「映像は美しいけど、『世にも奇妙な物語』ぐらいな内容」不都合な記憶 よんしんさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は美しいけど、『世にも奇妙な物語』ぐらいな内容
予告を見て、いやあ、邦画がこの映像クオリティまで来たのか、と感慨深くなりストーリーはともかく映像に期待して鑑賞。
どうもほぼほぼタイで撮影したようで、エンドロールにはタイの撮影会社とタイ人スタッフの名前、そしてVFXはカナダの会社でした。
ってなわけで、MGM映画でもありますし監督と脚本と俳優が日本人なだけで、ほぼほぼ海外作品ですね。邦画とは言えないかな。
逆に、お金さえ出せばこの映像クオリティの作品が作れるんだなあ、と、ある面新しい方向性を示したような作品だと思います。
ちなみにネトフリやディズニー+などの最近の映像クオリティの高いドラマである『今際の国のアリス』や『幽遊白書』『七夕の国』なんかは純和製作品のようです。
ストーリーは星新一モノというか、世にも奇妙な物語とかでありそうな内容で、始まって20分もたてばだいたいストーリーは読めちゃいます。ってか予告やあらすじでほとんどストーリー語っちゃってるし•••。
なもんで、本作はストーリー重視でなく映像重視の作品なんだろうなあ、と。
冒頭、宇宙エレベーターの映像に始まり、地球の周りを土星の輪のように無数のスペースコロニー(リング)が浮かんでおり、地球を襲った大規模な津波のあと、地球上のほとんどの富裕層は宇宙に移住したことが語られます。主人公の伊藤英明はロボット開発会社の社長で、いち早く宇宙へ移住し個人のリングを所有している超大金持ちのようです。
SF好きとしては、美しい宇宙の映像と世界観を提示されれば期待しちゃうものですが、物語が進むとそんな設定はどうでもよくなり、どっかで見たようなありがちなこじんまりとした展開になっていきます。だったらわざわざ宇宙でやる必要なくね?って感じです。
※以下あらすじに書かれている程度のネタバレあり
ただ、たぶん実生活でもこんな人間なんだろうなあという伊藤英明の演技はさすが安定感があり、正体がわかってからの新木優子の美しさは、本当にリアルな作り物のようで見事です。
ただねえ、味覚も性関係も持てて、人間の記憶も自由に記録できる精巧なアンドロイドが作れる技術があるって設定ならねえ。もうちょっと話を膨らませられたんじゃないかなあ。
アマプラで観られるのはありがたいですが、映画館じゃわざわざ観ないよなあって感じです。
ただ、高クオリティの映像作品として海外スタジオの力を借りて制作するというのは新しい試み何じゃないかと思います。今後、日本の制作会社にこだわらず日本の原作コンテンツがこういう形で映像化されていくことには期待できますね。