「初音ミクの映画!?」劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク Ken@さんの映画レビュー(感想・評価)
初音ミクの映画!?
ボカロは高校のときからハマり、初音ミクが映画デビューすると知ったときはすごい衝撃を受けました。プロセカは過去に遊んたこともあるので、どんな物語になるのか興味津々で観に行きました。
ミクたちの声を映画館で聞くのはすごく不思議で、今までに味わったことのない感覚でした。電子的な所はありましたが、彼女の話し方が自然だったので特に違和感はなかったです。
プロセカのストーリーは、スマホゲームとは思えないぐらいリアルな人間関係が描かれているのが特徴です。今回はそれを大幅に拡張させ、劇場版に相応しい完成度になっていました。中でも、渋谷の街全体を巻き込むスペクタクルな場面では、「そんな展開になるの!?」と思わずびっくりしてしまいました。
全体の印象として、壊れた世界のミクが主人公のように感じました。彼女は自分の歌を探しつつ、生きづらさを感じる人たちに想いを伝えようとします。受験や仕事のストレスなど、それぞれの事情を抱える人々にとってミクの歌声はノイズでしかありません。それでも、一人でも伝わる歌を届けようと彼女が成長していく所が素晴らしかったです。最後の台詞は『初音ミクの消失』の歌詞とリンクし、ボカロ好きでよかったと実感できるぐらい感動しました。
原作ゲームのユニットキャラも登場し、彼らはミクをサポートする立場として活躍していました。メインキャラが多すぎて尺が足りるのか心配しましたが、それぞれの見せ場がしっかりと用意されていたので、スタッフが個々のユニットを大切にしているのが伝わってきました。彼らに関する説明は少ないですが、どれも親しみやすいキャラなので、ゲームをプレイしていなくても彼らに共感できると思います。
後半のライブパートは大迫力で、どのユニット楽曲もそれぞれも個性が表れていました。セトリの順番も「そうでなきゃ!」というチョイスになっていました。なお、本編終了後にはアフターライブというものがあり、ペンライトを振って応援することが出来ます。私は通常上映に参加したので声は出せませんでしたが、ペンライトを持参してきた人が自分を含めて何人かいました。映画ではカメラアングルが変化する2Dアニメなのに対し、ここでは3Dキャラかつ定点カメラになのが違いです。
鑑賞後は「(良い意味で)とんでもないものを観てしまったな……」と印象に残る作品でした。ボカロファンは勿論、生きづらさを感じる人にも観てほしいです。