。

大吉