「極端な愛憎の転換において、犬が取り持つ役割とは何だろうか」DOG DAYS 君といつまでも Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
極端な愛憎の転換において、犬が取り持つ役割とは何だろうか
2024.11.5 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年の韓国映画(120分、 G)
犬を介した人々の出会いを描いたヒューマンコメディ映画
監督はキム・ドクミン
脚本はユ・ヨンア
原題は『도그데이즈』、英題は『Dog Days』で、ともに「犬とともにある日々」という意味
物語の舞台は、韓国のどこか
建築デベロッパーのミンサン(ユ・へジン)は、とあるビルのオーナーだったが、テナントとして入っている動物病院にいつも悩まされていた
彼は極度の犬嫌いで、動物病院の院長ジニョン(キム・ソヒョン)が餌付けする野良犬のフンなどの被害に遭っていた
たまりかねたミンサンは「契約は更新しない」と言い、ジニョンは「家主のパラハラだ」と腹を立てていた
ある日、動物病院に駆け込んだ女性(チョン・ソイン)の車と接触事故を起こしたミンサンは、事故のことを後回しにする飼い主にブチ切れる
女性の飼い犬ココ(ヘンリー)は末期癌に侵されていて、飼い主は気が動転していた
ジニョンは「命あるものを優先する」と言い返し、ますます二人の仲は拗れていったのである
物語は、この二人のエピソードと並行して、著名な建築家ミンソ(ユン・ヨジュン)とウーバー配達員ジヌ(タン・ジュンサン)、養子縁組をするジョンア(キム・ユンジン)とその夫ソニョン(チョン・ソンファ)と孤児のジユ(ユン・チェナ)、さらにバンドマンのヒョン(イ・ヒョヌ)、彼の恋人ソニョン(チョン・ソンファ)とソニョンの元カレのダニエル(ダニエル・へニー)たちの物語が描かれていく
ミンソとジヌは行方不明になったワンダ(ワンダ)探しをして、その先でジョンアたちに会うことになり、ヒョンたちはスティング(フロイド)との関わりの中で、ミンサンが企画する譲渡会に参加することになる
このクリスマスイベントへと向かう流れの中にそれぞれのエピソードが散りばめられていて、それがハートフルな内容になっていた
また、犬を意図せずに飼うという物語にななり、犬に愛着を持っていくのだが、「それが元の持ち主に戻る」という過程へと繋がる
そして、然るべき場所に彼らが収まるという流れになっていた
極端な愛憎が転換する物語でもあり、その根底には隠したい愛情というものがあって、そういったところの不器用さを犬が埋めてくれる物語だったと思う
犬好きにはショッキングなシーンもあるもののファッション犬好きにガツンとお灸を据える意味でも必要なエピソードだったように思えた
いずれにせよ、人物相関が面白く組み合わさっていて、脇役までもキャラが濃くて混乱しない
大人が作り出したものの弊害を若者が受けているとか、ある想いを引きずることでバンドメンバーが離れていったりとか、院長の服が変わっていないことに気づかない看護師とかのキャラも面白かった
そう言った群像劇的な面白さもあり、点と点が繋がるドラマが好きな人ならハマると思うので、犬嫌いでなければOKなんだと思う
ミンサンのリゾートプレゼンの展開も面白くて説得力があるので、あのような施設が実現すれば、棲み分けができて良いのかな、と感じた