「火は人を救う」火の華 終焉怪獣さんの映画レビュー(感想・評価)
火は人を救う
主演の山本一賢さんと田中一平さんの舞台挨拶があり
本編を鑑賞しましたが素晴らしい作品でした。
予告からしてPTSDを発症した元自衛官が、花火職人になり再生して行くヒューマンドラマかな?と思っていました。
確かにその通りなのですが、それ以上に平和の在り方について考えさせられる内容だった事に驚きました。
この作品は自衛隊日報問題をベースとしています。
他国にてPKO活動に従事していた自衛隊。
本来は非武装地帯でのみインフラ整備などに尽力するはずだった。
だが反政府勢力と戦闘になり発砲をする。
しかし政府は、“戦闘”の事実を隠したい。
ましてや戦闘による自衛隊員の死などあってはならない。
国とは何なのかと考えてながら鑑賞しました。
ここから伝えたい部分を紹介させて頂きます。
【島田の孤独】
山本一賢さんの演技が素晴らしい。
PTSDを患った島田の私生活がとにかく画になる。
ゴミが散らかる自室で呆然とする姿、
鉄工所で黙々と仕事をする姿、
花火を作る時の姿...
些細な仕草に孤独さを感じ取れる所作に感服。
【全編に漂う不穏な空気】
島田の心象風景をそのまま映し出したような空気を全編通して感じていました。
平和な国である日本。
私達は戦争を御伽話の類として生活を送ってます。
あの花火職人の人達のように戦争の影なんて感じずに生きている。
なのにこの映画は影が常に付き纏う感覚がある。
【私生活に噓偽りを感じない】
花火職人達との会話や触れ合いに露骨な演出を感じなかった。
唐突な友情や恋愛など一切なく、淡々と交流をしていた。
こういうささやかな生活が日々を形作っていると再認識しました。
【新潟県のロケーション】
新潟県民として知っている場所が映し出されるとテンションが上がりました。
同時に新発田市にもこんな場所があったのかと新たな発見もありました。
私は上越市出身ですが、上越市でも撮影されたと知りとても嬉しく思います。
【火の在り方】
火は人の命を奪う。
同時に火は人の心を救う。
私達が普段、美しいと感じる花火も島田にとっては悪夢。
しかし過去と決別する事が出来た。
最後は花火を南スーダンの子供たちの為に打ち上げる姿に涙しました。
最後に舞台挨拶で山本一賢さんが語った「この映画は右や左とかではない。ただ自分は日本が好きだ」と云うシンプルな一言に全てが集約されていると感じました(一語一句、合ってはいないかもですが)。
平和とは何か。
自衛隊の在り方。
火は使う人によって形が変わる。
この映画は今を生きる全ての人に観て貰いたい。
