「一瞬で人を殺めるのか、一瞬人を幸せにするのか」火の華 サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)
一瞬で人を殺めるのか、一瞬人を幸せにするのか
2024年劇場鑑賞100本目 秀作 65点
2024年11月27日、都内某所で試写にて鑑賞
そして2日後に公開延期のニュースが飛び込み早1年、2025年10月31日、遂に一般公開される
なぜ延期されたのかなどプロデューサー兼演者の出来事は各々お調べ頂くとして、、、
当方、劇場鑑賞が日常に馴染んできた頃である2021年の冬にポスターと予告に一目惚れして当時まだあまりいく機会が多くなかった渋谷ユーロスペースに出向きレイトショーで鑑賞した、本作監督のデビュー作JOINTは配信が開始された今でも無性に定期的にみたくなる魅力があり、劇場鑑賞含め4回は観た
強烈なデビュー作から感じてきた、取材力の高さと映像力の独自性の向上を今作でより強く感じた
取材力でいうと花火工場での仕事内容や作る過程の細部、物語終焉に近づき足を運ぶ戦場のロケ地の風合いなど、説得力と絵力を拘り、その上でカメラワークや色彩の集め方など存分に自身の映像力を披露させてきた
有名監督だと、吉田恵輔と藤井道人の融合ともとれる
浜辺か何かで四方八方に打ち上がる花火の中心で、当時の戦場の弾丸戦が脳裏によぎり頭を抱え疲弊していく描写のカットの切り返しや光を追うスピード感、翻弄されている彼の心境を映すグラグラ感など、物語中盤でいちばんの見所といってもいいシーンはやはり1年たった今でも印象的である
ラストの戦場に向かう道中なんか、ビビットでエッジが効いていて、劇場版MOZUを彷彿する絵力だった
今作のタイトルである火の華は言わずもがな秀逸なダブルミーニングで、貧富の差や理不尽があっても空は皆平等に広がっていて、そこに打ち上がる花火の尊い煌めきは一瞬だけでも人々を幸福に包む一方で、同じ火薬でも他人の命の灯火を一瞬で終わらせてしまう悲しさにもなる、現代社会にも通ずる善悪の表裏一体の様で、とても考えさせられた作品であった
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