「こんな映画、ほかの誰が撮れますか?的な。」トラップ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
こんな映画、ほかの誰が撮れますか?的な。
クリックして本文を読む
いやあ、シャマランのやりたい邦題がここまで来たか!と驚くと同時に納得してしまう。シャマランの映画はいつしかファミリービジネスになっていて、スタジオからの横槍が入らないように資金を自己調達し、自宅を抵当に入れたりしながら撮っている。最近はチーフ助監督は実の娘だったし、その娘も最近はパパプロデュースで監督デビューをお膳立てした。
そして今回は、シンガーソングライターでもある長女サレカ・シャマランを人気絶頂の歌姫に見立てて、そのコンサート会場を舞台にするという、誰がどうみても「娘のためにコンサートを開いてやった」状態。
しかもシャマランと顔だって似てるし、叔父さん役でシャマランも出てくるし、「これはなにを見せられてるんですか?」と思う時間がずっと続くんだけど、ちゃんと「家族思いだけど殺人鬼のパパの脱出ミッション!」を同時進行させて、オモシロスリラーにしてみせるのだからみごと。映画の私物化ではあるんだけど、それがなにか?私物ですけど?という開き直りと、それでもお客さんは楽しませて帰しますよ!というサービス精神が頼もしい。
そしてなんといっても第二部!まさか娘演じる歌姫が、事件解決に乗り出す主人公に格上げされるとは! どれだけ娘に見せ場を与えとんねん!というのも可笑しいが、その展開がちゃんと意外性として機能していて、いやあ、映画スキルが異常に高い親バカってすげえなと惚れ惚れしてしまいました。
コメントする