「個人競技ではなく、チーム競技に来ちゃうところに底意地の悪さが滲み出ていますね」ノーヴィス Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
個人競技ではなく、チーム競技に来ちゃうところに底意地の悪さが滲み出ていますね
2024.11.7 字幕 アップリンク京都
2021年のアメリカ映画(97分、G)
初心者としてボート部に入った女学生がのめり込む様子を描いたスリラー映画
監督&脚本はローレン・ハダウェイ
原題の『The Novice』は、スポーツなどの「初心者」という意味、映画内の翻訳では「新人」
物語の舞台は、アメリカのとある大学(ロケ地はカナダのトロント大学)
大学1年生のアレックス・ダル(イザベル・ファーマン)は、苦手な物理を専攻し、ボート部の初心者プログラムに参加し始めた
同期にはスポーツ奨学金を目指すジェイミー・ブリル(エイミー・フォーサイス)がいて、彼女はスポーツ万能の有力新人だった
アレックスは基礎から学び始め、次第に努力を重ねていく
ジェイミーも練習熱心なアレックスに信頼を置き始めていたが、彼女はまったく別の目標を掲げていた
映画は、盲目的に努力を重ねるアレックスを描き、それが他人を寄せ付けない鬼気迫るものへと変貌する
時間外の練習を重ね、掌に血豆ができても碌な治療を施さない
傷口から感染し、血管が変調を来しても練習を積み重ね、チーム競技であるにも関わらず、連携を取ることもなく体を痛めつけていく
そして、模擬レースでタイムが劣れば、一緒に漕いでいたチームメイトが手を抜いたと糾弾し、さらに溝を深めてしまうのであう
彼女がどうしてそこまで自分を追い込むのかはわからないが、苦手とする物理をわざわざ専攻したり、他人への対抗意識を剥き出しにしていくところを見ると、自分をいじめることで快感を得ているようにも見える
また、高校時代に転校生にトップを奪われたことがネックになっているのかわかないが、ともかく一番になって溜飲が下がればそれで良いという考えを持っているのだろう
それが公式戦である必要もなく、お気楽な練習試合でも良いところを考えると、たまたま対象がボートだったのかな、と感じた
劇中で恋仲になるダニ(ディロン)とのやりとりでも、自分の達成感があれば満足する感じになっていて、それが男でも女でも関係ないという印象がある
ダニの音楽活動に対しても横槍を入れるなど、楽しみながら上達するという概念がハナからなく、これをストイックと言って良いのかはわからない
経験者や上達している人を後ろから抜けばOKという感じで、しかも勝ち逃げするタイプなので、あんまり関わらない方が良い人間なのかな、と思った
いずれにせよ、精神的に疲れる映画なのは間違いないのだが、それは理解に苦しむ部分が多いからだと思う
ラストまで見ても理解し難い部分が多いのだが、満足そうに自分の名前を消して去るところを見ると、あの結果によって満足したのだと思う
勝手にターゲットにされたり、巻き込まれたりするところは迷惑千万だが、基本的には相手には損害を与えないので、うまく距離を取れれば問題ないのかもしれない
とは言うものの、わざわざチーム競技に入ってきて行う意味もないので、ただただ迷惑な存在だったなあと思った