劇場公開日 2024年11月1日

「思えば、「巨人の星」だってホラーだった」ノーヴィス La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

思えば、「巨人の星」だってホラーだった

2024年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 大学の女子ボート部に入った新入生が偏執狂的な熱意で部内一の漕ぎ手を目指す、ほぼホラー映画です。

 今にして思えば、子供の頃観ていた「巨人の星」だって「アタックNo.1」だって「エースをねらえ」だって、みんなサディストとマゾヒストのホラー物語に見えます。この映画では、それを非常にクールな眼差しで描いています。

 ただし、本作にはとんでもない鬼コーチがいる訳ではありません。彼女は、「困難だから挑戦するのだ」というケネディの言葉に引きずられる様に自ら困難を目指します。だから、最も苦手だった物理を苦手であるからこそ専攻し、努力で勉学でも前進を目指すという捻じれっぷりなのです。努力の尊さと狂気の境い目がぼやけて来る展開に身震いしました。新人監督がこれだけ尖った作品を仕上げたのは見事です。ただ欲を言えば、もう少しリズムの強弱をつけて欲しかったかな。

La Strada