「狂気的なまでの闘志」ノーヴィス レントさんの映画レビュー(感想・評価)
狂気的なまでの闘志
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まるでブレーキの壊れた暴走車のごとく自分を追い込み続ける主人公。なにが彼女をそこまで追い立てるのか。
大学の成績は優秀、試験では他の生徒が問題を解き終わりすべてが退席する中で彼女だけが何度も問題を解きなおす。早く解くのはたやすい、しかしそれは必ずミスを誘発する。彼女の優秀な成績は今までの彼女の努力によるもの。
大統領奨学生、ごく限られた人間にしか与えられない地位。その地位からこぼれ落ちるわけにはいかない。彼女は常に勝ち続けなければならないのだ。
ボート部に入った彼女の動機は明らかにされない。ライバルのように奨学金目当てでないのは明らかだった。ただ勝つことにこだわる、その異常なまでの執念。
ともすれば強迫性障害になってもおかしくないほどに常に自分を追い込んでゆく。彼女にとって負けることは死を意味するかのように。彼女はひとり常に戦場にいるかのようだ。
稲妻がとどろき他のライバルが脱落する中、彼女だけはボートを漕ぐのをやめようとはしない。落雷を受ければ命の補償はない。それでも前に突き進む。
若さゆえの強すぎる情熱の炎を持った主人公、その情熱で勝利をおさめライバルを倒してゆくが自身がその炎に焼かれる危うさも。
その姿はまるで蜜蠟の翼を手に入れ自由に大空を飛び回るイカロスが太陽に向かったがために命を落としたような危うさや儚さを感じさせる。
昔、学校行事でレガッタやらされた時、周りと息が合わないとオールが持っていかれて何度も腹切りの憂き目にあったな。
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