「初見殺しのファンサムービー」劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
初見殺しのファンサムービー
予告のファンタジックな雰囲気に惹かれて、公開2日目に鑑賞してきました。行きつけの劇場は、いつもは大作でも6割程度の客入りなのですが、本作はほぼ満席でびっくり!でも、自分には刺さらず、ちょっと残念でした。
ストーリーは、さまざまなモニターを通して歌を届けようとするものの、その姿や歌声はほとんどの人には邪魔なノイズとしか認識してもらえず、自分の歌が誰にも届かないと悩むバーチャルシンガー・初音ミクが、ライブで想いを届ける星乃一歌の姿を見て協力を求め、一歌はそれに応えようと仲間たちにも声をかけていくというもの。
開幕直後から世界観に全くついていけず、なかなかハマれず、睡魔との戦いになってしまいました。鑑賞後に知ったのですが、本作はアプリゲームの劇場アニメ化作品だったようです。どうりで、世界観の説明もなく、キャラの名前や背景の紹介もなく、そんな状態にもかかわらず次から次へとキャラが登場し、しかも関係性までできあがっているわけです。初見では全く理解できないのは当然で、楽しむことは難しいです。
しかし、どうやら別世界のバーチャルシンガー・初音ミクが、この世界のリアルシンガーたちの協力を得て、再生する物語だろうと認識。そして、想いが届かないのは、受け取る側の心が折れ、熱い気持ちを失ってしまったことが原因だと理解。ここまでくると、やっと話がわかってきて、最後はなんだかんだで楽しめました。
中でも、クライマックスでの連続ライブシーンは圧巻です。キャラの動きも演出もカメラワークも申し分なく、高揚感を覚えます。どの楽曲も素敵で、頑張っている自分を褒め、今は結果が出なくとも、もう一度立ち上がってみようと思わせてくれます。ただ、せっかくメッセージ性のある歌詞なのに、それがあまり聞き取れなかったことだけが惜しまれます。
というわけで、ファンには突き刺さる最高のファンサムービーなのかもしれませんが、誰もが楽しめる作品とは言い難い気がします。初見の方には、「悪いことは言わないのでやめておけ」と忠告をしておきます。
キャストは、藤田咲さん、下田麻美さん、浅川悠さん、拝郷メイコさん、風雅なおとさん、野口瑠璃子さん、礒部花凜さん、上田麗奈さん、中島由貴さん、小倉唯さんら。