劇場公開日 2025年10月31日

「もっと盛り上がってもいい日本映画界の突然変異」火の華 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 もっと盛り上がってもいい日本映画界の突然変異

2025年11月10日
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鑑賞方法:映画館

前作『JOINT』も不思議な映画だったけど今回も不思議な小島監督。不思議というのはどこの何にも属さない突然変異の映画な感じの映画。そう見えるのは製作体制が自主映画のように思えるからか。まじりっけのない作りたいものを作れてるというか。

前作に比べると「芸能人」が映ってはいるが狙ってはいない。配分が不思議。そんなでいいの?みたいな。変な常識に縛られてないからこそできる面白さなのかもしれない。ある意味行政なしの真っ当さ。

しかしこんなネタを思いついても普通の人ならこんな規模でやらないのでは。というくらいの、偶然「パトレイバー2」を観たあとなので余計そうだけど、自衛隊の海外派遣の現場で直面する矛盾から始まって日本においてクーデター未遂を普通この規模ではやらないだろうし、日本海の花火師という設定がまた作品テーマとえらく結びついていて素晴らしいのだけど、この独創性を映画に落とし込んで興行に向かうというのはかなり大変なのにスルっとやっている。

思えば日本のこの辺の銃器類の描写はなんかはメジャーより「ベイビーわるきゅーれ」とか本作の方がうまい気がする。監督の演出と俳優のマッチングが。あと音も良かった。

そして昨日見た「旅と日々」とは全く違う決して美しくはない日本の辺鄙な田舎(自衛隊基地のある)の殺風景というか闇っぽさというかその辺が意識的か無意識かわからないけど物悲しく見え、更にそれを上回る花火という非現実な「華」のカタルシスが画面を覆う終盤は凄いな、と。

そして小島監督は音楽までやってるのか。
本当に得体の知れない人だ。

というか、初期の石井聰亙監督とかを思い出したのか。山本一賢の山田辰夫感。そのコンビ感。

ただこれだけのものを作れるならもっと宣伝というか、ムーブメントをしっかり起こせたらいいのに、と思った

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ONI