「【シラクフランス大統領夫人の、夫や男性支配の政治世界に対する強烈なしっぺ返しを、ユーモア溢れるシーン満載で描いた痛快な作品。カトリーヌ・ドヌーブが演じると、ファーストレディに見えるんだよなあ。】」ベルナデット 最強のファーストレディ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【シラクフランス大統領夫人の、夫や男性支配の政治世界に対する強烈なしっぺ返しを、ユーモア溢れるシーン満載で描いた痛快な作品。カトリーヌ・ドヌーブが演じると、ファーストレディに見えるんだよなあ。】
ー 今作では冒頭から、”事実に基づくフィクションである”と2回告げられる。劇中で、散々揶揄される元大統領のサルコジ氏に対する配慮であろうか。
多分、違う気がするなあ。クスクス。-
■今作では、1995年に念願の大統領になったシラク(ミシェル・ピュイエルモーズ)の婦人であったベルナデット(カトリーヌ・ドヌーブ)のその後の12年間の変化を描いている。
夫以上の政治センスを持ちながら、その衣装のセンスや発言から”古臭い。””気難しい”と言われていた事に発奮し、コミュニケーションコーチに着いたニケ(ドゥニ・ポダリデス)をアドバイザーとして活用し、亭主関白な夫を見返すために彼女は奮闘していくのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・夫シラクが、故ダイアナ妃の事故の時にイタリア女優と懇ろになっていた事を知ったベルナデットは、彼女を手本にチャリティーに力を入れたり、積極的に本来の自分らしさを前面に出し、国民の人気を得ていく過程は、観ていて痛快である。
・それまで、シラクに”目立つな。”と言われて来たベルナデットは、2002年の大統領選では、シラク陣営の最終兵器とまで呼ばれるようになっていく。
だが、この作品ではそれをコミカルに描いている所が良い。
彼女の進言を聞かずに、議会選挙で惨敗した時の側近だったド・ビルパンたちのあたふたする姿や、彼女を小ばかにした態度を取るシラクに25年仕える運転手に、市場でシャンパンを2杯飲ませて、帰りに手配しておいた警官に飲酒運転で捕まえさせるシーンは、可笑しかったな。
・アメリカ大統領クリントンのファーストレディだった、ヒラリー・クリントンを夫に知らせずに招き、二人で外交したり・・。
で、周囲が言った事。”お互い、夫が浮気をしていたからねえ。”クスクス。
それにしても、あの二人が会話するシーンはフィルムの合成であろうか。
・元大統領のサルコジ氏(長くシラクに付いていたのに、ミッテランに寝返った。)を徹底的に目の敵にするシラクの想いを実現する、ベルナデットのユニークな行いも可笑しい。
彼女の本の出版の際にやって来たサルコジ氏が差し出した本に書いたサイン”トットと、ここから出て行け‼”クスクス。
<そして、彼女の存在感や国民からの人気は急上昇していくのである。そんなベルナデットをカトリーヌ・ドヌーブが、貫禄タップリに演じているのである。流石だなあ。
今作では、親日家で大の相撲ファンだったシラク氏のエピソードもサラリと描かれていて、嬉しい。
そして、シラク氏がサルコジ氏に大統領の座を譲らざるを得なくなった時にも、ベルナデットは彼と取引し、その後も長く政治家として活躍した事がテロップで流れるのである。
”シラク氏には言わなくて良いんですか?”
”夫の許可なんて、必要ないわ!”
今作は、シラクフランス大統領夫人の、夫や男性支配の政治世界に対する強烈なしっぺ返しを、ユーモア溢れるシーン満載で描いた痛快な作品なのである。>