劇場公開日 2025年10月31日

「日本軍事の有様、個人、国家をあらためて考えさせる渾身の火花」火の華 むっ、むいちろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 日本軍事の有様、個人、国家をあらためて考えさせる渾身の火花

2025年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

国連平和維持活動に参加した自衛隊の隊員は現地の正常化とそこに
住む人々の幸せを願って誇りをもって活動をしていたが突然戦闘となり、
国家の事情に巻き込まれ解任、身も心も奈落の底に突き落とされ
社会の隅で苦悩を抱え静かに生きます。その事前事後の豹変ぶりを演出、
演技が見事に表現してくれました。
主人公の俳優はおそらく私は初めて見るのですが、暗い過去を背負わせたら
右に出ることのない高倉健をほうふつとさせる横顔と演技でした。味があります。
ノンフィクション的な演出でリアリティも抜群でした。本当にあったことなのか、
フィクションなのか懐疑的にスクリーンを見ていました。
戦闘でPTSDを負うとどうなるのかアメリカ映画にはよく出てきますが
戦闘体験が人間をどうするのかまざまざと見せつけられます。
日本が戦争になったらこういう人が何人も出るんです。
その人を大切に想う周りの人もいるんです。
戦争はしてほしくないなと思いました。
戦後80年のタイミングで上映してとてもよかったと思います。
国家は都合の悪いことは隠蔽します。それはガバナンスに必要なことではあります。
その時に個人の人権などはどうでもよくなります。その時のために、
その予防のために、今何ができるのか考える必要があるのかと考えさせられます。
戦闘の時、跳弾して火花が散ります。線香花火や打ち上げ花火も火花です。
一方はあと一歩で人を死に追いやる火花、一方は生きていて感動を与える火花、
その火花の対比が思いをさらに深くさせました。きっと夏に線香花火した時に
人生そのものを表すもののように思ってしまうでしょう。
ラストにウガンダで上げる火花は希望を思わせてくれて救いがありました。
いい映画です。

むっ、むいちろう
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